犬のしっぽはどんなもの
デリケートな犬のしっぽ
犬のしっぽは非常にデリケートで、強く引っ張るだけで折れたり、けがで壊死することもあります。気をつけてあげてください。
犬のしっぽの機能
バランスコントロールや方向転換
犬のしっぽには、体のバランスをコントロールする機能があります。走っている時はしっぽが下半身の安定の役目を果たし、転倒を防止しています。方向転換には、しっぽを軸としています。
保温効果
犬は寒い時期には体を丸めて眠りますが、この時しっぽが布団のような役割をしています。鼻をしっぽに埋めて、冷たい空気を吸い込まないようにしています。
犬がしっぽを振る理由と気持ち
犬はしっぽで自分の感情を表します。犬がしっぽを振ると喜んでいる、という考え方が一般的ですが、実際はそれだけではありません。喜んでいると思いうっかり近づいて、威嚇されたという経験をした人は多いでしょう。犬はしっぽを振ることで、不安な気持ちを表現することもあります。
しっぽを振っているからと言って、必ずしも犬が相手に対して友好的な気持ちを持っているというわけではありませんので、注意をしてください。
しっぽを振っているからと言って、必ずしも犬が相手に対して友好的な気持ちを持っているというわけではありませんので、注意をしてください。
犬のしっぽの振り方で感情を見分ける方法
しっぽを早く振っている時
犬が興奮状態になっています。しっぽの動きが早ければ早いほど、興奮状態が強くなっています。これは嬉しい場合によくあることですが、その興奮状態は嬉しさから来るものではない場合もあります。
犬に近づいた時に犬が歯をむき出して唸る、後ずさる、あるいはお尻を上げる体制で体を低くした時は絶対に無理に近づかないでください。興奮状態にある犬は、飼い主でも静止が困難な場合があります。興奮状態にあるほど力加減ができず、噛みつかれて大けがをさせられる可能性が高くなります。
犬に近づいた時に犬が歯をむき出して唸る、後ずさる、あるいはお尻を上げる体制で体を低くした時は絶対に無理に近づかないでください。興奮状態にある犬は、飼い主でも静止が困難な場合があります。興奮状態にあるほど力加減ができず、噛みつかれて大けがをさせられる可能性が高くなります。
腰を落としてしっぽを振る
愛情や尊敬を表現する時の状態です。飼い主に対する態度でよく見られますが、飼い主以外でも犬自身が気に入った人に対して行うことがあります。この時は非常に友好的な状態にあるので、犬に話しかけながら撫でてあげてください。相手に対しての愛情が深いほど、しっぽの動きも早くなります。
しっぽを水平状態にしてゆっくり振っている
犬がリラックスした状態にあります。人が好きな犬はこの時にも触って大丈夫ですが、飼い主以外には触らせたくないという犬は避けてください。気持ちを乱されて、突然怒り出す場合があります。
しっぽを水平状態にしている
犬が何かに注意や興味をひきつけられている時に、この状態になります。犬の聴覚は人間の何倍も鋭いです。飼い主には聞こえていなくても、犬自身が不可解に思う音を聞いてその正体を確かめようとしています。あるいは人や動物、物を見てそれを確かめようとしています。また緊張状態でしっぽが水平になっていると、何かを警戒していること意味します。
しっぽが上がっている
犬自身の自信の表れです。しっぽを立てることで自分の強さを表現し、他の犬などに自分の強さを誇示しています。また威嚇をする際にも、この状態が見られます。
しっぽを下げて振り方が不自然
この場合は、犬が何らかの不安を感じています。飼い主が優しく話しかけてあげてください。信頼している飼い主の声で落ち着くことは多いです。あるいは抱きしめてあげると、犬は守られている気持ちになって不安が解消されます。
しっぽが後ろ脚の間に挟まれて丸くなっている
何かを怖がっています。怒られた時などに見られます。犬がしっぽを挟んでいる時も、飼い主以外が不用意に触るのは避けてください。性質的に臆病な犬ほど、恐怖心からいきなり噛みついてくる場合があります。
犬がしっぽを追いかける理由
犬が自分のしっぽを追いかけてクルクル回る姿は、人間側からすると見ていて楽しく、ほっこりした気分になります。しかし実際は、犬自身が何らかの問題を抱えている可能性もあります。気をつけてあげましょう。ではどのような時に、犬は自分のしっぽを追いかける行動をするのでしょうか。
飼い主の注意を引きたい
飼い主が忙しい、あるいは犬以外のことを楽しんでいる場合に、しっぽを追いかける行動をします。以前にしっぽを追い回していた時にそれを飼い主がおもしろがっていると、犬はそのことを記憶しています。このため、飼い主が喜んでくれるだろう行動をとり、注意を自分の方に向けさせようとしています。
退屈しのぎ
犬にも感情がありますので、退屈することがあります。その時にしっぽを追いかける遊びをします。なお、子犬の場合は、しっぽが「自分の体の一部である」ということを理解していない場合があります。そのため、視界に映るしっぽを好奇心から追いかけます。
ストレスから
例えば犬が何かで遊ぼうとしたときや、おいしそうなものがあったので食べようとしたときに、それが犬にとって危険なものや飼い主の大切なものだったら取り上げるでしょう。人間にとっては理に叶った行動ですが、犬は分からないし納得ができません。それらのストレスからしっぽを追いかけるのです。
または体を洗われるなど、犬にとって嫌いな行為を我慢させられていた時もこのしっぽを追いかける行動が出ます。「やっと終わった、でも腹が立つ」という気持ちを発散させているのです。
または体を洗われるなど、犬にとって嫌いな行為を我慢させられていた時もこのしっぽを追いかける行動が出ます。「やっと終わった、でも腹が立つ」という気持ちを発散させているのです。
不快感
しっぽ付近に不快感があり、それを解消しようとしての行動の可能性があります。痒みや痛みから、噛みたい舐めたいという気持ちになっています。その行動がうまくできずに、しっぽを追いかける状態になっているのでしょう。犬が執拗にしっぽを構う行動をとっている場合は、しっぽ付近の状態をチェックしてあげてください。
常同障害
チックのような状態です。これはしっぽをひたすら追いかけるという行動だけでなく、体のある部分を執拗に舐めまわすこともあります。原因は慢性的な痛みや、癖、ストレス、遺伝、脳の障害があげられます。
犬がしっぽを噛む原因と対処法
犬がしっぽを噛み、傷をつけると危険です。そこからばい菌が入り込み、最悪な場合は壊死することがあります。少し噛む程度なら神経質になる必要はありませんが、その行動が慢性化した時は注意しましょう。
犬がしっぽを噛む時
ノミやダニなどの寄生虫がいる
ノミやダニがいるために痒みを感じている可能性があります。
皮膚炎ができている
何らかの原因で皮膚炎ができている可能性があります。一部分だけ毛が抜けて剥げてしまい、赤い蕁麻疹ができていることが多いです。
けがをしている
しっぽに傷があり、それを気にして噛んでいる可能性があります。または傷の治りかけで痒みを感じて噛んでいるとも考えられます。
ストレスを感じている
ストレスを感じて、気持ちの持って行き場がなくて噛んでいると考えられます。
しっぽをかむことをやめさせるには
日頃のブラッシング
犬にとってブラッシングは大切です。ブラッシングすることで血行を促進できますし、ノミやダニの寄生防止にもなります。なおダニやノミに血を吸われ過ぎると、犬が貧血を起こすこともありますので、そちらにも注意が必要です。
特に長毛だったり、黒など毛の色が暗い色の犬はノミやダニを飼い主が見つけ辛く、気がついたら症状が悪化していたという事態も起きます。なおブラッシングは抜け毛を取り除くことで風通しを良くできますので、皮膚炎の予防も期待できます。
特に長毛だったり、黒など毛の色が暗い色の犬はノミやダニを飼い主が見つけ辛く、気がついたら症状が悪化していたという事態も起きます。なおブラッシングは抜け毛を取り除くことで風通しを良くできますので、皮膚炎の予防も期待できます。
定期的な薬の投与
定期的に薬を投与することで、ノミやダニの寄生を防止します。この薬は市販のものがありますので、用法をよく読んで投与してあげてください。
声をかけてあげる
忙しい時は、犬の相手をしてあげる余裕を持てるわけがありません。しかし、犬は「なぜ自分の相手をしてくれないのだろう」と寂しく感じています。そこからストレスを感じたり、何とか気を引こうと行動を始めます。
そのような時は声をかけてあげてください。「ちょっと待っててね」程度のものでかまいません。その時に犬の方へ顔を向けながら言うと、犬も「自分の存在を忘れているわけではない」と安心できます。言葉は通じなくても、犬は何となく飼い主は今は忙しいんだと理解はできます。用事が終わったら「いい子で待てたね」と褒めてあげてください。
そのような時は声をかけてあげてください。「ちょっと待っててね」程度のものでかまいません。その時に犬の方へ顔を向けながら言うと、犬も「自分の存在を忘れているわけではない」と安心できます。言葉は通じなくても、犬は何となく飼い主は今は忙しいんだと理解はできます。用事が終わったら「いい子で待てたね」と褒めてあげてください。
獣医師に相談
いろいろな原因を探って対処しても、犬がしっぽをかむ癖をやめない時は獣医師に相談してください。
犬のしっぽが骨折した時の症状と対処法
犬のしっぽは骨折だけでなく、脱臼も起こしやすい脆い部位です。特に小型犬の場合はその可能性が高くなるため注意が必要です。どのような骨折が起き、どのようなことが原因で骨折が起きるのか、また骨折した時の症状や対処方を記述していきます。
骨折の種類
疲労骨折
骨に弱い力が繰り返し加わることが原因で起きます。
亀裂骨折
骨にひびが入っていることを意味します。
剥離骨折
骨に付着する筋肉やじん帯が強く引っ張られると起きます。
圧迫骨折
骨が押しつぶされた時に起きます。
開放骨折
骨が折れ、それが皮膚を突き破って外へ飛び出すことです。
成長板骨折
成長期に起こる可能性がある骨折です。
骨折の原因
骨折の原因は交通事故や高所からの落下など事故によるものや、喧嘩など犬自身が原因で起こります。しかし飼い主が原因となる肥満や栄養不良などは、飼い主の管理が素となるためよく気をつけてあげましょう。
骨折した時の症状
痛がる
犬がしっぽを庇うしぐさを見せたり、少し触ったり動かしただけで痛がる時は骨折の可能性を考えてください。
しっぽが変形している
骨折をすると、しっぽの形がいつもよりおかしくなっている可能性があります。少しでも違和感があったら、獣医師に見せましょう。放っておくと、しっぽが変形したまま骨折が治り、しっぽの機能に何らかの悪影響が出てしまうことがあります。
しっぽが上がらない
和犬や和犬の血が入った犬はしっぽが巻かれて上がっていることが多く、飼い主も異変に気がつきやすいです。しかし洋犬はほとんどの種類がしっぽが垂れているため、ぱっと見では分かり辛いです。洋犬は行動がおかしい、しっぽが動かずにずっと垂れ下がっているという状況の時に気をつけてください。
犬が骨折した時の対処法
犬が骨折した時はすぐに獣医師に見せてください。この時痛みから飼い主に対しても、攻撃的になる犬がいるので注意が必要です。しかし、普段から飼い主と十分に信頼関係ができている犬は、辛い時ほど飼い主に縋ろうとするのでひどく神経質になる必要はありません。むしろ飼い主が神経を張り詰めることで、犬が余計に不安を感じます。
犬を安心させつつ、可能であれば添え木を当てるなどして応急処置をしてあげてから、獣医師のところへ連れて行ってあげてください。応急処置をすることで症状の悪化を防ぎ、治りを早めることができます。
犬を安心させつつ、可能であれば添え木を当てるなどして応急処置をしてあげてから、獣医師のところへ連れて行ってあげてください。応急処置をすることで症状の悪化を防ぎ、治りを早めることができます。
犬のしっぽは大事に
犬の生活に大切なものだが脆い
犬のしっぽは犬が生きて行くうえで非常に大切なものですが、反面すぐに骨折や脱臼をおこすなど脆い一面があります。普段からむやみに掴んだり、引っ張ったりしないであげてください。とても脆いものだということを、人間側がきちんと理解しましょう。
感情を表し行動にも必要
しっぽを振っているからとむやみに近づかない
犬がしっぽを振っていると、自分に好感を持ってくれたのではないかと期待してしまいます。しかし実際は警戒している可能性も潜んでいます。少し近づいて犬が警戒や威嚇をするしぐさを見せたら、近づくのはやめましょう。犬が攻撃してくると、小型犬であっても人間の力ではそうそう叶うものではありません。
方向転換などの舵取り
犬はしっぽを使って体を方向転換させます。この時、しっぽが犬の体の舵取りを行っています。
犬がしっぽを追いかける
犬がしっぽを追いかける理由はさまざまです。ただの退屈しのぎや飼い主の注意を引こうとしてやる分には問題はありません。ですがそれが痒みや痛みから行われているのであれば、それは危険です。ふだんからブラッシングをしたり、犬に話しかけるなどをして、犬とのコミュニケーションをとっておきましょう。そうすれば犬の異変にも気がつきやすくなります。
退屈しのぎで行っていても、注意が必要です。回り過ぎて犬の目が回って倒れ込こむことがあります。そこが危険な場所であったら、目が回るだけでは済まなくなってしまいます。室内飼いをしている場合は、ペット用の柵を使うと便利です。
退屈しのぎで行っていても、注意が必要です。回り過ぎて犬の目が回って倒れ込こむことがあります。そこが危険な場所であったら、目が回るだけでは済まなくなってしまいます。室内飼いをしている場合は、ペット用の柵を使うと便利です。
犬がしっぽを噛むのは危険
犬がちょっと噛む程度であれば毛づくろいの一環かと思えますが、常習化した時は注意してください。傷口があればそこから細菌が入り込み、しっぽが壊死してしまうことがあります。日頃からブラッシングをして、犬を清潔にしてあげてください。ブラッシングをしながら話しかけてあげたら、犬も嬉しいでしょう
骨折は犬の様子の変化から
しっぽは骨折しやすい部分ですので、犬がとった行動で気がついたら骨折していたという可能性は十分に考えられます。その時犬が飼い主を信頼していたら、患部の確認もしやすくなります。確認する際は、患部を無理に動かしたりはしないでください。無理をすることで傷を悪化させたり、ひびが入った状態のものが本当に折れてしまいます。
困ったときは要相談
しっぽの動きに限らず、犬の行動から判断ができにくい場合は獣医師に相談してください。犬は口がきけませんので、飼い主では体調の変化が分かっても原因は分からないことが多くなります。少しでも異変を感じたら気をつけて観察し、その行動や状態を話せるようにしておくと獣医師も状況の判断がしやすくなります。
しっぽは愛犬の体の一部
犬のしっぽは多機能な役割を持つ、愛犬の大切な体の一部です。犬が困らずに済むように、普段から飼い主も一緒にしっぽの状態をチェックし、問題が起きないようにしてあげましょう。