【場所別】犬が体をなめる意味｜顔/前足/手/口の周り

犬はいろいろな場所をぺろぺろとなめることも多いです。その行動には意味があることをご存知でしょうか。なめる場所によって、意味することや犬の心理が異なります。犬の気持ちを知り、良好な関係を築くためにも、意味を知っておきましょう。

犬にとって、口の周りをなめるのは自分よりも目上の者に対する挨拶です。これは、犬の祖先でもあるオオカミも行う行動です。犬に口の周りをなめられるのは「あなたの事が大好き」という愛情と、「あなたの事を尊敬しています」という意味です。

意味を知っていると嬉しい行動なのですが、衛生面から見ると良いとは言えません。女性であればメイクをしている人が多いでしょう。メイクが落ちてしまうのはもちろんですが、犬がメイクをなめるというのも良いことではありません。

犬が前足をなめるのは、寂しさや不安な気持ちを緩和しようとしている時に見られる行動です。飼い主さんからの愛情が足りないと感じていたり、もっと構ってほしいと寂しさを感じていることがあります。

犬と接する時間がみじかい人は、すこし時間をとれるように工夫してあげてください。しつけに力が入りすぎて、厳しくしすぎている場合も前足をなめることがあります。しつけは大切ですが、愛情を注ぐことを忘れないよう気を付けてください。

また、いつまでも前足をなめている時には怪我をしている可能もあるので注意が必要です。なめてけがを治し、痛みを和らげようという行動でもあります。いつまでも前足をなめている時には、前足を見てあげてください。

犬が人の手をなめるのは、「遊んでほしい」「かまってほしい」という意思の表れです。飼い主さんの手は、いつもなでたり遊んだりしてくれると覚えています。遊んでほしいと催促する時に手をなめます。また、リラックスしている状態にある犬が人の手をなめることもあります。

叱られた後に手をなめてきた場合は、「ごめんなさい」という反省の表れです。

犬は自然で暮らしていたころ、母犬から餌をもらう際に口の周りをなめて催促していました。母親の口をなめる行動の名残で「ごはんが欲しい」「お腹が減った」という意思を伝えています。

口の周りをなめる行動が癖になると、飼い主だけでなく初対面の人にも同じように口の周りをなめてしまいます。犬になめられることを嫌う人もいるので、口の周りをなめる行動はやめさせたほうが良いでしょう。

犬がどこかをなめる時、愛情表現や甘えたいという意思なら嬉しいです。しかし、時にその愛情表現が病気を引き起こす原因にもなりえます。犬から人間に感染する病気があることを知っておきましょう。狂犬病は犬から人間に感染する代表的な病気です。狂犬病は予防接種が義務付けられており、感染を防ぐ義務があります。

他に、犬から人間に感染する病気としてパルツレラ症があげられます。パルツレラは菌の一種で、犬の75％程が保菌している菌です。通常であれば人間にも害にはならない菌です。しかし、体調が悪い時や子どもや高齢者など、免疫力が弱い人には気管支炎などの症状が現れます。犬が人間をなめることにより、感染する病気があることを知っておいてください。

猫は自分で体をなめて毛づくろいしますが、犬は猫に比べ毛づくろいをすることは少ないです。犬が体はどのような時に体をなめるのかというと、自分の体の調子をチェックしている時です。「怪我をしていないかな」「体に何かくっついていないかな」と、自分の体をなめることで確認しています。

また、体をなめる行為には緊張をほぐす効果があります。リラックスしたい時や、気持ちを落ち着けたい時に体をなめるという行為が見られます。犬によっては眠る前にリラックス効果を求めて体をなめる犬もいるです。

犬が体をなめている場合、その理由が「落ち着きたい」「リラックスしたい」という気持ちで、一時的な物なら問題はありません。しかし、特定の場所を長い間なめている場合は注意が必要です。

ストレスや寂しさを紛らわそうとしているのですが、同じ場所を長い間なめると毛が抜けたり、皮膚炎をお引き起こしたりします。さらに、体をなめる行為は癖になると一度やめてもふとしたことで再び始まってしまいます。犬が体をなめる原因が寂しさやストレスだった場合は、そのストレスが軽減するように工夫してあげましょう。

犬が体をなめる原因は悪い事ばかりではありません。しかし、足ばかりなめていると毛が抜けて、衛生的にも良いことではありません。体をなめている行為をやめさせる時には、ただ「ダメ」と言うのではなく他の事で注意を引くとよいでしょう。カラーを巻いたりすると犬によっては、余計にストレスを感じてしまうこともあるので気を付けてください。

犬を飼っていると、犬だけで留守番させることもあるでしょう。そのような時、犬は寂しさを感じています。お留守番が嫌い、苦手な犬ならなおさらです。そこで飼い主さんが出かける時に「いってきます」と声をかけないほうが良い場合もあります。「いってきます」という言葉を聞くと、また一人でお留守番をしなければいけないと感じてしまうからです。

犬のしつけグッズの中には、なめるという行為をやめさせるために嫌な味がするスプレーを吹きかけるものがあります。何度もなめてしまう物にスプレーを吹き付け、なめると嫌な味がすると学習させるグッズです。犬の足にそのようなグッズを使う時には、犬の皮膚につけても問題がないものを選んでください。

犬の水虫は、皮膚糸状菌症という病気です。糸状菌、白癬菌によって毛が抜けるという症状が現れます。犬の水虫は人間にも感染する可能性があり、犬だけでなく、飼い主の健康にも影響を及ぼします。犬の水虫を防ぐためには、衛生的な生活環境を保つことが大切です。毛の長い犬は皮膚の状態が目視しにくいので、発見までに時間がかかる場合もあります。しっかり犬の健康状態をチェックしてください。

犬が床をなめる理由はいくつかありますが、人間の食べものが床に落ちてたり、ニオイが残っていてそれをなめているケースがあります。人間の食べものの中には犬が食べてはいけない物も少なくありません。玉ねぎや長ねぎ、チョコレート、イカやタコなど、食材によっては犬に命の危険があるもの物存在します。犬には人間の食べ物を食べさせないように気を付けてください。

また、構ってもらえないという寂しさや不安、ストレスから床をなめている可能性もあります。普段はあまり構ってあげられないのに、床をなめていると声をかけてもらえるからという場合もあります。

食前に床をなめるのは、「お腹が減った」という気持ちの表れです。しかし、空腹によって胃のむかつきを感じている可能性もあります。胃のむかつきによる不快感や吐き気を、床をぺろぺろとなめることで押さえようとしています。食後に床をなめるのは、ごはんでいっぱいになったお腹を落ち着けようとする行為です。

犬は人間との意思疎通を言葉ではできません。言葉が話せない分、しかり様子を見てあげなければいけません。体をぺろぺろなめていたら、なぜなめているのか。なにかあったのか。気にかけてあげましょう。

犬のストレスの原因が、飼い主さんの日常生活にあることは少なくありません。特に飼い主さんが仕事をしている場合、生活リズムが不規則で睡眠時間も不規則になってしまいます。自律神経が乱れ、ストレスを感じる犬もいるので注意が必要です。

一緒に生活している犬の様子をチェックするのも飼い主の役目です。可愛がるだけではなく、元気か、怪我をしていないか確認してあげてください。