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シロヘラコウモリは飼うことができる?特徴や餌・生息地なども解説

自然界に色の白いコウモリが存在していることを知っていますか。黒い色で、暗闇にすみ強いイメージが強いコウモリですが、世の中にはふわふわとした白い体毛のコウモリが存在します。

この記事では日本人のほとんどが知らないであろう、珍しい白い体毛のシロヘラコウモリの特殊な生態や彼らのおかれている状況についてと、気になる日本で飼うことができるかどうかについても合わせて詳しくご紹介いたします。

これを読むことで、シロヘラコウモリの外見だけでなく彼らの暮らす環境やとりまく現状のことについても把握できるはずです。

なにかのメディアでシロヘラコウモリを見かけて気になっていた方や、エキゾチックアニマルに興味がある方は是非目を通してください。

シロヘラコウモリの生態とは?



シロヘラコウモリは熱帯地域に生息する小型のコウモリで、英名はHonduran White Batといい、翼手目ヘラコウモリ科の果食性のコウモリです。英名は彼らの生息地であるホンジュラスから取られているようです。

現在発見されているコウモリの中で色の白いコウモリは実は2種類ほどいるそうで、シロヘラコウモリはコウモリの中でも小さい個体の一つとされています。

体長

体長は37〜47mm程度と小型で、広げると翼になる前腕は片方で27.8〜29.3 mm程度の長さです。体重は僅か5〜6g程度で、五百円玉一枚よりも軽い動物ということになります。

シロヘラコウモリと同じくコウモリの中でも小さいとされる品種に、海外ではLittle white-shouldered batと呼ばれるコウモリがいます。しかしそれはオスの体長はシロヘラコウモリと変わらないようですが、メスは若干大きく40〜53 mm程度とオスメスで大きさが違うようです。

なお、こちらはリーパーやデストロイヤーなどと呼ばれるようなこともあるらしく、サイズ感以外はシロヘラコウモリと真逆の印象のコウモリのようです。

見た目の特徴

手でつまめるほどの小さな体に、ふわふわの白い体毛を持ち、鼻と耳は黄色味の強い明るめのオレンジ色をしています。翼手を広げると、膜の色は黒いです。

耳の色は子供の時の方が色素が薄く、大人に成長するにつれて鮮やかな黄色になります。また大人のオスのシロヘラコウモリの方が、大人のメスより鼻の色が明るいという違いも指摘されています。これでつがいを探す時の判断材料にしているのではないかという意見もあるようです。

好む餌

シロヘラコウモリは雑食ではありますが、主に果実を食べています。中でもイチジクを中心に食しているようで、シロヘラコウモリの耳や鼻の色素は、イチジクから摂取したカロテンの色素沈着が現れているとの見方があります。

コウモリの中でも果実を主食とするのは大型のものが多い中で、とても珍しい食性をしていると言えるでしょう。

繁殖方法

シロヘラコウモリの繁殖についてはまだ不明な点が多いです。時期的には春頃から繁殖を始めるという見立てが多く、一度で産む子供の数は一匹のみのようです。

出産は同じコロニーのメスだと同じ週に一斉に出産を行うようで、子供は生後3、4週間で飛行できるようになり巣立っていくといいます。

生息地

シロヘラコウモリの生息ちは主に熱帯地域です。英名の由来となっているホンデュラスを始め、コスタリカやニカラグア、パナマ西部など中米の低地が主な生息域です。

ヘリコニアのという大型の葉を好んで巣とするテントの材料に使用することが多いようで、折りたたんで作り上げたテントの裏にしがみ付くようにして1〜15匹程度が一つのコロニーで暮らしています。

活動時間

シロヘラコウモリも他の多くのコウモリと同じく夜行性なので、日中は天敵に見つからないようにヘリコニアのテントの中で体を休めています。万一、天敵が現れても、ヘリコニアの葉で作ったテントは少しぶつかるだけで揺れるので、敵が来てもすぐに察知することが可能です。

夜になると餌となる果物を求めてテントから飛び立っていきます。

習性

シロヘラコウモリにはコットンボールバットなど様々な呼び名がありますが、その一つにCaribbean white tent-making batというのがあります。その名の通りシロヘラコウモリはテントを作り、その中で集団で暮らす習性があります。

葉を折り曲げ作ったテントは雨風を凌ぐことができ、その中は通常23度程度の温度で保たれた過ごしやすい空間となっているのです。

シロヘラコウモリは飼育できるのか?



残念ながらシロヘラコウモリの個体数は年々減ってきており、絶滅の危機に瀕しているため、当然のことながら日本への流通もありませんし、ペットとして飼うことも不可能です。

減少の背景には、生息地が農地へと開拓される影響による説以外に、果実食であるシロヘラコウモリの、餌の対象がほぼイチジクの実ばかり食べて生活しているとも一説です。その限定的な食性が生息地を狭めていっているのではないかという見方もあるようです。

シロヘラコウモリは日本で見ることができない

そもそも絶滅の危機に瀕している動物のため輸入禁止になっていて、動物園などに生息地である本国から送られてくるルートすらないため飼うことはできないので、日本国内でシロヘラコウモリを目にすることの出来る動物園はないです。

日本にいるうちは写真や動画などで楽しむしか、彼らの容姿や動きを知る術はありません。この目で見たいというのであれば、生息地まで足を運ぶ他に方法はないでしょう。

シロヘラコウモリは減少傾向にある



年々発見される個体数が減ってきているシロヘラコウモリですが、その要因は彼らが果実の中でもイチジクを中心に食べる特殊な食性であるほかに、人間が土地を農地化したり開拓することによって彼らの生息域を奪ってしまっているという点があります。

過去の絶滅危惧種を見ていても、人間が動物の生息域に足を踏み入れ何らかの干渉をすることによって、もともとそこにいた動物の生態系を脅かし絶滅に追いやっているケースは多いです。人の都合もありますが、その地域の自然や環境に配慮する気持ちを忘れないように、ある程度の線引きをしながら、彼らと共生していける道を探していく必要があるでしょう。

日本では野生のコウモリを飼うことはNG

鳥獣保護法という法律があり、野生の生き物をむやみやたらに捕まえることが禁止されています。コウモリも例外ではないため、捕まえて飼育しているところがみつかれば、法律違反です。

そうでなくても日本にシロヘラコウモリは生息していないので、そもそも捕まえること自体が無理ではありますが、野生の動物を捕まえて飼うのは、法律違反の他にも伝染病や寄生虫をもっている可能性もあります。

コウモリに限定することなく野生動物を飼うのはそのような危険が伴います。必ずペットは適切な販売店で求めましょう。

シロヘラコウモリの生態と実情を把握しよう



白くてふわふわとした体毛で人形のように愛らしいシロヘラコウモリですが、現在絶滅の危機に瀕しており、日本では飼うことも実物を動物園などで見ることも難しいことがわかりました。

実物は簡単に目にすることはできませんが、この記事で魅力的な彼らの容姿や性質などを再度確認していただき、彼らの生息域を守るのと同じように少しでも環境保全に関心をもっていただく切っ掛けにしていただきたいです。

ゆくゆくは動く彼らを是非生息地まで足を運んでその目で見てください。実物を見ればさらにシロヘラコウモリの生きる環境を守りたいという気持ちが湧いてくることでしょう。
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