ニワトリの飼育方法！ペットから家庭養鶏まで注意点や許可についても解説

「ニワトリを飼育するにはどのようなものが必要なの？」
「ニワトリは飼育に向いているの？」
「ニワトリの飼育に必要なものと選び方は？」
このように、ニワトリの飼育を検討している人の中には、飼育に関する様々な疑問があふれ、躊躇してしまっている人も多いのではないでしょうか。

本記事ではニワトリの種類から飼育に必要なものや飼育方法をはじめ、ニワトリを飼育する時の注意点やニワトリを飼う目的なども紹介していきます。

この記事を読むことで、ニワトリを飼育するイメージがつかめるため、飼育する際にどのようなことに注意すれば、1日でも長く一緒に過ごせるのかが分かるでしょう。

現在ニワトリの飼育を考えている人は、ぜひ本記事をチェックし、ニワトリの育て方の参考にしてください。

ニワトリの特徴は、頭部に「鶏冠（トサカ）」と呼ばれる皮膚の一部が発達した装飾器官があることです。一般的に鶏冠はオスが大きく発達し、メスはあまり発達しません。

品種にもよりますが、ニワトリの大きさはオスが約70cm、メスは約50cm程度と鳥の中では大きめです。大きめの鳥ではありますが、渡り鳥ではないため翼は発達していません。翼は身体の割には小さく、長時間の飛行はできません。

なお、野生化したニワトリの場合は筋肉量が多く、数十ｍ程度飛ぶことがあります。

ニワトリの鳴き声でお馴染みなのは「コケコッコー」や「コケーコッコ」ですが、大きな声で鳴くのはオスのみで、メスは鳴きません。

オスの鶏冠や風貌が好きな方にとっては良いでしょうが、家庭で飼う場合は鳴き声が大きいことに注意しましょう。

ニワトリの場合、メスのみで飼育しても卵は採れますが、産卵数はオスと一緒にいる方が多くなります。オスを入れる場合は、メス3〜4匹に対しオス1匹程度が理想です。

ニワトリは、古くから人と共存してきた動物です。

最初は、東南アジアから中国にかけて家畜として飼われていました。当初は朝の鳴き声を求めて飼育されていましたが、徐々に闘鶏用などに変化し、現在では食用にもなっています。

日本に伝来したのは弥生時代の頃とされており、その当時は神聖な鳥として崇められていました。そのため、日本ではペットとして飼育されていた期間が長く、食用とされたのは鶏卵からと言われています。

ニワトリの平均寿命は、約10年と言われています。ペットとして飼育する場合は、ヒヨコの時期の死亡率が高い傾向にあるため、保温と餌の種類が重要です。

冬場は特に体温が下がりやすいため、保温電球などを使い低体温に気を付けましょう。餌も、ヒヨコ用の粒が細かく栄養価の高い飼料を与えるようにすると健康に育ちます。

ヒヨコの時期の管理が将来の健康につながるため、愛情を持って飼育してください。

ニワトリの種類は数え切れないほど存在するため、ここでは、よく聞く種類のニワトリを紹介しましょう。

ニワトリの中には、家畜用として飼育されることが多い肉用鶏や、卵の質がよいとされる採卵鶏の他、見た目が美しい観賞用のものも存在します。

ペットとして飼育するときの楽しみは、やはり卵でしょう。ただし、ニワトリは、毎日一つずつ卵を産むわけではありません。種類によって平均排卵数と卵の質も変わります。

以下でそれぞれの種類について詳しく紹介するため、ペットとしてニワトリを迎える際の参考にして下さい。

ペットショップなどでよく販売されているニワトリの代表的な種類は、ボリスブラウンです。

このボリスブラウンは、ペットとして飼育しやすく、丈夫なことから人気が高い種類になっています。

ボリスブラウン全体が茶色のニワトリで、オスはトサカが大きく色は薄色、またはうす茶色です。メスのトサカは小さく色は濃い茶色です。

攻撃的な性格ではないため、仲間同士の喧嘩やつつき合いなどもなく穏やかに飼育できるでしょう。

ボリスブラウンは多産で卵をよく産みます。産卵する年齢は3歳ぐらいがピークで、年間産卵数で330個ほど産卵する時期もあります。

しかし、ピークを過ぎると産卵数は減っていくので、残りの期間も大切に飼育する覚悟が必要です。

ヒヨコの時期のオスとメスの区別も簡単で、色が薄い方がオスで、濃い方がメスと、見た目で判断できることも特徴の一つです。

チャボは、肉用鶏や採卵鶏とは違い、観賞・愛玩用のニワトリです。品種は非常に多く、コレクターや品評会があるなど、ペットとして飼育している人も多く見られます。

チャボは、羽色やトサカ、形や模様などの違いによって呼び方が違います。なお、色の特徴が出るのはオスの場合が多く、メスには該当しない場合もあります。

大きさは他種のニワトリより小型で、オスが700g程度、メスで600g程度です。観賞・愛玩用を目的として品種改良されてきたことから、性格は基本的に穏やかです。小型でおとなしいことから、室内飼いもできます。

卵を温めるのが得意で仮母もできるため、産卵時に卵のすり替えをしても、自分の卵と認識し温めて孵化させます。

飼育する際は、定期的な日光浴と動けるスペースを確保してください。可能であれば、毎日30分ほどの日光浴をし、動き回るスペースの確保や散歩をすることで、弱りやすい足腰の健康維持につながります。

烏骨鶏の特徴は、おとなしい性格に加えて栄養が豊富な卵を産む点です。年間産卵数60個ほどと、産卵回数が少ない貴重な卵は栄養価が高く、濃厚でおいしいと言われています。

皮膚、内臓、骨などが黒色なのも大きな特徴です。羽の色は白が多いですが、黒色の個体も存在します。トサカも特徴的で、黒く潰れています。

大きさはオスが1000g程度、メスで800g程度で、性格はとてもおとなしく温厚です。

烏骨鶏は室内飼いもしやすい種類のため人になつきやすく、ペットとして飼育しやすい点でもおすすめです。

貴重な卵を産んだ時の感動も格別でしょう。

尾長鶏は、その名のとおり尾羽が長いことが大きな特徴です。オスの尾羽は最長で約13mまで伸び、傷がついたり抜かれたりしなければ伸び続けます。

色は茶色系の褐色種、白色だけの白色種、黒と白色の白藤種がいます。大きさはオスで1.8kg程度、メスで1.4kg程度と大きめの種類です。

尾長鶏は、置物などでも縁起物としての人気がある鳥です。高貴の象徴とされており、商売繁盛や良い運気が舞い込むとも言われています。

動物園では見られますが、一般飼育可能な種としては流通がないため、購入は専門業者に依頼する方法のみでしょう。

ニワトリは、観賞・愛玩用として飼育されるか、肉用鶏や採卵鶏のように家畜として飼育するかに分けられます。目的によって種類を選ぶと良いでしょう。

飼育難易度は様々ですが、どの種類もオスは朝に美しく鳴き、メスは卵を産みます。屋外飼育の場合は、居住地の気候に合わせて種類や飼育環境も考慮しましょう。

ここからは、ニワトリの飼育方法や飼育する際に必要なものや注意点などを紹介します。ぜひ参考にしてください。

烏骨鶏やボリスブラウンなど、小型のニワトリは愛玩・ペット目的の飼育に向いています。

ただし、ニワトリを室内飼いする場合は排せつ物に注意が必要です。ニワトリはトイレを覚えられません。ケージから出して遊ぶときなどに、糞はなるべく早く掃除するようにしましょう。

養鶏の場合、屋外飼育もありますが飼育環境には注意が必要です。猫などに襲われる危険があるため、金属製のケージを用意しましょう。ペットショップなどではニワトリ専用のケージが入手しにくいため、専門店で購入することをおすすめします。

オスは早朝に大きな声で鳴くため、近所との騒音トラブルにも注意が必要です。この点は十分に考慮してください。採卵目的でメスのみ飼育する場合もあります。

ニワトリはヒヨコから育てると人に懐き、後ろを追いかけてきたり肩に乗ったりするようになります。とても可愛らしい仕草が見られるでしょう。

烏骨鶏やチャボなどのニワトリは、養鶏に向いています。鳥小屋を使った平飼や鶏舎での養鶏では、雄雌のつがいを飼育することで有精卵を採卵でき、繁殖もできます。

ただし、採肉目的で養鶏する場合は、素人では難しいため屠畜できる業者を調べておきましょう。

屋外飼育の場合は、大きなケージの準備などの初期費用がかかりますが、大切にしているペットが卵を産む感動と、その卵を食べる感動が味わえるでしょう。

卵の色が特徴的なニワトリの種類にアローカナがいますが、神秘的な青みがかった色の卵を産むことで知られています。

ここでは、室内飼育のために必要なものを紹介します。屋外飼育や平飼いとは違い、室内飼いでは様々な注意点もあります。

ヒヨコの時期から大人の時期まで、年齢によって使う用品の違いを解説するため、成長時期や大きさに合わせて選んであげましょう。

ヒヨコのうちは保温が重要になるため、水槽など、風が入りにくい容器がおすすめです。大きさによって値段は違いますが、ヒヨコが過ごせるスペースが確保できれば十分でしょう。糞や汚れも少ないため、掃除も簡単です。

成鶏になってからは、うさぎ用や小型犬用などの大きめのペットケージを利用しましょう。大きさは70×45cmほどのスペースを確保してください。底が引き出し式になっているタイプのものを選ぶと、掃除が簡単で便利です。

ただし、ニワトリの足が触れる床面が金網のものはニワトリの足を冷やしてしまうため、木製のすのこなどを使って対策してあげましょう。

ヒヨコに使用する床材は、トウモロコシ由来のケイコブリターなど、体に優しいものを利用しましょう。

成鶏になってからは、滑り止めや匂い予防のための針葉樹マットなど、誤飲しないものを選んでください。

ニワトリの習性上、消化不良時やカルシウム不足などを補うために砂を食べる性質があり、誤飲の恐れがあります。体内に蓄積されてしまうため、使用しないよう注意しましょう。

ヒヨコの時期も成鶏の時期も、餌は配合飼料を与えましょう。ニワトリに合わせた様々な種類の穀物などが配合されています。

配合飼料の主原料は、とうもろこし、マイロ、大豆油かす、なたね油かす、コーングルテンミール、ふすま、米ぬか、魚粉などです。

配合飼料は、成長過程に合わせて栄養分を変えているため、適切な月齢の飼料を与えることで健康の維持につながります。

飼料を購入する目安として、成長過程の呼び名を覚えておきましょう。

・幼雛(ようすう)：生後1日目～8日までのひな
・中雛(ちゅうすう)：生後28日目～70日目までのひな
・大雛(だいすう)：生後70日目～140日目までのひな
・成鶏(せいけい)：生後140日齢以上

ニワトリの水入れは小鳥タンクなどがおすすめです。

形状としては置き型でタンク式のものが良いでしょう。たくさん水を飲むため、大きめのものを使用してください。ケージ飼育の場合は、犬用の皿式ペットボトル給水器であれば、場所を取らずに便利です。

ただし、ヒヨコの頃は小さめのもので十分です。プラスチック製のものを使えば、内部の掃除も簡単で衛生的です。

成鶏の場合は、水入れを倒してしまう危険性もあるため、陶器の水入れを使うことをおすすめします。

ただし、陶器のものはタンクの内側が洗えないのが難点になるため、その点を考慮して使いましょう。

ニワトリは、餌を食べながら水を飲む習性があるため水が汚れやすくなります。水は毎日取り替えてください。

ここからは、ニワトリの入手方法や自治体への手続きなどをはじめ、毎日の世話について見て行きましょう。餌やり、掃除、散歩など、ニワトリを飼育するには、必要なことがたくさんあります。

そして、最後にはニワトリを飼育する上での費用も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

ニワトリは、大型のペットショップなどで販売されていることもありますが、ごく稀です。ほとんどの場合、ペットショップでは買えないと考えてください。

ニワトリの飼育を考えるのであれば、｢種鶏養鶏場」を探して買い付ける方が入手しやすいでしょう。また、近所で購入できれば様々な心配も相談できるため安心です。直接電話して相談してみましょう。

ただし、養鶏場によっては法律の観点から一般販売しないところもあるため、その点は頭に入れておいてください。

ニワトリを飼う際は、各自治体への届出と許可が必要です。

飼育を始めたら、居住地の農林水産の担当課に行き、ニワトリを飼っていることを説明し、書類に必要事項を記入します。書類を提出することで、病気などが発生した時にも役立ちます。

また、100羽以上のニワトリを飼育する場合は、この書類とは別に飼育環境などについてのチェック表の提出が必要です。

餌を与える時は、1日の給与量を2、3回に分けて与えることで餌の鮮度を保ちましょう。常に餌を置いたままの不断給餌でも構いませんが、餌が汚れることがあるので注意が必要です。

水分量が少ない配合飼料を与える場合も、毎日全ての餌の入れ替えをしてください。これは虫やカビの発生を予防するためです。

ニワトリの餌の賞味期限が、製造から3ヶ月ほどと短くなっている理由もここにあります。

室内飼いの場合、餌を食べる時や羽ばたきをする時に細かい埃が発生します。ケージの近くには埃に弱い製品を置かないようにしましょう。ケージにカバーを付けるのも対策の一つです。

ニワトリの体臭は少なく、臭いの発生源のほとんどは糞です。ケージ内の掃除は1日1回することを心がけてください。

引き出し式のケージであれば、掃除が簡単にできるためおすすめです。

ニワトリにとって、散歩や運動も大事ですが、何より大切なのは日光浴です。日光に当たらないと、ニワトリの体内で必要な栄養素が形成されなくなるため、様々な体調不良が現れます。毎日出来なくても、2、3日に1度ぐらいは2時間ほど日光浴をさせましょう。

また、綺麗な砂を準備して砂浴びさせるのも良いでしょう。ただし、砂浴びさせる時は、逃走や他の動物に襲われる危険性があるため、目を離さないでください。

飼育を始めるための初期費用としてケージ代などがありますが、1羽であれば大型のものは必要ないため、1万円程度で済みます。

ニワトリの場合、日々の飼育費用は他のペットに比べても安く、餌代や床材などでも千円程度でしょう。

室内飼育のベッドの中では、費用がかからない部類と言えます。

ニワトリを室内でペットとして飼っている人は、それほど多くないでしょう。屋外で飼育している方がほとんどでしょうが、屋内・屋外を問わず、飼育の際には様々な点に注意が必要です。

ここからは、ニワトリの飼育を考えるにあたっての注意点を見て行きましょう。また、ニワトリがかかりやすい病気なども紹介するため、ぜひ参考にしてください。

室内飼育の場合も屋外飼育の場合も、こまめに掃除をすることが大切です。

特に室内飼育の場合は、ニワトリがトイレを覚えないことを踏まえ、糞はなるべく早く掃除をしましょう。ケージ内の掃除で、一日一回必ず糞を処理してください。

屋外飼育の場合も、糞や汚れが溜まると様々な病気の原因になるため注意が必要です。清潔な環境を保ち、病気などの予防につなげましょう。

ニワトリのオスは、「コケコッコー」と大きな声で鳴くのが特徴ですが、昼夜問わず鳴くわけではありません。ほとんどの個体は朝早い時間に鳴きます。

そのため、騒音トラブルになりやすい地区の場合は注意が必要です。

ほとんど鳴かないと言われるメスであっても、産卵前後は大きな声で鳴くことがあるため安心とは言い切れません。飼育前には、近所の承諾を得ることをおすすめします。

上記を踏まえ、伸び伸びニワトリを飼育したい場合は、近所の目が気にならない地区で飼うことも検討しましょう。

ここでは、鳥特有の病気やニワトリがかかりやすい病気を紹介します。事前にチェックすることで、素早い対処ができます。また、病気の内容を理解しておけば、ニワトリの体調不良にもいち早く気づけるでしょう。

不安なことがあれば、専門家や獣医に相談のがおすすめです。獣医でも、鳥の専門家は少ないため、近所の動物病院で事前に確認しておくと良いでしょう。

ペットの病気は、飼い主が早く気づくことが大切です。

鳥特有の病気として代表的なものが鳥インフルエンザです。

ニュースなどでたびたび取り上げられている病気ですが、症状としては下痢や呼吸器症状などがあります。

感染力が非常に強く、感染するとほとんどの場合が死に至る恐ろしい病気です。他の鳥との接触が主な感染源になるため、多頭飼いしている場合は速やかに隔離しましょう。

出典：高病原性鳥インフルエンザについて（鳥を飼っている皆さんへ）｜東京都福祉保健局
参照：https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/bird/kobyogen_shiiku.html

出典：ペットの鳥を鳥インフルエンザに感染させないための対策について～｜東京都福祉保健局
参照：https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/bird/pet.html

ニワトリの尿酸は肝臓で生成されますが、排泄に障害が起きると尿酸塩沈着症が起きます。主な原因は、水分不足や栄養不足です。

肝機能障害や排泄障害、骨や関節の異常などの症状があり、見た目や排泄物で判断できる病気の一つなので、毎日の観察で気づくことが可能です。

正しく管理することで予防、改善できる病気ですが、発症した場合は短命になることがあります。

出典：鶏の尿酸塩沈着症（痛風）｜岩手県
参照：https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/nougyou/desaki/chuuou/1007895/1007969/1007971.html

マレック病はウイルス感染によって起こる鳥の病気で、人には感染しません。ウイルスは鳥の羽でも感染するため注意が必要です。繁殖目的などで多頭飼いしている場合は、特に細心の注意が必要です。

鳥の体内のリンパに腫瘍を形成するため、神経が侵されて翼や足に麻痺症状が起これば、全身に広がり死に至ります。

この病気は、ニワトリとウズラの届出伝染病に指定されています。主な対策はワクチン接種となっているため、忘れずに接種しましょう。

出典：マレック病｜農研機構
参照：https://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_dictionary/todoke/t56.html

本記事では、ニワトリの飼育方法について詳しく紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

人に慣れ、飼いやすいと言われるニワトリですが、飼育には様々な注意点やスタイルがあります。自分の環境に合ったニワトリの種類や飼い方の参考にしてください。

ニワトリを飼うことの醍醐味は、卵が産まれた時の感動でしょう。大切に育てることで、飼い主に慣れて慕ってくれる愛らしいニワトリを、正しい方法で飼育してあげましょう。