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ベンガルヤマネコはペットにできる?特徴や生息地もあわせて紹介

「ペットを飼いたいけど、どんなペットがいいかなあ」
「ベンガルヤマネコをペットとして飼うことはできるの?」
「どこに行ったらベンガルヤマネコを見られるの?」
など、何か動物をペットとして迎えたいと考えて、「ベンガルヤマネコ」を飼いたいと思っている人はいませんか。

残念ながら、ベンガルヤマネコは絶滅危惧種に指定されているため、ペットとして飼うことはできません。

それでも、「ベンガルヤマネコについて知りたい」という方のために、本記事ではベンガルヤマネコの生態をはじめ、ペットショップで見かけるベンガルとの違いやベンガルヤマネコを見られる場所を紹介しています。

この記事を読むことで、今までベンガルヤマネコを知らなかった方も、詳しい生態を把握できるでしょう。

ベンガルヤマネコについて知りたい、見に行きたいという方は、ぜひこの記事をチェックしてください。

ベンガルヤマネコとはどんな動物?



ベンガルヤマネコとは、哺乳綱食肉目(ネコ目)ネコ科ベンガルヤマネコ属に分類される肉食動物です。学名は「Prionailurus bengalensis(Felis bengalensis)」、英名は「Leopard Cat」と言います。

ベンガルヤマネコは、ワシントン条約(CITES) によって保護されており、1977年にネコ科単位でワシントン条約付属書Ⅱへ、1995年に基亜種のインド・タイ・バングラディシュ個体群がワシントン条約付属書に掲載されています。

一見、家庭でペットとして飼われているイエネコのようですが、イエネコと比べ足がやや長く、体長の半分ほどの長さの尾を持っています。

毛は短く、必ず縦に並んでいる黒や褐色の斑点模様があるのが特徴で、背には黄褐色や銀白色、腹部には白っぽい毛色を持つ、ネコ科の中でも美しい動物です。

出典:ワシントン条約(CITES)|経済産業省
参照:https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/fauna_revised_220810.pdf

ベンカルヤマネコの生息地

ベンガルヤマネコは、東アジアや南アジア・東南アジアの広い範囲に分布しています。アフガニスタン・香港を含む中華人民共和国・台湾・大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国・インド・ネパール・タイ王国・ミャンマー・インドネシア・日本などが主な生息地です。

多くの亜種に分けられるため、沖縄県西表島に生息するイリオモテヤマネコや、長崎県対馬に生息するツシマヤマネコも、ベンガルヤマネコに含まれます。

主に、針葉林などの森林地帯や、低地から山地の熱帯林および温帯林に生息していますが、環境への適応力が高いことから、人里近くから3,000mほどの高地に姿を見せることもあります。ただし、積雪が10㎝以上あるような地域では見られないでしょう。

また、木登りがうまく、乾燥地より水のある地域を好む反面、泳ぐことは滅多にないというのが通説です。

ベンガルヤマネコの特性

ベンガルヤマネコは、主に夕暮れから明け方まで活動する夜行性ですが、たびたび昼間も活動します。活動しない昼間は、岩穴や木の洞などに潜んでいることが多いでしょう。

一夫多妻で、オスは広い行動範囲を持っていて、その尿でにおいをつけた縄張りの範囲には、一つ以上のメスの行動範囲が含まれています。

繁殖の時期は、生息環境によって変化するとされています。東南アジアなどに分布している個体は1年を通して繁殖が見られますが、北方に分布する個体は1~3月頃に繁殖するため、5月頃が出産時期になるでしょう。

生後間もなくの体重は75~130gで、1週間から10日ほどで目が開きます。また、ひと月ほど巣穴の中で育てられ、7~10か月ほどは親と一緒に暮らしますが、その後独立し、1年半ほどで雌雄ともに完全に性成熟すると言われています。

ベンカルヤマネコの寿命

ベンガルヤマネコの野生の状態においての寿命は、よくわかっていません。

一般的には、ベンガルヤマネコの寿命は4年程度と言われていますが、国内に生息するベンガルヤマネコの亜種イリオモテヤマネコが7~8年程度、ツシマヤマネコが10年程度とされていることから考えると、個体によって寿命はまちまちであると言えるでしょう。

一方、飼育下では19歳がベンガルヤマネコの国内最高齢として記録されています。

令和4年3月に、福岡県の福岡市動物園で飼育されていたベンガルヤマネコが19歳5か月で死亡したほか、それ以前に上野動物園で飼育されていたベンガルヤマネコも、17歳や18歳まで飼育されていた記録があります。

このことから、飼育下での寿命は野生よりはるかに長く、約20年近くと考えられるでしょう。

ベンガルヤマネコの鳴き声

こちらも寿命と同様、はっきりとした報告はありません。一方、人工保育された個体では報告事例が上がっていますが、その報告では、イエネコのように頻繁に鳴くことはないとされています。

人工保育による鳴き声の報告事例では、オスのベンガルヤマネコが発情中に一声鳴いた例が報告されています。

しかし、繁殖期以外は単独で生活しているため、声のコミュニケーションがあまり盛んではなく、鳴いたとしても、オス、メスともに小さな声しか発することはないと考えて良いでしょう。

単独で生活するという特性上、ペットとして飼育されているイエネコのように大きな声で鳴く必要がないため、実際に野生のベンガルヤマネコの鳴き声を聞くことは難しいと言えます。

ベンガルヤマネコの体の特徴

体長35〜60cm程度、尾長18〜40cm程度、体重3〜5kg程度と、ベンガルヤマネコはイエネコと同じくらいの大きさです。

しかし、イエネコと比較するとやや足は長く、尾が体長の半分ほどあり、亜種の中には体長が80cmを超えるものや、体重が7kg近いものもいるとされています。

体に必ず縦に並んでいる黒や褐色の斑点が見られることが特徴で、耳は丸く、後ろ側には「虎耳状斑」と呼ばれる、黒い体毛に覆われた白い斑点があります。

さらに、頬には2本程度の黒帯が見られ、額から肩にかけては4本程度の暗色の縞模様がありますが、背中の途中から斑点模様に変化していくのが分かるでしょう。

ほかにも、胸や前足の内側に斑点のような黒い横縞が見られ、尾の斑点は先に行くほどリング状になっているのも特徴です。

ベンガルヤマネコは何を食べている?

ベンガルヤマネコの主食は、哺乳類や両生類、昆虫類です。ただし、生息環境によって食べるものは異なるため、コウモリや魚、小鳥やウサギなどを食べる個体もいると言われています。

主だって食べているとされるのは、ネズミなどのげっ歯類を含む哺乳類、カエルなどの両生類、ヘビやトカゲなどの爬虫類のほか、昆虫類や甲殻類です。

農村などの人里近くで生息しているベンガルヤマネコについては、家畜を襲って食べるとも言われています。

その他の例として、イリオモテヤマネコの食事については、クマネズミやリュウキュウイノシシの幼獣などの哺乳類、オオクイナやカルガモ、コノハズクなどの鳥類、キシノウエトカゲなどの爬虫類、カエルなどの両生類、マダラコオロギなどの昆虫類やサワガニなどの甲殻類を食べることが突き止められています。

ベンガルとの違い

ベンガルヤマネコとベンガルとの違いは、ペットとして飼えるかどうかです。ベンガルとは、野生のベンガルヤマネコとイエネコの交配種で、ネコ白血病の研究と、野生のベンガルヤマネコの保護を目的とした、比較的新しい猫種です。

ヒョウ柄が目を引くベンガルですが、見た目に反して人懐っこい性格でよく鳴きます。筋肉質で体格がよく、体のわりに頭部が小さいのが特徴です。

イエネコの中では中~大型種で体重は5~10kg、運動量が多く活発なので、おもちゃなどで刺激を多く与えると良いでしょう。

ベンガルはペット向きに交配された種のため、子供やほかのペットとも仲良くできると言われています。

ただし、野生ベンガルの交配から4~5代は離れていることが必須で、交配の過程では、アビシニアンやアメリカンショートヘア、シャムなどが使われたという説もあります。

ペットとして飼うことができないベンガルヤマネコ


ベンガルヤマネコは、ベンガルヤマネコ属として、動物の愛護及び管理に関する法律施行令で保護されているため、ペットとして飼育することはできません。また、ワシントン条約(CITES) による商取引の輸出入規制対象ともされています。

分布域が広く個体数も多いため、現在はベンガルヤマネコそのものは絶滅の恐れは少ない、と判断され、IUCN(国際自然保護連合)発行のレッドリストでは、低懸念種にランクされています。

しかし、亜種であるスナドリネコは、絶滅の危険が増大しているとされる絶滅危惧Ⅱ類に、国内に生息しているイリオモテヤマネコやツシマヤマネコは、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いとされる、絶滅危惧ⅠA類に分類されています。

なぜ、これほどまで絶滅の危険性が高まってしまったのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

出典:動物の愛護及び管理に関する法律施行令|e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=350CO0000000107

出典:ワシントン条約(CITES)|経済産業省
参照:https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/fauna_revised_220810.pdf

出典:【哺乳類】環境省レッドリスト2020|環境省
参照:https://www.env.go.jp/content/900515981.pdf

絶滅危惧種となった理由

「絶滅危惧種」とは、絶滅の危機が生じている野生動物のことで、「レッドリスト」とは、IUCN(国際自然保護連合)でまとめたデータベースのことです。

個体数減少の理由として、ヒョウやシマハイエナ、オオカミ、ドールなど、野生の天敵による被害のほか、人間による被害が挙げられます。

人間による被害の内訳は、開発による森林伐採など生息地の破壊や、道路整備されたことによる車との衝突事故やケガ、にわとり小屋を野良猫などの被害から守るために設置されたとらばさみによるケガなどです。

また、ペットとして飼われていたであろう野犬や野良犬による咬傷のほか、野猫、イエネコからと思われるFIV感染症(ネコエイズ)に罹患したツシマヤマネコも1996年には発見されています。

上記のような被害により、個体数が減少したと言えるでしょう。

ベンガルヤマネコの亜種について



ベンガルヤマネコにはいくつかの亜種が存在しています。アジアに生息しているベンガルヤマネコ属として、インドネシアなどに生息しているマレーヤマネコやスナドリネコがいるとされています。

また、日本国内で有名なのは、長崎県対馬のツシマヤマネコ(別名アムールヤマネコ)、沖縄県西表島のイリオモテヤマネコでしょう。

以前は、ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコは、ベンガルヤマネコの亜種ではなく、独立種とする説がありました。

しかしながら、それぞれの個体群の遺伝因子を詳しく研究したところ、遺伝因子内に一致する箇所が発見されたため、現在はベンガルヤマネコの亜種として位置づけられています。

それでは、次に国内に生息しているツシマヤマネコとイリオモテヤマネコについて、より詳しく見てみましょう。

イリオモテヤマネコ

イリオモテヤマネコとは、1965年に八重山列島の西表島で発見された、ベンガルヤマネコの亜種です。西表島にのみ生息していて、体長50~60㎝程度、体重3~5㎏程度の個体とされています。

約100頭生息しているとされていますが、減少傾向にあり、1977年に国指定特別天然記念物に、1994年には国内希少野生動植物種に指定されました。

また、2007年には IUCN(国際自然保護連合)発行のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類からⅠA類に指定変更されるほど、絶滅の危険性が高まっています。

島全域に生息しているイリオモテヤマネコですが、主な生息地は島内の山麓から海岸にかけた低地部分です。低地部分は多様な環境が混在し水源も豊かなため、餌となる生き物が豊富にいる場所を好んで生息していると言えるでしょう。

出典:文化遺産オンライン|文化庁
参照:https://bunka.nii.ac.jp/heritages/search/freetext:%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%83%86%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B3/sorttype:_

出典:環境省レッドリスト2020|環境省
参照:https://www.env.go.jp/content/900515981.pdf

ツシマヤマネコ

ツシマヤマネコとは、日本では長崎県の対馬にのみ分布する、別名アムールヤマネコと呼ばれるベンガルヤマネコの亜種です。体長70~80㎝程度、体重3~5㎏程度の個体で、陸続きであった約10万年前に大陸から渡ってきたと考えられています。

ツシマヤマネコも、生息環境の悪化や交通事故などにより個体数が減少したため、1971年に国指定天然記念物に、1994年にはイリオモテヤマネコともに国内希少野生動植物種に指定されています。

また、IUCN(国際自然保護連合)発行のレッドリストでも絶滅危惧ⅠA類に分類され、保護及び増殖のための事業が実施されています。

主な生息地は、森林や田畑、水辺や湿地です。田畑には餌となるネズミ類やモグラ類などが、水辺や湿地にはカエルなどの両生類が豊富なため、好んで生息していると言えるでしょう。

出典:文化遺産オンライン|文化庁
参照:https://bunka.nii.ac.jp/heritages/search/title:%E3%83%84%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B3

出典:環境省レッドリスト2020|環境省
参照:https://www.env.go.jp/content/900515981.pdf

日本国内でベンガルヤマネコが見られる場所



国内では、鹿児島県鹿児島市にある平川動物園でベンガルヤマネコを見ることが可能です。以前は福岡県にある福岡市動物園でも飼育されていましたが、令和4年3月3日に死亡してしまったそうで、現在は平川動物園のみとなってしまいました。(令和4年8月現在)

平川動物園で飼育されているベンガルヤマネコは、展示場内を一通り歩いたあとは、木の枝の間でじっとしていることが多いと言われているので、見に行った際は木の枝の間を探してみると良いでしょう。

また、亜種であるツシマヤマネコは、現在も福岡市動物園で飼育されているほか、東京都の井の頭自然文化園や神奈川県のよこはま動物園ズーラシアや、長崎県にある対馬野生生物保護センターなど、各地で飼育されています。

ツシマヤマネコの方が飼育している動物園が多いため、ベンガルヤマネコより気軽に見に行けるでしょう。

ベンガルヤマネコについて理解を深めよう



その愛らしい姿から、ペットとして飼育したくなるベンガルヤマネコですが、亜種のツシマヤマネコやイリオモテヤマネコを含め、ペットとして飼育することはできません。もし、飼育したい気持ちがあるのなら、ベンガルヤマネコの血を引くベンガルをペットとして迎えるのが良いでしょう。

また、動物園に見に行くことは可能なので、近くに住んでいる方は通ってみてください。近くにない場合は、各動物園のホームページやSNSを通じて動いている姿を見てみるのもおすすめです。

何よりも、保護活動などを通して、国内に生息しているツシマヤマネコやイリオモテヤマネコの個体数が増え、自然と共存できるようにすること、そして今以上に生態系を崩さないようにすることが大事と言えるでしょう。
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