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イソシギってどんな鳥?イソシギの特徴8つと幼鳥の見分け方

イソシギとは

イソシギは、シギ科に分類される小型の鳥の一種です。すらりとした長い足に黒色の細いくちばしと灰褐色の羽を持ち、水辺などに好んで生息しています。

また比較的生息数の多い鳥で、温帯域や亜寒帯域に生息しているため日本でも確認する事が可能です。水辺などで真っ白のお尻を振りながら可愛らしく歩いている姿が頻繁に目撃されます。

河川や海岸などの水辺付近にお住まいの方にとっては、なじみ深い鳥と言えるでしょう。

名前の由来

イソシギは、その名のとおり「磯」などの比較的水位の低い水辺を好んで生息しているシギ科の鳥である事からこの名前が付きました。

しかし本来は海水よりも淡水を好んでいるとされ、磯がメインの生活圏ではありません。そのため磯のような岩場を好む事からイソシギと名付けられたのではないかという意見もあります。

ちなみにイソシギが分類される「シギ」という鳥の名前は、「騒ぎ」という言葉に由来していると言われています。

イソシギの特徴

イソシギは小柄で愛らしい見た目をした鳥です。歩き方や餌のとり方などの懸命な様子に魅力を感じていると言うイソシギファンも少なくありません。

ここからは、イソシギの体長や鳴き声、食性などといった特徴について紹介していきます。イソシギと言う動物についてもっと詳しく知りたいと言う方は、ぜひご覧になってください。
特徴詳細
大きさ体長約18~24㎝ 体重約40g
上面が灰褐色の羽 羽毛の軸にそった斑点模様 下面は白い
寿命詳しくはまだわかっていない
見た目の特徴小ぶりな体格で長細いくちばし 上面の羽に暗褐色の小斑紋
鳴き声ピーイ チーチー リーリー など
食性昆虫・甲殻類・貝類など
生息域日本全国の湖沼・河川・海岸など

イソシギの特徴1:大きさ

イソシギは全長が約20㎝で翼長が約30㎝と比較的小柄な体格をしています。モズやツバメ・セキレイなどの鳥と同じくらいの大きさしょう。

また翼を開くと約40㎝ほどあり、灰褐色の羽を使って空を飛びます。ちなみに羽毛は雀などのように夏毛や冬毛に変わる事はなく、1年をとおして同じ大きさを保ちます。

そして体重は40gと大変軽く、セキセイインコほどの重さになります。雀やメジロほどの小ささではありませんが、小型の鳥に分類できると言えるでしょう。

イソシギの特徴2:色

イソシギは鳥の中でも比較的落ち着いた色合いをしています。真っ白な羽毛に灰褐色で暗褐色の斑紋がちりばめられた羽が特徴だと言えるでしょう。

そして下腹部にプラスして目の周りや眉斑なども白く、黒目がちな瞳を強調させています。また灰褐色の羽にも白い部分があり、風切り羽の上部が帯状に白くなっています

また、腹面の白色の部分が上面灰褐色の部分に切れ込みのように入っているのも特徴です。他のシギなどと見分ける際には、この切れ込みの部分を見ると良いと言われています。

イソシギの特徴3:寿命

イソシギは寿命が判明していない鳥であるとされています。そもそも野生の鳥の寿命を調べる事は大変難しく、イソシギ以外の野鳥の中にも寿命が判明していない種がたくさんいます。

理由は、野生の鳥が死と隣り合わせの厳しい生活環境にあるためです。多くの鳥が生まれて1年ほどで命を落としてしまうので、本来の寿命を調べる事ができずにいます。

しかし、動物園などの人の手が加えられる環境の中では、半世紀ほど生きる鳥もいます。野鳥の寿命は今後研究していく価値がある分野だと言えるでしょう。

イソシギの特徴4:クチバシが長い

イソシギは黒褐色の長細いクチバシをもつのが特徴です。これはシギ科の鳥の多くに見られる傾向で、餌を効率よくとるために進化した形であると言えるでしょう。

長細く一直線となっているイソシギのクチバシは、砂の中に潜む生き物を探し出す事に優れており、地中深くにいる貝や甲殻類をクチバシでついばみ、地上へ引き上げて食べます。

ちなみにシギの仲間にはクチバシが弧を描くように曲がっている種もおり、これはイソシギのように地中の生き物ではなく水面の生き物をついばみやすいように進化したのだとされています。

イソシギの特徴5:歩くときに尻尾をよく振る

イソシギの可愛らしい所と言えば、やはり歩き方でしょう。小さなお尻を一生懸命に上下に振る姿がとても愛らしく、この姿に惚れ込んだ方も少なくありません。

イソシギがお尻を振る理由は、地面に軽い振動を起こしてエサである虫を起こしているのだと言われています。

また、磯や干潟などの比較的開けた場所でエサなどを探していて天敵に見つかった際、天敵の目をくらますためだとも言われていますが、真実かどうかは定かではありません。

イソシギの特徴6:鳴き声

イソシギの鳴き声は、「チーチー」「リーリー」といった鈴が転がるような短く小さい鳴き声で、小鳥らしさを感じさせます。

飛び立つ最中や飛行している時によく鳴いており、「ピー」とやや長めの声を出す事もあります。しかし大変小さい声なので、録音できないと嘆く方も少なくありません。

ちなみに、天敵が近くにいる際は威嚇・警戒するような声を上げる事もあります。群れで生活する鳥ではないため、自衛のための鳴き声は大変重要な能力と言えるでしょう。

イソシギの特徴7:食性

イソシギは水辺に生息する鳥であるため、水辺にいる小さな動物を食べます。ハエやゴカイトビケラの幼虫・ユスリカなどの昆虫・小さなカニや貝などの甲殻類が彼らの食べ物です。

そしてエサを探し求めて、浅い水辺を泳ぐこともまれにあります。またコンクリートなどの建造物を探る姿も見られ、懸命にエサを探す姿は愛嬌があります。

日中の河川や磯などで、彼らがエサを取る姿を見る事ができるでしょう。1~2羽ほどの少数でちいさなお尻を振りながら地面にクチバシを刺す様子をぜひ探してみてください。

イソシギの特徴8:生息域

イソシギは温帯・亜寒帯に生息する鳥で、日本ではほぼ全域で見る事ができます。中部地方より緯度が下の地方では一年中その姿を確認する事ができるでしょう。

しかし中部地方以北になると、冬の寒さに耐えられないため緯度の低い所へ南下してくる事もあります。渡り鳥のような性質を持つ鳥とも言えるでしょう。

世界的にもその傾向が見られ、ユーラシアの北方地方にいたイソシギがアフリカ大陸の北部やオーストラリア大陸・ユーラシア大陸の南部に南下してくる事もあります。

幼鳥の見分け方

イソシギはシンプルで目立ちにくい動物であるため他の種との見分けが難しく、さらに雄雌もほぼ同じ色をしているため見分けるのに苦労します。

そして幼鳥・成鳥も見分けが難しく、どの部分を見て判断すればよいかわからないという意見も少なくありません。

しかし、幼鳥と成鳥には決定的な違いがみられます。ここからは、イソシギの幼鳥と成鳥の見た目の違いについて紹介していきます。

体の上面とその内側の色で見分ける

イソシギの幼鳥と成鳥の見分け方は、灰褐色に覆われた羽の内部にあります。そして確認するべきポイントは、「サブターミナルバンド」という部分です。

サブターミナルバンドとは、羽縁の内側にそって現れる帯状の模様の事を指して言います。鳥が羽を広げた時に確認できるでしょう。

そしてイソシギの幼鳥は、このサブターミナルバンドが黒いことが大きな特徴です。幼鳥と成鳥を見分ける際は、ぜひこの違いを参考にしてみてください。

日本でイソシギが見られる場所3つ

ここまで、イソシギの生態や特徴・幼鳥と成鳥の見分け方についてご紹介してきました。身近にいる鳥ですが、意外と知らない事も多かったのではないでしょうか。

ここからは、そんなイソシギがどこに住んでいるのかを詳しく紹介していきます。イソシギについて気になると言う方は、ぜひ撮影地決定などのご参考にしてみてください。

日本でイソシギが見られる場所1:海岸

イソシギは「磯鷸」と書くだけあって、海岸や干潟などの海水が近い場所で生息している事があります。しかしこれは非繁殖期のみの傾向であり、年中海岸にいる訳ではありません。

基本的にイソシギは淡水を好む鳥であるため、繁殖期などの貴重な時期には淡水の水辺に生息する事になります。ちなみに繁殖期は、4月~8月の上旬です。

繁殖期のイソシギや卵・幼鳥を見てみたい・撮影したいのであれば、海岸よりも淡水系の場所がです。

日本でイソシギが見られる場所2:河原

日本でもっともイソシギが確認されているのは、岩や草木に恵まれた河原などでしょう。天敵から身を守れる場所が多い上に餌も豊富で、イソシギの生活にはピッタリの環境です。

そしてそのような場所は交尾・産卵・子育ての環境にも適しています。茂みや枯草を敷いた砂地に卵を産み、雄雌が交代で卵を守りながら子育てをしていきます。

ちなみにイソシギは一夫一妻・一夫多妻・一妻多夫とたくさんのつがいの形態をしているのも特徴です。

日本でイソシギが見られる場所3:湖岸

イソシギは河川だけでなく、内陸の湖岸なども好んで住処とします。河川と似たような生活環境である事が理由の一つでしょう。

しかし内陸の水辺には天敵も多く生息しています。特にヘビなどの危険な天敵に見つかった場合は、住処を転々と変えながら繁殖を行いますが、命を落とす事も少なくありません。

危険な事も多いため、薄暗くなってからは就塒(ねぐら)を共有し群れで就寝します。身体が小さいがゆえに外的も多いため、群れでの就寝は安全性が高いと言えるでしょう。

年間を通して日本全国で見ることができる

今回は日本にもなじみ深い鳥「イソシギ」について紹介していきました。イソシギの生態や特徴について知る機会となったでしょうか。

イソシギは現在、中部地方以北をのぞく日本全国で一年中見る事が可能です。また北海道や本州・九州では繁殖活動も確認されています。

日本各地に存在し、人間の生活にも密着している事から、観察しやすい鳥とも言えるでしょう。しかし、野生の鳥であるため、本体や巣などに不用意に近づくのは厳禁です。
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