cms-import-animaroll-wp

キジバトは何を餌にしている?ドバトとの違いや人間との関わりについても解説

「キジバトってどんな鳥?」
「キジバトは何を食べているの?」
「キジバトって飼えるの?」
キジバトという野鳥について、このような疑問をもったことはありませんか?キジバトは、美しい羽根の模様や、誰もが聞いたことのある独特な鳴き声が特徴的な、街中でも見られる野鳥です。

この記事では、キジバトの外見上の特徴や生態、キジバトの飼育は可能か、人間とはどのような関わりがあるかなどについて、また、公園などでよく見かけるドバトとの違いについても紹介します。

この記事を読むと、キジバトのくわしい特徴や、食べている餌、人間の近くで暮らすキジバトの問題などがわかり、今までよりもっとキジバトを身近に感じ、観察してみたくなるでしょう。

キジバトが好きなかたや、独特な鳴き声が気になっていたかた、野鳥に興味があるかたは、ぜひ読んでみてください。

キジバトの特徴は?

キジバトは、ハト目ハト科に分類される鳥です。

街中でよく見るドバトに大きさやシルエットがすこし似ていますが、羽根の色や模様、独特な鳴き声などの目だった特徴がいくつかあるので、見わけやすいでしょう。

ちなみに、「キジバト」の名がついたのは、ウロコのような羽根の模様が、雌のキジの羽根に似ているからだといわれています。

生息地

キジバトの生息地は、ユーラシア大陸の東側の地域と、日本列島です。

北海道や北日本に生息するキジバトは、冬になると暖かい南のほうへ移動して生活している個体が多いですが、それ以外の日本の各地域では季節を問わずその姿を見ることができます。

キジバトは、森林や農耕地のほか、都市部などでもよく見られる身近な鳥です。

大きさや色合い

キジバトの全長は、雌雄ともに33センチメートル前後です。

胴体はやや赤みをおびた灰色をしていて、翼や背の上部に生える羽根は、黒色に茶色のふちどりが入ることで、ウロコのように見えます。また、首の両横に青色と黒色の縞模様があるのも大きな特徴です。

キジバトは雌雄同色のため、ぱっと見ただけで雄と雌の見わけをつけるのは難しいでしょう。

鳴き声

キジバトの鳴き声は「デーデー、ポーポー」というリズムでくり返されるのが一般的です。

この独特な鳴き声は印象に残りやすいので、キジバトの声だとは知らなくても、ふだんの生活の中で聞いたことがあるという人も多いでしょう。

「デーデー、ポーポー」と鳴くのは雄であり、高い場所で声をひびかせて縄張りを主張したり、雌へ求愛したりしているといわれています。

天敵

キジバトの天敵としては、タカ・ワシ・フクロウなどの猛禽類や、カラス・ネコ・ヘビなどがあげられます。

とくに、子育て中に卵や雛を天敵に食べられてしまうことは、キジバトにとって深刻な問題です。

都市部で繁殖している場合、猛禽類はそう多くはいませんが、カラスやネコ、ヘビなどにねらわれてしまうので油断はできません。

キジバトの餌

キジバトはおもに植物性の餌を食べて暮らしていますが、完全な植物食というわけではなく、雑食性なので動物性の餌も食べることが可能です。

歯がないので餌は丸のみにしますが、あらかじめのみこんでおいた石や砂などを使い、胃の中ですりつぶして消化しています。

キジバトが餌にしているのは、以下のような食べものです。
  • 果実や種子
  • 昆虫・ミミズ
  • 貝類

果実や種子

キジバトのおもな餌となるのは、果実や種子などの植物性の食べものです。地面を歩きながら落ちている種子をついばんだり、木になっている果実をむしり取って食べたりします。

また、農耕地に生息するキジバトにとっての餌は、畑で栽培されている豆類や穀物などです。そのため、地域によっては農業への深刻な被害が出る場合があります。

昆虫・ミミズ

キジバトのおもな餌は植物性の食べものですが、昆虫やミミズなどの動物性のものも食べることがあります。

ただ、キジバトが食べている植物性の餌の量に対して、動物性の餌がしめる割合はさほど多くありません。農耕地か都市部かなど、地域によって割合が変わってくる可能性はありますが、キジバトの餌の大部分は植物性なのです。

貝類

キジバトが食べる動物性の餌として、昆虫やミミズ以外では貝類があげられますが、やはりメインで食べている植物性の餌の量に比べると、貝を食べることは多くないといえるでしょう。

キジバトが貝を食べるのは、カルシウムを摂取するためではないかといわれていて、食べるときは貝殻ごと丸のみにして食べています。

キジバトとドバトの違い

ドバトは、公園や駅前の広場などに集団でいるのをよく見かける、人間にとってなじみ深い鳩で、キジバトとよく似ています。

しかし、キジバトのもつはっきりとしたウロコ模様の羽根や、首横に出る青と黒の模様はドバトにはありません。

また、キジバトが単独かつがいで過ごすことが多いのに対し、ドバトは基本的に群れで行動するといった違いがあるため、見わけることができるでしょう。

キジバトの子育て

キジバトをはじめとした鳩のなかまは、ほかの鳥たちのように繁殖期が限られていないため、どの季節でも子育てをすることができます。

キジバトのつがいは、巣作りから雛の巣立ちにいたるまで、つねに夫婦で協力しあい、とてもなかよしです。

雌雄で役割分担がしっかり決まっているので、効率的に子育てを進めることができます。

キジバトは一夫一婦制

キジバトは基本的に、一度つがいを形成すると、2羽でなかむつまじく過ごし、同じつがいで年に何度も繁殖を試みます。

雌雄でいっしょに巣を作り、抱卵から餌やりまで雌雄交代で行うなど、いつも協力的です。

もし、つがいの相手が代わった場合は、相手がなんらかの理由でいなくなってしまったために、新しいつがいを形成した可能性があります。

繁殖期は周年

キジバトには定まった繁殖期がなく、年に何度も繁殖することができます。

なぜなら、雛に餌として与えるための栄養豊富な物質を体内で生成できるため、ほかの鳥のように虫を与える必要がなく、虫があまりいない季節でも雛の餌には困らないからです。

また、古い巣を再利用する習性や、雛が完全に巣立つ前に次の巣作りを準備できることなども要因にあげられるでしょう。

簡単な皿巣を作る

キジバトは、細い木の枝を材料に使い、30センチメートルほどの大きさをした皿型の簡単な巣をこしらえます。

枝を運んでくるのは雄の役割と決まっていて、うけとった枝を組みたてて巣を形づくっていくのは雌の役割です。

枝を組んだだけの簡素な巣ではありますが、雄は一本ずつ枝を運んでくるため、何度も何度も往復しなければなりません。

抱卵から巣立ちまで

キジバトの抱卵期間は約15日間で、雛が孵化してからさらに15日ほどで巣立ちのときを迎えます。

キジバトが生む卵の数はたいてい2個で、昼は雄、夜は雌が抱卵の担当者です。雛の孵化後も、しばらくは両親が協力して雛をあたためつづけます。

そして、巣立ちが近づくにつれ、両親はしだいに巣を離れる時間を増やし、与える餌の内容も変えていくのです。

キジバトの狩猟

キジバトは、定められた狩猟期間内であれば、狩猟の対象にすることが許可されている鳥です。

具体的な期間などは各都道府県によって異なりますが、例えば東京都では、キジバトの狩猟が可能な期間は11月15日から翌年の2月15日までで、1日あたりの捕獲制限羽数は10羽と定められています。

そして、狩猟を行うためには狩猟免許が必要です。

出典:狩猟鳥獣の種類等について|東京都環境局
参照:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/hunting_kind.html

キジバトの飼育について

野鳥であるキジバトは、ほかの野鳥と同じように法律によって守られた存在なので、勝手に飼育することはできません。法律に違反すると罰則があるので気をつけましょう。

やむをえない事情がある場合でも、必ず届け出をして許可を得る必要があります。ただし、よほどのことがない限り、野性の生物には人間が手を出さないのが原則です。

キジバトは鳥獣保護管理法によって守られている鳥類

キジバトは野鳥であり、鳥獣保護管理法という法律によって守られているため、許可なく飼育することは違法です。

許可なく野鳥を捕獲した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、許可なく捕獲した野鳥を飼育した場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。知らなかったではすまされないので、覚えておきましょう。

出典:鳥獣保護管理法|e-GOV法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088

雛が落ちていたらその場を離れて見守る

もし、雛が地面にいるのを発見したら、思わず手をさしのべたくなってしまいますが、ぐっとこらえてその場を離れ、静かに見守ってあげてください。

巣立ち直後の雛は、まだ上手に行動をコントロールできません。親鳥にすこしずついろいろなことを教わりながら、飛びかたや餌のとりかたを練習しているときなので、人間がじゃまをしてはいけないのです。

衰弱などの理由でしばらく飼育する時は自治体に届け出る

野鳥が衰弱していて、明らかに保護する必要性が見られる場合、すみやかに自治体へ相談してください。

どのような場合であっても、許可なく野鳥を捕獲・飼育することは違法です。

仮に許可を得て一時保護することになっても、それが雛鳥であれば、親鳥から生きるすべを教わっていないまま自然に帰すことになるため、無事に生きのびられる保証はないということを理解しておきましょう。

キジバトの巣を撤去する時も届け出る

キジバトの巣を撤去する場合、産卵前の巣であれば自由に撤去することが可能ですが、巣に卵や雛の存在が確認されれば、やはり届け出をして撤去の許可をうける必要があります。

自分の敷地以外の場所にある巣の撤去を望む場合、その場所の管理者にまずは相談してみましょう。

実際に撤去するときには危険をともなうこともありえるので、専門業者に依頼するのが無難です。

キジバトの雛の餌であるピジョンミルクとは

ピジョンミルクは、鳩の食道の一部がふくらんだ「そのう」とよばれる部分で生成される、タンパク質や雛の成長を促す成分を豊富にふくんだ鳩特有の物質です。

キジバトだけでなく、ほかの鳩も作ることができます。

雌雄どちらも作ることが可能で、虫などを与える代わりにこのピジョンミルクで雛を育てることができるため、季節をえらばず繁殖ができるのです。

キジバトなどの鳩の食生活の変化

キジバトやドバトは、わたしたちのまわりでふつうに見られる野鳥です。彼らにとって人間の生活圏に暮らすことは、安定して食べものを得られるというメリットがあります。

しかしそれは、人間の食べものの食べこぼしや、人間が意図的に与えた餌など、本来の鳩たちに適した餌ではありません。

また、どんどん繁殖して数が増えてしまうという問題もあります。

身近な野鳥になったキジバト

キジバトは、古くから日本に生息している鳥ですが、もともとは山地で繁殖を行い、冬季になると平地に降りてくるという生活が一般的でした。

キジバトが市街地でも繁殖するようになったのは1960年代のころからで、しだいに人口の多い繁華街などでも見られるようになり、今では街中にいるのがあたりまえの鳥として認識されています。

キジバトの食生活の乱れは人間のマナーの乱れ

人間のいる街中で暮らすようになったキジバトは、道に落ちたパンくずやお菓子、ごみ箱からあふれたファストフードのごみに残った食べかすなど、人間の食べものも餌にするようになってしまいました。

油分や塩分、糖分だらけの人間の食べ物が、キジバトの健康にいいわけがありません。

人間のマナーの乱れは、街で生きる野鳥たちの健康をもおびやかしています。

餌を与えないことが基本

キジバトをはじめ、野鳥に餌を与えないことは、彼らの健康を守ることと同時に、人間の生活を守ることにもつながります。

人間が意図的に餌を与えることで野鳥の数がどんどん増えてしまえば、いずれその増えた野鳥たちのフン害や、鳴き声の騒音という問題が起こってしまうからです。

野鳥には餌を与えず、また、食べかすなどの処分にも十分配慮しましょう。

キジバトについて知ろう

キジバトは、もともと山地周辺に生息する鳥でしたが、今では街中でもふつうに見られる身近な存在として親しまれています。

餌となるのは、おもに植物の果実や種子などで、「デーデー、ポーポー」という鳴き声が独特です。

ウロコ模様の羽根が美しい鳥なので、もし、街中でキジバトを見つけたら、ドバトとの見分けかたなどもふまえて、よく観察してみてください。
モバイルバージョンを終了