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カワセミとは?カワセミの生態10選と名前の由来や仲間もご紹介

カワセミとは?

カワセミは英語でKingfisherと言い、その名が示すとおり魚を捕る名人です。と言っても人ではなくスズメより少し大きな小鳥ですが。

カワセミは長いくちばしと大きな頭を持ち、何と言っても、宝石のように美しい姿が特徴的です。背中はコバルトブルー、おなか側はオレンジ色をしています。

カワセミは「チッチッー」「チー」と甲高い声で鳴きます。オスのくちばしは全て黒色ですが、メスの下くちばしは赤色をしています。

カワセミの名前の由来

カワセミは川に棲むセミという意味で、セミはもともと「ソニ」と呼んでいたものが「ソビ」に、それがさらに「セミ」になったという説があります。

そもそもカワセミは、ブッポウソウ目カワセミ科カワセミ属の全15種の中の1種の鳥です。カワセミを漢字で書くと、翡翠、漁狗、川蟬となります。実は、その他にも鴗、魚虎、魚師、水狗などと多くの漢字が充てられています。

ここで翡翠(かわせみ)とはヒスイとも読み、ご存じのとおり美しい宝石のことです。また、川蟬はもちろんセミとは関係がなく、カワセミという音から漢字を当てています。

また、魚狗、水狗、魚虎や魚師などは、いずれも「かわせみ」と読みますが、カワセミが巧みに魚を捕らえる様子からそう呼ばれました。

カワセミの生態10選

ここではカワセミの生態について、生態1から生態10まで10の生態について述べます。写真はカワセミが水中で餌を捕らえ、水中から飛び出てきた瞬間を捉えています。

カワセミは小さい鳥ですが、水を恐れず水中の魚やエビを捕食します。そして何より「空飛ぶ宝石」とも言われるほど美しい鳥です。

カワセミについて、もっと知りたいと思いませんか?知りたい方は読み進んでください。

カワセミの生態1:生息地は多岐にわたる

カワセミ生息地としては、ヨーロッパからアフリカ北部、インド、アジア、ニューギニアにかけて幅広いと言えます。

日本では、留(りゅう)鳥として日本各地で見られます。ただし、北海道では冬季になると本州の方に渡って行きます。

カワセミの生態2:水辺に生息していることが多い

カワセミの餌は主にウグイ、フナ、ハゼやマスなどの川魚です。その他にもザニガニ、エビ、オタマジャクシや水生昆虫なども食べます。

カワセミは、これらの餌が生息している川、湖沼の近くや、離島では海岸付近で生息しています。

ホバリング

カワセミの捕食は、渓流や湖沼などを見下ろせる岩や木の枝にとまり、水面下に小魚などを見つけると、素早く水中に飛び込み餌を捕らえます。

うまい具合に止まれる木の枝がない場合や水面がさざなみ見にくい時は、水面上で空中停止し、すなわちホバリングしながら獲物を探し、その状態から水中に飛び込み獲物を捕獲します。

ペリット

ペリットとは鳥が食べた物のうち消化されずに口から吐き出された物のことを言います。カワセミは捕らえた獲物を岩や枝に叩きつけて骨を砕いてから丸呑みします。そして消化できなかった骨やウロコなどをペリットとして吐き出します。

カワセミの生態3:ハンティングの成功率は高い?

カワセミは、川や池の止水域や流れが緩い場所を選び採食します。水深20cmから30cmの範囲の獲物を捕らえます。カワセミは優秀なハンターですが、獲物は自分のテリトリー(水中)にいて、しかも泳ぎは極めて上手ときています。

すぐれたハンターでも取り逃がすことはあります。カワセミの体重は、わずか30数グラムしかありません。小さな獲物の場合は問題ありませんが、獲物が大きいと獲物に暴れ逃げられる可能性は高くなります。

カワセミは元気のいい獲物を捕らえると岩場や木の枝の上でいったん殺してから飲み込みます。この時にも殺し損ねて逃げられることはあります。確かにハンティングの成功率は高いのですが、時と場合によるというのが現実でしょう。

カワセミの生態4:大きさは17cmほど

カワセミ科に属する鳥の中で最も小さい鳥のカワセミは、わずか17センチほどしかありません。くちばしは長く、頭は大きく、足が短いのが特徴です。

カワセミのくちばしの先は尖りできるだけ水の抵抗を少なくしています。500系新幹線は、実際カワセミのくちばしの形状を真似て空気抵抗を減らしています。確かに小さい鳥ですが、これほど人々を魅了してやまない鳥も珍しいといえます。

カワセミの生態5:寿命は2年ほど

カワセミの寿命をネットで調べてみると、外国では最高20年、平均で5年から10年という記述を多くみかけます。日本ではどうかと言うと、最高7年、平均は2年程と言うのが多いです。

なぜこうも違うかというと、環境によるからです。カワセミは野外に暮らす野鳥ですから気温、飢餓、災害や天敵の数によって寿命は当然異なります。カワセミは寒さに弱く、台風や豪雨でも命を落とします。そして何よりも天敵によって命を奪われます。

カワセミの生態6:天敵はヘビやイタチなど

飛べないヒナの頃のカワセミの天敵は、ヘビ、イタチやキツネです。成鳥となると、カラス、猛禽類や同族のカワセミに命を狙われ、生き延びるのに大変苦労しています。

カワセミは生き抜いていくために、できるだけ餌が豊富な川や池の近くに棲み場所を探します。適当な場所を見つけると、そこに縄張りを張ります。

棲むのに適した箇所には当然ほかのカワセミもやってきます。そうなると熾烈なバトルが始まります。どちらかが逃げ出すまで争いは終わりません。

カワセミの生態7:体色の秘密は羽毛の構造にある

カワセミの特徴は、なんと言っても、カワセミ色とも言える独特の色彩です。お腹はオレンジですが、頭部と翼は、その時の光の当たり具合で、コバルトブルー、藍色、青色、ターコイズブルーやエメラルドグリーンなど微妙に変化します。

これはカワセミの頭と翼が、特殊な構造になっていて、これを構造色と呼びます。コンパクトディスクやシャボン玉が、それ自身に色はついていませんが、その微細な構造により光が干渉し、色がついているように見えるのと同じです。

独自の構造色を持っているカワセミは「飛ぶ宝石」、「水辺の宝石」や「渓流のエメラルド」などと形容されています。

カワセミの生態8:繁殖時期は主に3月から8月

カワセミは、1年の間に1回か2回子育てをします。オスもメスも繁殖期以外は単独で暮らしています。3月から8月頃の繁殖期になるとオスがメスの縄張りに入り込み、最終的に「求愛給餌(きゅうあいきゅうじ)」という行動をとります。

これは小魚(人で言えば指輪)をオスがメスにプレゼントしプロポーズすることを言います。メスが受け取ればつがい(人で言えば結婚)になります。

その後、巣作り、子育てが始まります。天敵から逃れるため傾斜のきつい(通常は)土でできた場所を選んで巣穴を作ります。そこで3から7個の卵を産み、雄雌が交代で卵を温め、3週間ほどでふ化させます。ふ化から1か月ほどで雛は巣立ちます。

カワセミの生態9:見られる季節は一年中

カワセミは、留(りゅう)鳥ですので、基本的にはカラスや雀などと同様、一年中ほぼ同じ地域に棲んでいます。また、全国各地に見られる鳥です。

ただし、冬期になると北方のものは南方に、山地のものは平地へ移動する習性があります。カワセミは素早く警戒心も強いため、なかなか見つけられませんが、身近なところにも棲んでいます。

それは意外にも都市公園です。Google検索で「カワセミマップ」や「大阪府カワセミ繁殖分布図」と入力すると東京周辺や大阪府のカワセミがいる場所がわかります。

カワセミの生態10:ペットとして飼育してはいけない

カワセミは各種の法律で飼育が禁止されています。カワセミは1都9県で絶滅危惧種に指定されています。絶滅危惧種とは、絶滅のおそれが生じている野生生物のことを指します。

これらの野生生物はすべてレッドデータとして種ごとにランク付けしてデータ化されています。日本のレッドデータ検索システムでカワセミを検索してみますと、同じカワセミでも東京都では絶滅危惧Ⅱ類、高知県では準絶滅危惧種のように都道府県により異なっています。

絶滅危惧種に指定されると、法律「種の保存法」により輸出入、販売目的の陳列、広告、譲渡しや捕獲などが禁止されます。絶滅危惧種に指定されていなくても「鳥獣の保護および管理ならびに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」によりカワセミの捕獲は禁止されています。

カワセミの仲間4選

ここではカワセミの仲間を紹介します。写真に写っているのはアカショウビンという名のカワセミと同じカワセミ科の鳥です。全体的に赤いため非常に目立ちます。

別名「火の鳥」と言われるのも納得できます。ヤマセミとアカショウビンにもめったに出会えませんが、ヤマセミとアカショウビン以外の鳥は、特定の地域にしか棲んでいないため、さらに出会うことが珍しい鳥といえます。

カワセミの仲間1:ヤマセミ

ヤマセミは、ブッポウソウ目カワセミ科ヤマセミ属に属するカワセミの仲間です。日本において、ヤマセミは1都1府36県において絶滅危惧種に指定されおり、絶滅の危機に瀕していると言えるでしょう。

体長は約40cmでカワセミの倍くらい、ハトと同じくらいの大きさです。日本にいるカワセミ科の鳥の中では最大の大きさです。カワセミと同じく留鳥で、沖縄を除いた日本全国に生息しています。

その名前が示すとおり、山地の渓流や池の周囲に生息していますが、冬期は平地の河川や海岸にもやってきます。カワセミと同じく採食するときは、石や枝の上から水中に飛び込んだり、ホバリングしたりしながら水中に飛び込み、魚類、甲殻類や水生昆虫を捕獲します。

カワセミの仲間2:アカショウビン

アカショウビンは、ブッポウソウ目カワセミ科ヤマショウビン属に属するカワセミの仲間です。日本において、アカショウビンは1都1道38県において絶滅危惧種に指定され絶滅の危機に瀕しています。

体長は約27cmでカワセミとヤマセミの中間くらいの大きさです。カワセミやヤマセミと違い渡り鳥(夏鳥)で、夏を日本で過ごし繁殖期を迎え、越冬のために東南アジアへ渡ります。

沖縄から北海道まで全国に生息しています。基本的に森林に生息し、水生生物の他にも昆虫、カタツムリやトカゲなど食性が雑多です。アカショウビンは真っ赤なくちばしと身体全体が赤いため「火の鳥」という異名を持っています。

カワセミの仲間3:ナンヨウショウビン

ナンヨウショウビンは、ブッポウソウ目カワセミ科ヤマショウビン属に属するカワセミの仲間です。紅海沿岸、インド西岸、東南アジア、オーストラリア北部やミクロネシアなど生息域は広大です。

日本のナンヨウショウビンは、フィルピンに分布するナンヨウショウビンの亜種だと考えられています。日本へは迷鳥(めいちょう)として、南西諸島に飛来してきます。

大きさは約24cmで、頭部、背中、翼や尾は光沢のある青緑色、喉、首回り、胸からお腹は白色、目、足とくちばしは黒色をしています。「チッ、チッ、チッ」「チッ、チッ」と鳴き、小さめの爬虫類、昆虫やカニなどを捕らえて食べます。

カワセミの仲間4:アオムネショウビン

アオムネショウビンは、ブッポウソウ目カワセミ科ヤマショウビン属に属するカワセミの仲間で、西アフリカに多く生息しています。体長は約25cmでアカショウビンやナンヨウショウビンと同じくらいの大きさです。

英語でBlue-breasted Kingfisherと言いますが、胸は青色ではありません。明るい青緑色というところでしょうか。首から下は白色、翼は黒色と明るい青緑色のツートンカラーです。

くちばしは大きく上側は赤色、下側と目の回りは黒色です。「チュ」「チュ、チュ、チュ、チュ」「チュ、チュ、チュッチュー」と鳴き、大きい昆虫、魚やカエル、時には果物も食べます。

カワセミの生態について知ろう

日本においてカワセミという鳥ほど、人々に親しまれている生き物は珍しいと言えます。実際、カワセミという名前は日本国中、至る所で使われています。バードウォッチャーは言うに及ばず、俳人の正岡子規や高浜虚子にも詠まれ、写真集にも引っ張りだこです。その見た目もさることながら、心が安らぐ心地よい鳴き声にも心を奪われます。

カワセミを既に知っている人も、あまり知らなかった人もカワセミの生態、言い換えればライフスタイルについて当記事を読み、再確認あるいは理解するお役に少しでも立てたなら幸いです。
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