この記事では日本人のほとんどが知らないであろう、珍しい白い体毛のシロヘラコウモリの特殊な生態や彼らのおかれている状況についてと、気になる日本で飼うことができるかどうかについても合わせて詳しくご紹介いたします。
これを読むことで、シロヘラコウモリの外見だけでなく彼らの暮らす環境やとりまく現状のことについても把握できるはずです。
なにかのメディアでシロヘラコウモリを見かけて気になっていた方や、エキゾチックアニマルに興味がある方は是非目を通してください。
シロヘラコウモリの生態とは?
Don't they look like cotton balls?
— Animal Planet India (@AnimalPlanetIn) November 2, 2019
The rarely seen species of the bat family, the Honduran White Bat has white fur and a yellow nose. These bats live under tents made from leaves of plants.#WeirdAnimalFacts pic.twitter.com/hIelK79fo4
シロヘラコウモリは熱帯地域に生息する小型のコウモリで、英名はHonduran White Batといい、翼手目ヘラコウモリ科の果食性のコウモリです。英名は彼らの生息地であるホンジュラスから取られているようです。
現在発見されているコウモリの中で色の白いコウモリは実は2種類ほどいるそうで、シロヘラコウモリはコウモリの中でも小さい個体の一つとされています。
体長
シロヘラコウモリと同じくコウモリの中でも小さいとされる品種に、海外ではLittle white-shouldered batと呼ばれるコウモリがいます。しかしそれはオスの体長はシロヘラコウモリと変わらないようですが、メスは若干大きく40〜53 mm程度とオスメスで大きさが違うようです。
なお、こちらはリーパーやデストロイヤーなどと呼ばれるようなこともあるらしく、サイズ感以外はシロヘラコウモリと真逆の印象のコウモリのようです。
見た目の特徴
耳の色は子供の時の方が色素が薄く、大人に成長するにつれて鮮やかな黄色になります。また大人のオスのシロヘラコウモリの方が、大人のメスより鼻の色が明るいという違いも指摘されています。これでつがいを探す時の判断材料にしているのではないかという意見もあるようです。
好む餌
コウモリの中でも果実を主食とするのは大型のものが多い中で、とても珍しい食性をしていると言えるでしょう。
繁殖方法
出産は同じコロニーのメスだと同じ週に一斉に出産を行うようで、子供は生後3、4週間で飛行できるようになり巣立っていくといいます。
生息地
ヘリコニアのという大型の葉を好んで巣とするテントの材料に使用することが多いようで、折りたたんで作り上げたテントの裏にしがみ付くようにして1〜15匹程度が一つのコロニーで暮らしています。
活動時間
夜になると餌となる果物を求めてテントから飛び立っていきます。
習性
葉を折り曲げ作ったテントは雨風を凌ぐことができ、その中は通常23度程度の温度で保たれた過ごしやすい空間となっているのです。
シロヘラコウモリは飼育できるのか?
Not to be confused with a cotton ball, the tiny Honduran white bat has white fur that helps to camouflage it while roosting in foliage. When sunlight passes through a leaf, it casts a green tinge on the bat’s white fur, allowing it to better blend in with its surroundings! pic.twitter.com/IoVsjJA43Z
— American Museum of Natural History (@AMNH) June 2, 2018
残念ながらシロヘラコウモリの個体数は年々減ってきており、絶滅の危機に瀕しているため、当然のことながら日本への流通もありませんし、ペットとして飼うことも不可能です。
減少の背景には、生息地が農地へと開拓される影響による説以外に、果実食であるシロヘラコウモリの、餌の対象がほぼイチジクの実ばかり食べて生活しているとも一説です。その限定的な食性が生息地を狭めていっているのではないかという見方もあるようです。
シロヘラコウモリは日本で見ることができない
日本にいるうちは写真や動画などで楽しむしか、彼らの容姿や動きを知る術はありません。この目で見たいというのであれば、生息地まで足を運ぶ他に方法はないでしょう。
シロヘラコウモリは減少傾向にある
Look how #cute! The cotton balls of the forest, Ectophylla alba (Honduran white tent #bats), roosting under a Heliconia leaf tent in La Selva, #CostaRica. Note mosquito for scale! Photo by @ErinKup. #uconneeb #fieldwork #biodiversity #science pic.twitter.com/533GePWtF0
— UConn EEB Department (@uconneeb) May 24, 2018
年々発見される個体数が減ってきているシロヘラコウモリですが、その要因は彼らが果実の中でもイチジクを中心に食べる特殊な食性であるほかに、人間が土地を農地化したり開拓することによって彼らの生息域を奪ってしまっているという点があります。
過去の絶滅危惧種を見ていても、人間が動物の生息域に足を踏み入れ何らかの干渉をすることによって、もともとそこにいた動物の生態系を脅かし絶滅に追いやっているケースは多いです。人の都合もありますが、その地域の自然や環境に配慮する気持ちを忘れないように、ある程度の線引きをしながら、彼らと共生していける道を探していく必要があるでしょう。
日本では野生のコウモリを飼うことはNG
そうでなくても日本にシロヘラコウモリは生息していないので、そもそも捕まえること自体が無理ではありますが、野生の動物を捕まえて飼うのは、法律違反の他にも伝染病や寄生虫をもっている可能性もあります。
コウモリに限定することなく野生動物を飼うのはそのような危険が伴います。必ずペットは適切な販売店で求めましょう。
シロヘラコウモリの生態と実情を把握しよう
cotton ball bats?? pic.twitter.com/Y3tQxNLuFq
— Erin Rose (@erinz01) March 11, 2014
白くてふわふわとした体毛で人形のように愛らしいシロヘラコウモリですが、現在絶滅の危機に瀕しており、日本では飼うことも実物を動物園などで見ることも難しいことがわかりました。
実物は簡単に目にすることはできませんが、この記事で魅力的な彼らの容姿や性質などを再度確認していただき、彼らの生息域を守るのと同じように少しでも環境保全に関心をもっていただく切っ掛けにしていただきたいです。
ゆくゆくは動く彼らを是非生息地まで足を運んでその目で見てください。実物を見ればさらにシロヘラコウモリの生きる環境を守りたいという気持ちが湧いてくることでしょう。