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ジャパニーズボブテイルは雑種猫なの?歴史や寿命など詳しく解説

「ジャパニーズボブテイルってどんな猫?」
「名前の通り、日本が発祥の猫なの?」
「ボブテイルって、しっぽのこと?一体どういう意味?」
猫好きの人も、現在猫を飼育している人も、猫を飼ってみたいと思っている人も、初めてその名前を知った人は多いのではないでしょうか?

もしかしたら、ジャパニーズボブテイルを飼育されている人もいるかもしれません。

本記事ではジャパニーズボブテイルという品種の猫について、どのようにその品種が確立したのか、名前に「ジャパニーズ」と付いているが、日本との関係性はあるのか、そのルーツを詳しく辿っていきます。

他にも「日本猫」や「雑種」について、意外に知られていないその違いなども紹介していきます。

この記事を読むことでジャパニーズボブテイルについて詳しくなれ、飼うための心構えができるでしょう。

ジャパニーズボブテイルの飼育方法では、現在猫を飼っている人や猫の飼育を検討されている人へ向けての共通の情報も含まれていますので、是非チェックしてみてくださいね。

ジャパニーズボブテイルは雑種猫なのか?

ジャパニーズボブテイルのルーツは古くから日本に生息している「日本猫」です。

日本猫には特定の品種はなく、昔から日本に多く生息し、自然繁殖した「雑種」の猫です。雑種とは違う品種を掛け合わせたものの総称であり、ミックスとも呼ばれます。「雑種×雑種」「純血種×雑種」「純血種A×純血種B」の3つの組み合わせが雑種となります。

日本猫は「雑種×雑種」の組み合わせにあたります。近年では海外からの純血種との交配も多く、現在雑種の猫を飼育している人も、辿っていけばどこかで純血種が混ざっている可能性もあります。

日本には、1000年以上前からしっぽの短い猫が生息していたという記録が残っています。

飼い猫についての記述は平安時代初期まで遡ります。宮中で猫が貴族たちに飼われている様子の記述が残されていたり、仏教寺院などでは古い書物や経典を、ネズミなどの被害から守るために飼われていたと記録されたりしているものもあります。

江戸時代には、一般の人達の間でもネズミ駆除の目的で猫が飼われるようになったそうです。

猫又(ねこまた)をご存じの人も多いのではないでしょうか?「長く生きた猫はしっぽが2つに裂け、化け猫となり、猫又という妖怪に姿を変える」という言い伝えが日本では古くから存在しています。

昔の人々はこの言い伝えを信じ、しっぽの長い猫にやや恐れを抱いていたようです。一方、しっぽの短い猫は猫又になる可能性がないと思われており、古くから大切にされていました。そのため、現在でも日本にはしっぽの短い猫が多く生息しています。

日本猫との違い

ジャパニーズボブテイルと日本猫の違いは血統書の有無です。

先述した通り、日本猫にはしっぽが短い猫が多いのですが、しっぽの長い猫も存在しており、必ずしも短いしっぽの猫が日本猫とは限りません。しっぽの短い猫=日本猫というわけではなく、あくまで特徴のひとつです。

海外では日本に多く生息していたしっぽの短い猫がとても珍しく、クルンとした短いしっぽやスマートなその姿に魅了されたアメリカ人が自国へ持ち帰りました。

そして特徴的なしっぽの短さを継承しつつ繁殖させていった猫が、ジャパニーズボブテイルの始まりといわれています。

現在、ジャパニーズボブテイルは正式な品種として認められている猫です。名前にジャパニーズと付いていますが日本原産の品種ではなく、確立したのはアメリカなのです。

ジャパニーズボブテイルの基本情報

ジャパニーズボブテイルの特徴は、何といっても短く可愛らしいポンポン状のしっぽです。

また、毛色や模様・瞳の色なども個体によって非常にバリエーション豊富であり、個性的な容姿も魅力的な品種です。

ジャパニーズボブテイルの毛色には、ブラック・ホワイト・クリーム・レッド・ブルーなど多くの色が認められており、模様は単色(ソリッド)・縞模様(タビー)・2色(バイカラー)・3色(キャリコ・三毛)・パーティーカラーなど、パターンも様々に存在しています。

瞳の色も毛色に準じて、ブルー系やグリーン系・イエロー系・赤みを帯びたオレンジ系のカッパー・左右の瞳の色が異なるオッドアイも存在します。

ジャパニーズボブテイルは基本的に短毛種ですが、現在は長毛種も認められており、長毛種は突然変異的に生まれたと考えられています。

体重は約3~4.5キログラムと、猫としてはやや小型~中型ほどの大きさです。体系はスレンダーでスラリとしていますがほどよく筋肉質であり、前足より後ろ足の方が長く運動能力にも優れています。

歴史

1960年代、日本に滞在していた猫のブリーダーであるアメリカ人女性、ジュディ・クロフォード氏がしっぽの短い日本猫に大変魅了されました。

クロフォード氏は母国アメリカに住む友人でブリーダーでもある、エリザベス・フローレット氏に日本猫のつがいを送り届け、自身も帰国する際に日本猫を持ち帰りました。その後アメリカで本格的にしっぽの短い猫種の繁殖活動へと取り組み始めました。

この経緯がジャパニーズボブテイルの歴史の始まりです。

さらに米軍基地の愛猫家や獣医、日本の愛猫家たちからの協力もあり、100匹以上のしっぽの短い日本猫が海を渡り、アメリカにて繁殖計画が進められます。

そして1976年に、アメリカの猫の血統登録団体「CFA(キャット・ファンシアーズ・アソシエーション)」がジャパニーズボブテイルを猫種として正式に認定し、現在では世界中で広く愛される品種となりました。

性格

ジャパニーズボブテイルは日本猫に多くみられる優しくて温厚な性格を受け継いでいます。穏やかでとても人懐っこく、人とのコミュニケーションを好む一面もあります。

社交的ですので、人間や他の猫へおしゃべりするかのように鳴いてアピールします。返事をしたり、かまってあげたりすると喜んで甘えてくるようです。また、賢く物分かりもよいためしつけもしやすく、他の猫と揉め事や不用意な争いを起こすことも少ないとされています。

もちろん個体差もありますが、ジャパニーズボブテイルは多頭飼いに適応しやすい傾向にある品種です。あとに迎えた子猫の面倒を見てあげたり、家族として迎え入れてあげる穏やかで優しい子も多いようです。

運動能力に優れているため、猫用のおもちゃやボールなどで活発に遊ぶことが好きです。お気に入りのおもちゃをくわえてきて遊んでほしい素振りをみせたり、手の届く場所にあるものを落としたり、床でそばえて遊んだりもします。

猫特有のいたずらっ子な性格は、ジャパニーズボブテイルももち合わせています。

平均寿命

ジャパニーズボブテイルの平均寿命は約12~15歳です。一般的な猫の平均寿命は約12~18歳ですので、平均的な寿命といえるでしょう。

実際にどれくらい生きるかは、飼育環境やその個体の生まれ持った身体の強さによって変化します。元気に長生きしてもらうためには、たくさんの愛情をもって育ててあげることが大切です。

販売価格

ジャパニーズボブテイルの子猫の販売価格は平均で約15~25万円です。実際に迎える際の費用は迎え方によって異なりますので、事前にしっかりと確認しておいた方がよいでしょう。

日本がルーツの品種ですが、国内のペットショップではジャパニーズボブテイルが販売されていることは少なく、国内の専門ブリーダー、または海外の専門ブリーダーからの輸入が主な入手手段となります。迎える際の値段は各ブリーダーによって異なり、海外からですと輸送費用もかかります。

正確な血統書付きとはいえませんが、里親募集などの情報を細かくチェックしていると、ジャパニーズボブテイルの特徴を受け継いだ雑種の猫を見つけられます。またごく稀にですが珍しい品種の猫とも出会えたりするかもしれません。

ジャパニーズボブテイルの飼い方

お次は飼育方法について詳しく紹介していきます。

ジャパニーズボブテイルはその温厚な性格から飼いやすい猫といわれていますが、飼育する上で必要な知識を事前に把握しておくことで、飼い主側も猫もより快適に過ごせるでしょう。

他の猫種と共通している部分も多いため、現在猫を飼っている人もぜひ参考にしてみてください。

餌の与え方

主食には、フードと水のみで猫に必要な栄養のバランスがとれるように作られている、総合栄養食のペットフードを与えることがおすすめです。

また、猫の成長や年齢ごとに必要となる各栄養素が異なってきますので、「子猫用」「成猫用」「シニア猫用」「体重管理用」など、年齢と目的に応じたペットフードを選ぶようにしましょう。

「療法食」という特定の疾患や病気に対する食餌療法のために栄養バランスが考えられたフードも存在しますが、こちらは自己判断せず、必ず獣医師の指示に従うようにしてください。

成猫の場合、食事の回数は1日に2~4回に分けて、フードのパッケージに書かれている適正量を目安に与えましょう。餌やりの時間を決めておくと、食べすぎによる肥満防止にもなります。

猫はもともと飲水量が少なくても生きていける構造の身体ですが、水分不足は、のちに詳しく記述する尿路結石や腎臓疾患などの病気に繋がってしまう可能性があります。特に寒い冬場には、猫が自分から水を飲む回数が少なくなる傾向がありますので注意が必要です。

デンタルケアについて

猫にも歯磨きは必要であり、1日1回の頻度で行うことが望ましいとされています。柔らかい食事が多い家猫は歯石がたまりやすいため、歯周病に気をつけなければなりません。

ですが、猫は基本的に口の中を触られることを嫌がるため、習慣化する場合には子猫のうちからトレーニングするとよいでしょう。

噛む力が弱い時期から口周りに触れたり、前歯からタッチをはじめ徐々に奥歯まで触らせてくれるようになれば、歯ブラシを使用してのデンタルケアの準備が可能となります。

歯ブラシと歯磨きペーストはもちろん猫用のものを用意し、水をたっぷり含ませたブラシを小刻みに動かして、奥歯から前歯にかけて素早く磨きます。

ポイントは時間をかけすぎず、手早く磨き上げることです。時間をかけすぎると猫にストレスを与えてしまうので、制限時間を決めておくのもよいでしょう。

成猫となってから習慣づけるのはかなり時間がかかるようです。どうしても歯磨きを嫌がってしまう場合は、歯磨きの他にデンタルケアグッズを使いましょう。

デンタルケア用のフードやおやつ、飲み水に混ぜるタイプのデンタルクリーナー、噛むタイプのおもちゃの中にもデンタルケアができる商品があります。

猫にとってストレスを与えず、無理のないデンタルケアを習慣づけることが大切です。

お手入れについて

ジャパニーズボブテイルの被毛はなめらかで柔らかく、抜けにくい毛質といわれています。そこまで頻繁にお手入れをしなくても大丈夫です。週に1~2回程度を目安に、丁寧にブラッシングしてあげてください。長毛種の場合は1日1回が理想的です。

また、爪切りも子猫のうちに慣れさせておくとよいでしょう。爪切りはおよそ1か月の頻度で行います。習慣づけておくことで、成猫なっても爪切りを嫌がることが少なくなります。

コミュニケーションの時間が大事

好奇心旺盛なジャパニーズボブテイルは人とのコミュニケーションを好みます。1日に数十分ほど、集中して遊ぶ時間を設けてあげましょう。

賢い猫ですので、飼い主の動向を観察して後ろから着いてきたり、かまって欲しいと鳴いてアピールしたり、お気に入りのおもちゃをくわえて持ってきたりもします。猫にとっても適度な運動になりますので、一緒に遊んであげてください。

また、猫は高所に上る習性がありますので、屋内でも家具を工夫してうまく配置したり、キャットタワーを用意してあげたりすると喜びます。

立体的な上下運動は猫の健康にもよいですし、お気に入りの場所を見つけて我が物顔で居座ったり、遊び疲れてすやすやと眠る姿もかわいらしいですよ。

気をつけるべき病気とは

ジャパニーズボブテイルは基本的には丈夫で健康的な品種ですが、猫が一般的にかかりやすいとされる病気には注意が必要です。

尿路結石や腎臓疾患などが一般的に猫がかかりやすい病気です。

猫は体質的に腎臓病になりやすいとされています。老齢期での発症が多いとされている慢性腎臓病と脱水や循環器系の異常、尿管結石などで排尿が上手にできない時に発症する急性腎臓病の2種類があります。

尿の回数や量の異変を感じたら尿路結石の可能性があります。

・元気がない
・食欲がなく嘔吐してしまう日が続く
・猫がお尻に違和感を感じているような素振りをみせる
・頻尿のわりに尿が出ていない、または血尿がみられる
・トイレで腰を低くしたまま苦しそうに固まってしまい、動けなくなってしまう

上記に挙げたものが具体的な症状や、猫の異常のサインです。言葉で体調不良を表現できない猫にとって、本当に苦しい時は鳴くことも一苦労です。また、猫は病気を隠す習性があるため、このようなサインを飼い主側が汲み取ってあげることが早期発見に繋がります。

尿路結石による尿管閉塞(結石などが尿管で閉塞を起こす)の可能性もありますので、すぐにかかりつけの動物病院を受診させましょう。初期の症状でも、悪化してしまうと腎機能への異常・急性腎臓病の原因になり得ます。

また、尿管閉塞は再発してしまう可能性がありますので、日ごろからの予防と、定期検診が必要となります。

回復後は、少しの変化でも気づけるよう、猫とのコミュニケーションをたっぷりとってあげることが大切です。

ジャパニーズボブテイル以外のボブテイルと名のつく猫

「ボブテイル(Bobtail)」とは「短いしっぽ」という意味です。

日本猫を原種としたジャパニーズボブテイル以外にも、ボブテイルが名前につき、正式に品種登録されている猫も存在します。

ジャパニーズボブテイルの場合は「日本猫」「短いしっぽ」が名前の由来となりますが、他のボブテイルたちの名前にも由来はあるのでしょうか?

お次はボブテイルと名のつく猫種を紹介していきます。

クリルアイランドボブテイル

北海道本島の東にある千島列島(ロシア名:クリル列島)原産の品種を「クリルアイランドボブテイル」といいます。

「クリリアンボブテイル」・「クリリスクボブテイル」など、別名も複数あるようです。いずれも原産である千島列島(ロシア名:クリル列島)からつけられた名前のようです。

主にロシアで生息していたこの猫種は、突然変異によって生まれたとされています。短いしっぽを持つという共通点や、遺伝的な類似もありますが、ジャパニーズボブテイルとは全く異なる品種です。

それまで短尾種の猫といったらジャパニーズボブテイルのみと思われていましたが、ロシアが開放的になってからはヨーロッパをはじめ、世界中から注目を浴びるようになり、新たな短尾種として知名度や人気も上がっていきました。

アメリカの猫の血統書登録団体であるTICAでは2012年に登録されており、比較的新しい品種の猫です。

ジャパニーズボブテイルと同じく、毛色や模様のバリエーションが豊富で個体差も様々です。体重は約4~6キログラム、オスだと約8キログラムを超える大きさの個体もおり、体格もがっちりしているため、ジャパニーズボブテイルより身体はやや大きめです。

アメリカンボブテイル

ボブテイル自体はアメリカにも古くから存在していましたが、日本で見かけるほど個体数は多くなく、その特徴的な短いしっぽはとても珍しかったようです。

アメリカに存在している家猫のボブテイルは、アメリカ大陸に古くから生息している「ボブキャット」と呼ばれるしっぽの短いオオヤマネコがルーツではないかという説や、繁殖の際に突然変異で生まれたという説もありますが、詳細は不明です。

1960年代頃、アメリカのサンダース夫婦がアリゾナを旅行中に、しっぽが短く曲がったオスの子猫を引き取り「ヨディ」と名付けました。

成長したヨディはサンダース夫婦がもともと飼っていたメスの猫と交配し、生まれた子猫たち中にはしっぽの短い子も存在しました。それを見た猫のブリーダーたちの間で話題となり、ボブテイルの品種の繁殖活動が始まりました。

それが現在のアメリカンボブテイルの原型となったとされています。

アメリカンボブテイルは1989年にTICAに公認されており、こちらもジャパニーズボブテイルより新しい品種です。

ジャパニーズボブテイルについて知ろう

ジャパニーズボブテイルについて、いかがだったでしょうか?

雑種である日本猫がルーツであり、アメリカで誕生した品種のジャパニーズボブテイルは、その穏やかな性格や豊富な毛色がとても人気の猫です。何といっても特徴的なポンポン状の短いしっぽは多くの人々を魅了し、世界中で愛されています。

ジャパニーズボブテイルは招き猫のモデルにもなっているようですよ。

ジャパニーズボブテイルのように短くポンポンとしたしっぽ、幸運をもたらすとされるかぎしっぽ、スラリと伸びた長いしっぽなど、猫のしっぽは品種、または雑種、そして個体によって様々であり、その猫だけの個性でもあります。

どんな動物にも共通しますが、飼育している猫にとっては飼い主やそのまわりの人間しか頼れる者はいないのです。日常の中の大切な家族の一員として、いかなる変化にもすぐに気づけるよう、たくさんコミュニケーションの時間を取ってあげてください。

ジャパニーズボブテイルを含め猫を飼うことには責任が伴いますが、それ以上に毎日の変化が楽しく、愛おしい時間となるでしょう。
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