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モリアオガエルの飼育方法と必要な設備|生態や寿命についても解説

モリアオガエルとは春から夏にかけて水辺で見られる大型のカエルで、きれいな緑色をしており、比較的手に入れやすいためペットとしての人気も高いです。

「飼うためには、なにが必要なの?」
「エサはなにをあげればいいの?」
「どんな環境が適切なの?」
など、飼い方がよく分からず飼育をためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事ではモリアオガエルの詳しい生態から、飼育方法や飼育に必要なものについて解説しています。

記事を読むことによって飼育が初めてという方でもモリアオガエルに適した環境を構築することが可能になり、健康に育てることができるようになるでしょう。

モリアオガエルの飼育を始めてみたい方や、モリアオガエルを捕獲したけれどどうしたらいいか分からない方はこの記事をぜひ読んでみて下さい。

モリアオガエルの生態

モリアオガエルは、日本の固有種で両生綱無尾目アオガエル科アオガエル属に分類されるカエルです。

以前はよく似た見た目のシュレーゲルアオガエルの変種の1つとして分類されていましたが、その後交配実験などによりモリアオガエルとシュレーゲルアオガエルは別種であることが判明しました。

山地で多く見られ、肉食性でコオロギやクモなどを捕食し、基本的には樹の上で生活しているので手の吸盤が発達しているのです。また、水中に産卵するカエルがほとんどの中で、モリアオガエルは樹上に産卵するという特徴的な産卵形態を持ちます。

それではモリアオガエルの生態をさらに詳しくご紹介していきます。

モリアオガエルの生息地

モリアオガエルの生息地の分布は本州と佐渡島です。主に日本海側に生息していて太平洋側にはあまりいません。都市部でもほとんど見られず、普段は森林内の湿気の高い樹上で生活しています。繁殖期になると池や沼に集まって産卵をするので見つけやすくなります。

伊豆大島では1970年頃から外来種として移入分布していますが、現在に至るまでモリアオガエルの移入による問題点は指摘されていません。

モリアオガエルの大きさ

モリアオガエルの大きさはオスが42~62mmほどで、メスは一回り大きく59~82mmほどになります。日本在来種ではヒキガエルの次に大型です。

雨の日などに街中でよく見かけるニホンアマガエルはモリアオガエルと姿形はよく似ていますが、二ホンアマガエルの大きさはオスメス共に20~45mmほどなので比べてみるとモリアオガエルの大きさがよく分かりますね。

モリアオガエルの卵の大きさは2.6mm位で、幼生であるオタマジャクシは全長およそ51mmまで成長します。オタマジャクシから成体のカエルに変態したばがりの時期の体長は20mm前後になります。

モリアオガエルの寿命

モリアオガエルの卵は大体1週間ほどで孵化しオタマジャクシになります。その後オタマジャクシは1ヶ月ほどかけて成体に成長します。

大人になったモリアオガエルの寿命は平均して3~5年ですが、適切な飼育環境下で育てると10年以上長生きすることもあるのです。

モリアオガエルの繁殖

モリアオガエルの繁殖期は4月から7月にかけてです。普段は樹上で生活していますが、繁殖期になると水辺に集まり交尾を行います。

産卵場所にたどり着いたオスは鳴嚢という器官を使って「コロコロ」「クックック」などの鳴き声をだすのです。鳴き声を聞いたメスがやってくると、オスはメスの背中にしがみつき、メスはオスを背負ったまま水辺の枝先に移動して産卵行動が始まります。

産卵と同時に大量の粘液を分泌しますが、この粘液をオスとメスが足で掻き混ぜることによって泡立てて、その中に卵を産みつけるのです。

この時他のオスが便乗しようと集まってくるため、産卵したメスの周りに複数のオスが群がって団子のような状態になることがあります。

水中に産卵する多くのカエルと異なり、モリアオガエルは樹上に産卵するため大変めずらしい産卵形態とされています。

モリアオガエルは天然記念物に登録されているの?

モリアオガエルの生息地は森林ですが、最近では水質汚濁や開発による森林伐採・埋め立てなどが進み、生息域を減らしているのです。そのため、モリアオガエルの繁殖地は地域限定ですが、天然記念物に登録されています。

福島県双葉郡川内村平伏沼(へぶすぬま)の繁殖地と、岩手県八幡平市の大揚沼モリアオガエルおよびその繁殖地が国指定の天然記念物に指定されています。

特に岩手県の大揚村は600mほどの沼岸全域にモリアオガエルの繁殖がみられ、大変貴重な繁殖地となっているのです。

また、各自治体で天然記念物に指定されている所もありますのでモリアオガエルを捕獲したい場合は事前にチェックしておきましょう。

モリアオガエルの飼育に必要なもの

ここからはモリアオガエルを飼育する上で必要なアイテムを見ていきましょう。

飼育自体は難しくないですが、不適切な環境でずっと飼育していると病気になってしまいます。住みやすさを意識して、より自然に近い環境を整えてあげるために必要な道具をしっかりチェックしましょう。
  • 水槽
  • 床材
  • パネルヒーター
  • 水入れ
  • シェルター

水槽

モリアオガエルの飼育容器は横幅45cmほどの大きめの熱帯魚用の水槽か、爬虫類用の前開きのケージがおすすめですが、大きめのプラケースでも大丈夫です。

自然では樹の上で生活しているので高低差をつけるために水槽の高さは最低でも30cm以上あるものを選びましょう。

モリアオガエルは湿気の多い環境を好みますが、蒸れすぎないように風通しのいい環境を作れるような水槽が理想です。

もしモリアオガエルをオタマジャクシから飼育した場合は、そこまで大きい水槽は必要ありませんが、水が最低500mlは入れられる容器にしましょう。また、水が汚れ過ぎないように気をつけて定期的に水の交換をして下さい。

オタマジャクシに手足が生えてくるとエラ呼吸から肺呼吸へ変わる時期でもあるので、いつでも水上に上がれるように陸地を作っておくといいです。

床材

湿度の高い環境を好むため、床材には保湿性が高いものが適しています。腐葉土やヤシガラマット、水苔などがおすすめです。

しかし、これらの床材は常に湿っていることでカビが生えやすいのでこまめな管理が必要になります。

より管理を楽にしたい場合はペットシートやキッチンペーパーでも代用できます。カエルは糞尿が多いので、これらの床材であれば掃除も容易になるでしょう。

床材を敷かなくても飼育は可能です。しかし、モリアオガエルの飼育には湿気の管理が重要です。床材を敷いておけば霧吹きなどで水を吹きかけるだけで比較的湿度の管理が楽になるので敷いておくといいでしょう。

パネルヒーター

モリアオガエルは自然環境下では冬になると冬眠をします。飼育下で冬眠させてしまうと乾燥などから死亡してしまうことも多いため、それを防ぐためにもパネルヒーターを入れてケージを温めてあげたほうがよいでしょう。

ケージ内の温度は20~25度に保つことで冬眠させずに冬を過ごすことができます。

パネルヒーターを使用する際は、水槽内が乾燥しないように、湿度の管理には十分気を付けるようにして下さい。

また、パネルヒーターは水槽の下に敷くもの、側面に貼るもの、上に置くことで暖めてくれるものがあります。管理のしやすさを考えると上に置くタイプのものがおすすめです。

もしプラケースでの飼育を考えている方は、高温でケースが溶けてしまうことがあるので購入前にプラケースでも使用可能かどうかよく確認してから購入しましょう。

水入れ

カエルは口からではなく皮膚から水を吸収します。モリアオガエルも同様です。

そのためタッパーなどで十分ですが全身が浸かる大きさの容器に水を入れておいてあげましょう。水が汚いままだと病気になってしまうので、毎日交換し、容器も定期的に洗ってあげて下さい。

シェルター

多くのカエルと同様にモリアオガエルは夜行性です。昼間は葉っぱの裏などに身を隠してじっとしていることが多いため、水槽の中にモリアオガエルが隠れることができる場所を作ってあげましょう。

観葉植物などがおすすめです。

他には流木や木の枝を入れてあげることで段差を利用した、より自然に近い環境を作ってあげることができます。

モリアオガエルの飼育方法

それでは実際にモリアオガエルを飼育する際にはどのようにすればいいのでしょうか。飼育の難易度は高くありませんが、それでも気をつけるべき点がいくつかあります。

ここからはモリアオガエルを飼う上での注意点や環境の整え方をみていきます。

適切な環境を作り、元気に長生きさせてあげましょう。

適切な温度と湿度

モリアオガエルの飼育ではそこまで温度管理を厳しく行う必要はありませんが、基本的には20~25度を維持するようにしましょう。夏場はクーラーや冷却ファンを使用して温度管理をして下さい。冬場は前述した通り、冬眠しないようにパネルヒーターで暖かくしてあげましょう。

一方、モリアオガエルは湿地に生息しているため、乾燥は大敵です。ケージ内の湿度をしっかり管理してあげる必要があります。70~90%程度の湿度を維持しましょう。

梅雨はそのままでも大丈夫なことが多いですが、冬などの乾燥しやすい季節は霧吹きを毎日こまめに床材に吹きかけてあげるなどして湿度を保つ対策をして下さい。

モリアオガエルの餌

モリアオガエルは自然環境下では昆虫を食べています。そのため飼育下でも餌はコオロギやミルワーム、レッドローチなどの活餌が主食となります。カルシウムパウダーなどをふりかけて栄養を補充してあげて下さい。

また、栄養バランスが優れている人工餌を与えることも可能です。与えるのはツノガエルの人工餌がおすすめです。活餌はストックしておくのが大変という方は頑張って人工餌に慣らしていきましょう。

動いている物しか餌として認識しないので、餌をピンセットなどでつまんで目の前で揺するようにしてあげて下さい。

飼育環境下では餌の与えすぎで太ってしまうこともあるので要注意です。成体の場合は週に1~2回、お腹が膨れる程の量で十分です。

モリアオガエルのオタマジャクシに餌をあげる場合は基本的に金魚の餌が栄養豊富で適しています。

立体移動できるようなレイアウトにする

モリアオガエルは野生では樹の上で生活しています。そのため、飼育下でも同じように道具を使って水槽内に高低差を作り、立体的に移動できるようにレイアウトを考えてあげましょう。

流木や木の枝などを使用する際には、カエルが木につかまった時に動かないようにしっかりと固定しましょう。他には水苔や観葉植物をいれてテラリウム風にすると非常に美しく、鑑賞用としても楽しめます。

実際にテラリウムで検索を行うと、とても綺麗なテラリウムを作成されている方が沢山いらっしゃいますので、どのように作ったらいいか分からないという方は参考にしてみるといいでしょう。

モリアオガエルの生態と飼育方法を理解しよう

モリアオガエルの飼育はそれほど難しくありません。適切な道具を用意してより自然環境下に近い住みやすい状態にして飼育してあげましょう。

適切に育てると飼育下では10年以上も長生きする個体もいるそうです。今回ご紹介した飼育管理のポイントをしっかりおさえて、ぜひモリアオガエルとの生活を楽しんで下さい。
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