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目でロックオンした獲物は逃がさない!サイトハウンドの犬種と特徴とは?

サイトハウンドとは?

サイトハウンドとは、優れた視覚で獲物を見つけ狩猟をする犬種です。

ハウンドとは犬の品種の名称で、獣猟犬として発達した犬です。嗅覚で獲物を追うセントハウンンドと、視覚で獲物を追うサイトハウンドがいます。

犬といえば嗅覚が非常に優れた動物として知られていますが、サイトハウンドは優れた視覚に特徴のある犬種です。サイトハウンドの特徴をご紹介します。

視覚に優れている

サイトハウンドは視覚ハウンドとも呼ばれ、犬の中で特に優れた視覚を持つ犬種です。

一般的に犬は近視で、遠くのものがよく見えません。視力は平均して0.2~0.3程度と言われています。

しかし、サイトハウンドはピントがきちんと合う正視眼を持っているため、他の犬種に比べて遠くのものもよく見えます。

視野も広く、一般的な犬の視野は200~250度ですが、サイトハウンドの視野は270度以上を見渡せます。

また、犬は動体視力の優れた動物ですが、サイトハウンドは大平原で狩猟をする犬だったため、特に優れた動体視力を持っています。

走力に優れている

サイトハウンドは走力に優れた犬で、時速60~70㎞で走ると言われています。ここまで早く走れるのは、サイトハウンドがダブルサスペンションギャロップで走るからです。

ダブルサスペンションギャロップとは、前脚と後脚を伸ばしきり、4本の脚が完全に地面から離れる走り方で、チーターと同じ走り方です。

他の犬でも全力で走るときはこのような走り方になりますが、サイトハウンドは軽く流すときでもダブルサスペンションギャロップで走ります。

歴史がある

サイトハウンドは世界でもっとも古い犬種を含むグループで、その歴史は7000年以上と言われています。

サイトハウンドの一種であるサルーキは、飼育犬種の中でもっとも古い犬とされており、紀元前6000年以上前の遺跡からサルーキの特徴を持つ犬の彫刻が見つかっています。

イタリアングレーハウンドは、古代エジプトでファラオの宮廷に存在していた小型のグレーハウンドの末裔であると言われています。

アフガンハウンドは、旧約聖書に登場するノアの箱舟に乗った犬と言われています。

サイトハウンドの特徴

サイトハウンドは身体的にも精神的にも非常に特徴のある犬です。「猟犬」という言葉からイメージされるのは、大きな体を持ち獰猛な性格な犬でしょう。

しかし、サイトハウンドはそのようなイメージには当てはまりません。

素早く走って獲物を捕まえるために鍛え抜かれた体は、美しい姿をしています。一方で、攻撃性の高い猟犬とは思えないような繊細さも持ち合わせています。

ここでは、サイトハウンドの特徴を7つご紹介します。
特徴
  1. 頭が小さく首が長い
  2. 流線型のボディ
  3. 足が長く細い
  4. 高速を維持したまま長距離を走れる
  5. 運動量が非常に多い
  6. 室内と外とで様子が一変することがある
  7. 繊細な心の持ち主

特徴1:頭が小さく首が長い

サイトハウンドは頭が小さく首がほっそりと長い、美しい外見を持っています。

サイトハウンドにはかなり大型の犬種も含まれますが、どの犬も体に対して頭が小さいので威圧感がありません。

長毛・短毛どちらの犬種もいますが、長毛種は頭から首にかけて長い毛をなびかせ、優雅な印象です。短毛種は毛が短くすっきりしている分、頭の小ささや首の長さが際立ちます。

その美しさから、サイトハウンドはかつて王侯貴族のペットとして飼われ、絵画や彫刻にも残されているのでしょう。

特徴2:流線型のボディ

サイトハウンドのボディは余分な肉がなく引き締まり、空気抵抗を少なくする流線型をしています。空気抵抗を少なくしている分、速く走ることができます。

スピードのために流線型をしているものというと、スポーツカーが挙げられます。

余分なものをそぎ落としてスピードを手に入れ、見た目も美しいサイトハウンドはまるでスポーツカーのようです。

贅肉がなく、骨が浮き出るほど痩せた体をしているため、フードを食べていないのではないかと疑われることすらあります。

特徴3:足が長く細い

サイトハウンドの足は長く、速く走るために細くなっています。

サイトハウンドには「世界で有数大きな犬」とも呼ばれるアイリッシュウルフハウンドも含まれますが、大きな体に対して足は細く長くなっています。

一般的に体重25㎏以上の犬が大型犬と呼ばれますが、大型犬として有名なゴールデンレトリバーやシベリアンハスキーと比較すると、その足の細長さがよくわかります。

小さな頭、流線型のボディ、細く長い足と、サイトハウンドはまるでモデルのような美しい容姿をしています。

特徴4:高速を維持したまま長距離を走れる

サイトハウンドはただ速く走れるだけではなく、高速を維持したまま長距離走行が可能です。動物界の俊足チーターはスピードならありますが、長距離走行のできる体ではありません。

猟犬だったサイトハウンドは、獲物を追いかける途中で力尽きてしまうわけにはいきません。獲物を捕らえ、主人の元へ帰らなくてはなりません。

そのため速く走るだけではなく、長距離を走る能力も必要なのです。体全体が細いサイトハウンドですが、胸部だけは厚くなっています。

これは肺が発達しているためです。この強い肺が長距離走行を可能にしています。

特徴5:運動量が非常に多い

スタミナがあるサイトハウンドは、膨大な運動量を必要とします。サイトハウンドを飼うなら犬と一緒に相当な運動をしなければなりません。

ダイエットをしたい方や犬と一緒に運動を楽しみたい方には、サイトハウンドは最適な犬種です。

散歩は朝夕の1日2回、最低1時間程度が理想です。ドッグスポーツもで、特になのは「ルアーコーシング」です。

ルアーコーシングとは、疑似餌(ルアー)をワイヤーにつなぎ、ワイヤーを電動モーターで巻き取りながら犬に追いかけさせるという、サイトハウンドを対象に始まった競技です。

特徴6:室内と外とで様子が一変することがある

外では活発に走り回るサイトハウンドですが、室内では一変し非常におとなしくなります。

サイトハウンドには寒さに弱い犬種もいるので、室内飼育ができる環境が必要です。活発に走り回る犬を飼うとなれば、郊外の広い一軒家でないと難しいと思われるでしょう。

しかし、外で十分に運動をさせていれば、室内では穏やかに過ごし無駄吠えも少ない犬です。マンションなどでも近隣トラブルを起こさずに飼育が可能です。

ただしすべてのサイトハウンドがおとなしいわけではなく、犬種や個体によって差もあるのでよく見極めましょう。

特徴7:繊細な心の持ち主

犬種によっては人間に匹敵するほどの大型犬もいるサイトハウンドですが、その外見とは裏腹に繊細な心の持ち主です。

人見知りが激しく、知らない人には自分から近づこうとしません。飼い主の感情を敏感に察知するため、しつけのためにひどく叱ってしまうとストレスから体調不良になります。

子犬の頃からいろいろな人や犬に接する機会を作る、いたずらをしても頭ごなしに叱らないようにするなど、繊細な性格に配慮した接し方をしましょう。

サイトハウンドに分類される犬種

サイトハウンドは特定の犬種の名前ではなく、視覚が優れた犬種のグループの名前です。同じサイトハウンドでも大きさ、被毛などの身体的特徴、性格がそれぞれ異なります。

猟犬の名残が強く攻撃的な犬種もいれば、おとなしくフレンドリーな犬種もいます。大きさも中型犬から超大型犬までさまざまです。

ここでは、サイトハウンドの代表的な犬種を6種ご紹介します。
犬種
  1. アフガンハウンド
  2. サルーキ
  3. ボルゾイ
  4. イタリアングレーハウンド
  5. アイリッシュウルフハウンド
  6. ウィペット

犬種1:アフガンハウンド

アフガンハウンドは大型犬には珍しく引きずってしまうほどの長毛で、プライドが高くしつけにくい犬種です。

アフガンハウンドは「世界で有数頭の悪い犬」などと呼ばれていますが、それは人間への服従心が低く、命令に従わないことがあるためです。

これは狩猟犬として、主人の命令を待つより先に自分で考え判断する習慣があったためです。マイペースな性格で、猫のような犬とも呼ばれます。

特徴的な長毛はシングルコートなので抜け毛には悩まされませんが、絡まりやすいので適切なケアが必要です。

犬種2:サルーキ

サルーキは長い毛で覆われたたれ耳が特徴の犬で、頭がよく、自由を好む性格です。

走るのが大好きで、全犬種の中でもっとも速く走るとも言われています。自転車で並んで走る、広いところを走り回らせるなど、たっぷりと運動させましょう。

狩猟犬だったため、散歩中でも小動物などを見つけると追いかけてしまうので、散歩のときは必ずリードが必要です。

穏やかで落ち着いた性格ですが自由奔放で自立心が強いため、一般の犬のように主従関係を築くのは難しい犬種です。また、繊細な性質のためストレスから病気になってしまうこともあります。

犬種3:ボルゾイ

ボルゾイは、ロシア原産で美しい被毛を持つ大型犬です。体高はオス75~85cm、メス68~78cmくらいあり、立ち上がると人間くらいの大きさになります。

ダブルコートの犬種なので、ブラッシングなどのケアや抜け毛の掃除が必要です。

性格は穏やかで落ち着いていますが、好奇心旺盛で遊び好きです。一方で、外に出ると猟犬だった頃の血が騒いで小動物を捕らえてしまうので注意が必要です。

短時間で遠くまで走って行ってしまう走力と、1mくらいの柵は飛び越えてしまう跳躍力を持っているため、脱走しないように対策をしましょう。

犬種4:イタリアングレーハウンド

イタリアングレーハウンドはサイトハウンドの中でもっとも小さい犬種で、従順でおとなしい性格の犬です。

短毛で臭いや抜け毛の心配が少ない犬種ですが、日本の厳しい気候にはあまり強くありません。

真夏や真冬などは外での散歩を控えて、空調管理のできる室内で過ごさせましょう。冬の外出時には洋服が必要です。

性格は穏やかで攻撃性が低いので、ほかのサイトハウンドに比べてしつけもしやすく、他犬とのトラブルもあまり起こしません。

犬種5:アイリッシュウルフハウンド

アイリッシュウルフハウンドは「世界でもっとも大きな犬」と呼ばれるほどの大型犬ですが、穏やかで優しい性格です。

体高はオスで80㎝前後、メスで75㎝前後あり、体高が1m以上になる場合もあります。一般的に大型犬は寿命が短く、アイリッシュウルフハウンドの寿命は6~8歳です。

被毛は剛毛で、体は筋肉質です。巨大な外見に反し、性格は穏やかでフレンドリーです。警戒心が弱く攻撃的でもないので、番犬向きではありません。

寂しがり屋な面もあるので室内飼いで愛情たっぷりに育ててあげるのがです。

犬種6:ウィペット

ウィペットはスラリと伸びた足にスリムな体型が特徴で、走る姿がとても美しい犬です。

中型犬で、被毛は短くシングルコートなので抜け毛には悩まされませんが、寒さには非常に弱いので冬は防寒着が必要です。

性格は愛情豊かで優しく、飼い主や家族に従順な犬です。人や犬への攻撃性も少なく、極端に神経質だったり自己主張が強かったりしないので、集合住宅での室内飼いにも向いています。

ただし、内向的な面があるので知らない人には警戒心を抱きます。子犬のころから人や犬に接するようにし、社交性を身につけさせましょう。

サイトハウンドを飼う上での注意点

サイトハウンドは、初心者には飼うのが難しい犬種とも言われています。

主な理由はしつけの難しさです。独立心が強いのでしつけが難しく、うまくいかなかった場合は成犬になってから苦労するようになってしまいます。

サイトハウンドを飼う上での注意点を6つご紹介します。責任を持って飼うことができるか、よく確認しましょう。
注意点
  1. 散歩は絶対
  2. 逸走する可能性がある
  3. 首輪が抜けやすい
  4. 猟欲が強い
  5. 靭帯損傷や骨折をしやすい
  6. しつけは根気強く丁寧に

注意点1:散歩は絶対

サイトハウンドはどの犬種も運動量が多いため、散歩は絶対に必要です。散歩は朝晩2回、犬種にもよりますが30分から1時間は必要になります。

運動不足になるとストレスがたまり、問題行動を起こしたり病気になったりします。

そのため、年配の方や体調に不安がある方など、サイトハウンドの散歩に付き合えない恐れのある方は飼うのを見合わせたほうがお互いのためです。

散歩だけではなく、時にはドッグランのような広いところで走り回らせるなど、十分に運動させるようにしましょう。

注意点2:逸走する可能性がある

サイトハウンドはかつて狩猟犬だった性質上、逸走する可能性が高い犬種です。

素早く動く小動物などを見つけると狩猟犬としての血が騒ぎ、追いかけずにはいられなくなってしまいます。

飼い主が犬の瞬発力についていけず、リードを手放してしまう恐れがあります。足が非常に速いため、あっという間に遠くまで行ってしまいます。

2016年には福岡で6匹のボルゾイが脱走し、ニュースになりました。サイトハウンドは大型犬が多く、「猟犬」というだけで周囲を怖がらせてしまうので、逸走しないよう対策が必要です。

注意点3:首輪が抜けやすい

サイトハウンドは首が細いので、通常の首輪だと抜けやすくなってしまいます。

抜けやすい首輪を使用していると、散歩中に小動物を見つけたサイトハウンドが突発的に走り出した瞬間にすっぽ抜けてしまい、逸走の危険へとつながってしまいます。

また、合わない首輪をしていると、首輪が皮膚を傷つけたり気管を締めつけたりしてしまう恐れもあります。

サイトハウンドには、幅の広い首輪や首輪の一部がチェーンになっているハーフチョークカラー、首と胴体につけられるハーネスなどがです。

注意点4:猟欲が強い

かつて狩猟犬として活躍したサイトハウンドは猟欲が強いので、散歩のときには特に注意が必要です。

見つけた小動物を追いかけるために、急に走り出してしまいます。サイトハンドには大型の犬種も多く、急に走り出した犬を引き留めるのは至難の業です。

引き留められず逸走してしまう恐れもあります。逸走して飼い主の目の届かないところで他の犬を攻撃してしまったり、交通事故に巻き込まれてしまったりする可能性もあります。

しつけをしっかりして、突然走り出すことがなくなるよう対策しましょう。

注意点5:骨を折りやすい

サイトハウンドは俊足が自慢の犬種ですが、一方で骨を折りやすい犬種でもあります。大型犬は体重があるので、靭帯に体重の負荷がかかりやすいです。

きれいなお座りができない、歩いていなくても後ろ足を上げているなどの様子が見られたら、獣医に相談しましょう。

また、サイトハウンドは骨が細いので、高いところから落ちたり、抱っこした状態から誤って落としたりすると骨を折る可能性があります。

足を引きずったり頻繁に舐めているようなら、病院へ連れていきましょう。

注意点6:しつけは根気強く丁寧に

サイトハウンドは、主人の指示を待つのではなく自分で考えて獲物を捕らえてきたという歴史があるので、しつけが難しい犬種であると言えます。

しつけは子犬のころからじっくりと根気よく、繰り返し行う必要があります。子犬だからといって甘やかしてしまうと、大型犬として成長したときに制御できなくなります。

猟犬として攻撃的な面を備えているので、成犬になってから問題行動を起こすようになってしまいます。

一方で、サイトハウンドは繊細な面も持ち合わせています。頭ごなしに叱るとストレスを感じてしまうので、さじ加減が重要です。

視覚と走力に優れたサイトハウンドを飼おう!

サイトハウンドはしつけが難しいため初心者には飼いにくい犬と言われていますが、一方で犬を飼った経験のある人にとっては、いつか飼いたい憧れの犬とされています。

かつては王侯貴族に愛された犬であり、一緒にいるだけでも惚れ惚れするような美しい犬です。

運動量を必要とする犬ですが、犬と一緒にたっぷりと体を動かして遊びたい方には犬種です。

飼育に必要な知識と心構えをしっかりと持ち、視覚と走力に優れたサイトハウンドとともに生活しましょう。
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