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犬の断尾は必要なのか?その理由と断尾をする犬種8種を紹介

犬の断尾とは?

犬の尻尾を切ることを断尾といいます。

尻尾の短い犬種は元々短いわけではなく、産まれてすぐに尻尾を切り落とされ、尻尾の短い姿で成長します。

プードル、コーギー、シュナウザーなどの猟犬として働いていた犬が該当し、猟犬として効率よく安全に仕事ができるようにすることから断尾が始まりました。

なぜ愛玩犬として販売されている犬も断尾をおこなっているのか、断尾は犬にとって痛いものではないのかなど、断尾について解説します。

犬の尻尾を断尾する理由

猟犬が効率よく安全に仕事が出来るように始まった断尾ですが、他にはどのような理由があるのか、現在も断尾がおこなわれる理由は以下になります。

現在も断尾が続けられている以下の理由を詳しく解説します。
犬の尻尾を断尾する理由
  • 怪我を予防するため
  • 犬種標準を満たすため
  • 慣習を守るため
  • 仕事の邪魔にならないようにするため

犬の尻尾を断尾する理由1:怪我を予防するため

猟犬や牧洋犬は仕事をおこなう際に怪我を予防するために断尾をおこないます。

猟犬は草むらなどを勢いよく駆け抜けていくことから、左右に揺れる尻尾に棘が刺さったり葉っぱで切ったりしないようにするため、牧洋犬は牛や羊に尻尾を踏まれて怪我をしないようにそれぞれ考えられて断尾されています。

犬の尻尾を断尾する理由2:犬種標準を満たすため

犬種の登録をされるときに犬の容姿の登録もされます。短い尻尾は特徴として記載されます。

その記載されたものが犬種標準とされていますので、それに近いほど良いとされているためブリーダーは犬種標準に近づけるために断尾をおこないます。

愛玩犬として飼育される犬まで断尾されるのにはそのような理由があります。

犬の尻尾を断尾する理由3:慣習を守るため

断尾をおこなう犬種は変わらず断尾をおこなうという慣習を守るためにも、断尾をし続けているということもあります。

仕事面以外にも、断尾をすると税を逃れることができる、断尾をすると狂犬病を予防できるという迷信からも断尾をおこなうようになりました。

断尾は動物虐待ではないかという声もありますが、慣習はなかなか抜けるものではありませんので、今度どのような動きがでるのか注目したいポイントです。

犬の尻尾を断尾する理由4:仕事の邪魔にならないようにするため

猟犬や牧洋犬は、効率よく仕事をおこなう必要があります。犬が効率の良い仕事をすることで、仕事の質も変わってきます。

揺れる尻尾は草むらで音を立ててしまったり、牛や羊などに当たってしまう可能性もあります。

少しでも仕事の邪魔になることがないように切ってしまうのが当たり前となり、現在も指定の犬種として断尾され続けています。

犬にとって断尾は痛いのか?

断尾は産まれてすぐ8日以内で無麻酔でおこないます。産まれてすぐの犬は痛覚が鈍いため痛みを感じないとされていますが、実際のところはっきりとされていません。

生後8日以降の犬の断尾に関しては麻酔を掛けた上でおこないますが、断尾は自然なものではありませんので、断尾をおこなわずに自然のまま成長させるブリーダーも存在します。

断尾をするデメリット

猟犬、牧洋犬としては効率よく仕事をおこなうために必要なものですが、愛玩犬としての断尾をするメリットはあるのかといえば特にありません。

断尾をする犬種なので犬種標準に近づけるために現在も断尾がおこなわれているだけです。

もちろん、断尾をすると狂犬病を防げるというのも昔の人が作った迷信ですので、狂犬病を防ぐためには予防接種のみとなります。

断尾をおこなわないブリーダーも増えてきたので、尻尾の長いプードルやコーギーなども見かけるようになりました。

平衡感覚や身体能力

断尾をおこなったことによる平衡感覚や運動能力の低下は特にありません。猟犬や牧洋犬も特に問題なく働くことができています。

平衡感覚や身体能力に何らかの影響があるのであれば、愛玩犬への断尾は早い段階でおこなわれなくなっているでしょう。

しっぽによる意思疎通

犬の尻尾は感情を表す大切な場所です。

尻尾が短い犬種は感情が分かりにくいため、耳や表情、行動などで感情の把握をしてあげてください。

尻尾の短い犬の尻尾の振り方はとても可愛いものですが、尻尾が振れずにおしりを振ることで椎間板ヘルニアになる可能性もあるので注意してあげてください。

断尾をする犬種8種

現在も愛玩犬として飼育されているのにもかかわらず断尾されている犬種は以下の犬種たちになります。

断尾をしないことで尻尾の長い個体を見ることもありますが、まだまだ断尾が当たり前になっている犬種です。

断尾をする犬種の紹介をします。
断尾をする犬種
  • プードル
  • ウェルシュ・コーギー
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ピンシャー
  • ボクサー
  • ドーベルマン
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ジャック・ラッセル・テリア

断尾をする犬種1:プードル

愛玩犬として根強いのあるフランス原産のプードルも断尾されています。

プードルはカモ猟をする猟犬として古くから猟をしながら人間と暮らしていました。カモ猟で邪魔にならないように古くから断尾されている犬種です。

様々なトリミングを楽しむめるトリミング犬種としてもの高い犬種なので、現在は断尾されていないプードルも多くみるようになりました。

断尾をする犬種2:ウェルシュ・コーギー

コーギーはイギリス原産の短足胴長の中型犬で、カーディガン(長毛)とペンブローク(短毛)の2種類が存在します。

日本で見る尻尾の短い断尾されている種類はペンブロークになります。カーディガンも牧畜犬として働いてきましたが、断尾の慣習があるのはペンブロークのみです。

しかし、愛玩犬としてのある犬種ですので、ペンブロークも断尾しない個体が飼育されるようになってきました。

尻尾の長いコーギーも可愛らしさ満点です。

断尾をする犬種3:ミニチュア・シュナウザー

おじいちゃんのような眉毛と口髭が特徴的なドイツ原産の小型犬です。

ミニチュアシュナウザーもネズミの駆除や家畜を誘導する仕事をしていた使役犬です。古くは大型犬として働いていましたが、愛玩犬の需要が高まり小型化されました。

テリア犬種として、気性が荒い部分もありますが、使役犬として働いていたため聞き入れはよく、しっかりしつけをおこなえば普段は穏やかな犬種です。

断尾をする犬種4:ピンシャー

ドイツ原産の小型犬です。ミニチュアピンシャーとしての歴史は長く、古くから存在している犬種です。

ピンシャーの祖先犬であるヘル・ピンシェルは、ドーベルマンと同じ祖先であり姿が似ていることから、ピンシャーの断尾と断耳が慣習となりました。

があり飼育頭数の多いミニチュアピンシャーですが、現在も尻尾の長いミニチュアピンシャーを見かけることはなく、販売されているミニチュアピンシャーも短い耳と短い尻尾の状態で販売されています。

断尾をする犬種5:ボクサー

ドイツ原産の大型犬です。

ボクサー犬の猟犬での役割は、猟師が獲物にたどり着くまで噛み付いて逃がさないようにする役割でした。そのため、1度噛み付いたら離さない習性があります。

現在ドイツでは猟犬よりも愛玩犬として飼育されることが多いため断尾は禁止されていますが、日本では禁止はされておらず任意となっているので、飼い主が希望すれば断尾するスタイルです。

断尾をする犬種6:ドーベルマン

ドイツ原産の大型犬です。ドーベルマンは護衛犬として、ジャーマンピンシャーをベースにジャーマンシェパードやロットワイラー、ワイマラナーなどを合わせて誕生しました。

その後は訓練性のある勇敢な犬として軍用犬や警察犬として使われ、現在は警察犬として多くのドーベルマンが働いています。

見た目は威圧感がありますが、性格は穏やかで優しい性格をしている犬ですので、しっかりとしつけをおこなえば家庭犬としても安心して暮らすことができます。

断尾をする犬種7:アメリカン・コッカー・スパニエル

アメリカ原産の中型犬です。アメリカンコッカースパニエルはイングリッシュコッカースパニエルを改良して誕生しました。

イングリッシュコッカースパニエルは最も小さい猟犬として、鳥を狩る猟犬として働いていたため断尾されています。

その名残からアメリカンコッカースパニエルも断尾されるのが慣習になりました。

アメリカンコッカースパニエルは猟犬よりも愛玩犬としてドッグショーなどで活躍する犬種です。

断尾をする犬種8:ジャック・ラッセル・テリア

イギリス原産の小型犬です。キツネ狩りのためにフォックステリアをベースにビーグルやブルテリアなどの犬と交配で誕生した犬種です。

キツネの住処の穴にもスムーズに入れるようにするため、小型な上に断尾しています。

テリアとブルテリアの血が強い犬種ですので、普段は穏やかでもスイッチが入ると気性の荒い面も持ち合わせている犬種で、しつけは念入りにおこなう必要があります。

断尾に対する各国の対応

猟犬として使われなくなった犬に対して断尾は虐待ではないかという愛護団体からの声もあり、断尾を禁止している国もあります。

以下の国はどのような対応をとっているのか、それぞれ紹介します。
断尾を禁止している国
  • イギリス
  • エストニア
  • オーストリア
  • オーストラリア
  • オランダ
  • キプロス
  • スイス
  • スウェーデン
  • チェコ
  • スコットランド
  • ・・・etc

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、イギリス(北アイルランド以外)、エストニア、オーストリア、オーストラリア、オランダ、キプロス、スイス、スウェーデン、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェイ、フィンランド、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルグが断尾を禁止しています。

断尾をする犬種を多く誕生させているドイツやイギリスでも禁止されていますので、これから多くの国が加盟し、さらに増えていくことが予想されます。

アメリカ

現在、アメリカでメイン州でのみ断耳が禁止されていますが、断尾はアメリカではまだ禁止されていません。

断尾や断耳は伝統的行為で、獣医学を元におこなっているもののためアメリカは中立の立場をとるとのことでしたが、反対意見は多く寄せられているようです。

これからどのような対応をされるのかが注目されます。

アジア

アジア地域では断尾は禁止されていません。日本でも断尾や断耳はおこなわれています。

禁止を求める声も多く上がっていますので、断尾をしないブリーダーもいますが、ほとんどの場合は断尾をしてから販売されます。

断尾や断耳をしない個体をご希望の方はブリーダーに相談してみると、断尾や断耳をしない個体を迎え入れることができるかもしれません。

犬の断尾を禁止している国は多い

元々は仕事をするためにおこなわれた行為ですので、愛玩犬には必要ない、虐待ではないかという声から禁止する国が多くなってきています。

しかし、まだアメリカやアジア地域では禁止の動きはありません。ただ、断尾をしないブリーダーは増えてきていますので今後の断尾禁止の動きが期待されています。

愛玩犬には断尾や断耳は必要なのか改めて考え、多くの方の意見が求められます。慣習は大事ですが、本来の自然な姿が認められることを多くの方が期待しています。
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