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大鳥池のタキタロウの正体とは?過去の調査や目撃情報について解説

「タキタロウって何?」
「伝説の魚って聞いたことあるけど、正体は?」
「今も生きているの?」
伝説の巨大魚「タキタロウ」についてこのような疑問を抱いたことはありませんか?もしくは名前を初めて聞く人もいるかもしれませんし、ツチノコなどのUMA(未確認生物)と思っている人もいるかもしれません。

この記事では、伝説の巨大魚と言われているタキタロウの正体について考えられている説、言い伝えられている伝説、過去の調査や目撃情報について解説していきます。

読んだ後は、幻の魚タキタロウをより身近に感じることができるようになりますし、存在が半信半疑だった人も地元の人々のように「タキタロウは今も生息しているに違いない」と信じられることでしょう。

タキタロウに興味のある方はぜひご一読ください。

幻の魚と言われている大鳥池のタキタロウってなに?

タキタロウとは、山形県の大鳥池に生息すると言われている伝説の巨大魚です。

地元の言い伝えによると「尾びれが大きい」「ウサギのような三つ口形状の口をしている」「体色は茶褐色で体表はヌルヌルし斑点がある」といった特徴や、「赤身で脂が乗っており非常に美味しい」のような実際に食べた人の感想も伝わっています。

また、「暗雲を呼んで嵐を起こす」「捕えようとすると村に洪水が起こり田畑に害が及ぶ」「カモシカすらも食べる」なども伝承されています。

1980年代にブームになったネッシーやツチノコなどのUMA(未確認生物)の類かと思っている人もいますが、実際に捕獲したり、食べたりした人の証言もあり、きっとタキタロウは存在するに違いないと人々に信じさせるような根拠もあります。

このような幻の魚タキタロウについて解説していきます。

大鳥池って?

伝説の巨大魚タキタロウが生息しているとされる大鳥池は、山形県と新潟県の県境にある朝日連峰以東岳(いとうだけ)の北麓に位置する湖です。

大鳥池に行くには、例えばJR鶴岡駅を起点とすると、そこから車で2時間ほど移動して泡滝ダム登山口へ、そこから更に3時間ほど山道を歩かなければなりません。まさに秘境の湖です。

このように山深い場所に位置する大鳥池は標高966m、面積が40㎦、水深は68mと、非常に大きな湖であり、ブナ原生林に囲まれて神秘的な雰囲気が漂っています。

そこには古くから、巨大魚が生息しているのではないか?きっと生息しているに違いない、と人々を信じさせるような迫力があります。

なお、大鳥池は周囲3.2kmの堰止湖(地震や噴火、土砂などによってせき止められてできた湖)です。

タキタロウの概要


タキタロウについてはさまざまな言い伝えがあります。ここでは、名前の由来や大きさなどの特徴などについて解説していきます。

名前の由来

タキタロウの名前の由来については、その巨大魚をはじめに発見した人の名前だったのではないか、大鳥池に棲む竜神の名前ではないか、さらにははじめに発見された場所が滝だったのではないか、など諸説あります。

ですが、はっきりとした名前の由来は今もわかりません。

大きさ

タキタロウの体長は、伝説によると約2~3mとされています。形状の特徴としては下顎が長く上顎に食い込むほどであり、尾びれがとても大きい、また、ウサギのような三つ口のようとも伝えられています。

体の色は茶褐色で体の表面はヌルヌルして斑点があり、また、赤身で脂が乗っており非常に美味しいと伝えられています。

性格は非常に警戒心が強く、主に湖底で生息している、といった内容から、タキタロウを怒らせると嵐になる、カモシカをも飲み込むことがあるといった恐ろしい伝説もあります。

いつ頃から言い伝えられている?

タキタロウの存在は古来より地元に伝わる伝承であり、少なくとも江戸時代頃には存在が知られていたと思われます。

タキタロウについて記述がある最も古い文献としては、幕末から明治の博物学者である松森胤保が書いた「両羽博物図譜(羽前と羽後の動物・植物・昆虫等を緻密に記録した図鑑)」が広く知られています。

また、大鳥池の主であるタキタロウが5回の洪水を引き起こし、ふもとの集落を襲った、のような江戸時代の記録もあります。

タキタロウにちなんだ行事

タキタロウにちなんで、毎年5月下旬の日曜日に鶴岡市で「タキタロウまつり」が開催されています。

タキタロウまつりは、朝日連峰の以東岳と大鳥池の山開き行事に合わせて、山や川の大切さを知るイベントとして毎年開催されています。

渓流での魚のつかみどり、カヌーやボートあそびなどの自然と触れ合えるイベントや山菜の直売や魚の塩焼きの販売など、子供から大人まで1日中満喫できる行事となっています。

このような機会に、身も心も自然に触れ合い、山や川の恵みをいただき、幻のタキタロウに思いを馳せてみましょう。

タキタロウに関するさまざまな説


後述しますが、タキタロウについては伝説、本格的な調査、目撃例が多数あり、実際に何らかの巨大魚が生息している、もしくは生息していたのではないかと思われます。

これまで、タキタロウの正体についてさまざまな憶測がされてきました。以下に解説していきます。

古代魚の生き残り説

前述の通り、大鳥池は堰止湖ですが、約2万年前にせき止められて形成されたもの、と考えられています。当時はちょうど最後の氷河期であるウルム氷期にあたります。

氷河期に堰止湖によって陸に封じ込められた魚が、人間の手の及ばない大自然の中で独自の進化をとげ、一般的なサイズよりも大きく成長したと考えられています。

マス属の魚説

タキタロウは、ニジマスやヒメマスによく似ているため、マス属の魚ではないかという説があります。また、似た魚の近縁種同士の混血であるという説や、突然変異によって巨大化したという説、独自の進化をしたイワナの亜種という説もあります。

なお、亜種とは、同一種に属するが明らかに形態的な差異がある地理的な品種のものを「〇〇の亜種」のように表現します。

すでに絶滅している説

タキタロウは既に絶滅しているのではないか?という説もあります。

過去にはタキタロウは大鳥池に生息していたが、様々な理由により現在は絶滅してしまった、という説です。

これまで幾度も大規模な調査が行われ、また数多の人が捕獲を試みてきたにもかかわらず、いまだにタキタロウといえる魚は捕獲されていないし、写真などの記録もないことがその根拠となっています。

神聖な場所とされた大鳥池を守るための作り話説

タキタロウ伝説は作り話だという説もあります。古来、大鳥池は神聖な場所とされ、女人禁制だった時代もあります。そのような場所へ人々が軽率に近づかないように、怒らせると嵐が起きる、恐ろしいことが起きる、という伝説が作られたのかもしれません。

子供に言うことを聞かせたい時、「悪いことをすると鬼が来る」のようなことを子供に言ったり、または子供の時に大人に言われたりした経験がある人もいるのではないでしょうか。昔であればなおさら同様のことがあったと思われます。

時系列でみるタキタロウの伝説・調査・目撃例


タキタロウの伝説・調査・目撃例を時系列で解説します。もしかしたら、なんとなく少し遠い存在に感じているかもしれないタキタロウが、ぐんと身近に感じられることでしょう。

江戸末期にはすでにタキタロウについての伝説があった

前述の通り、タキタロウについての記述がある最も古い文献は、松森胤保の「両羽博物図譜」です。

ここでは、「岩名(イワナ)」の項目で、大物のものを「瀧太郎」というと記述されています。1.5mクラスのものが大鳥川から流れてくるとされています。

また、大鳥池のタキタロウが5回も洪水を起こし、ふもとの集落を襲ったという江戸時代の記録もあります。

大正時代に2匹の巨大魚が捕獲されたという言い伝えがある

1917年(大正19年)、大鳥池に水門を作るため、ダイナマイトで爆破作業をした際、2匹の大型魚が浮かんできました。その魚は、全長1.5m、体重40kgもあったとされています。

2名の作業員が持ち帰り4日かけて食べ、「赤身で脂が乗っており非常に美味しい」という味の特徴が伝えられています。

1982年7月に2メートルの巨大魚が目撃される

1982年7月、地元の旅館「朝日屋」主催で以東岳登山が行われました。朝日屋主人ら4人が、登山道から体長2m前後の巨大な魚が数十尾の群れで小魚の大群を追っているところを目撃しました。

実際に目撃した人の体験談によると、以東岳中腹で休憩していた時にふと大鳥池を見たら、西側にV字型の波が移動しているのが見え、双眼鏡で眺めると巨大魚の群れが泳いでいたとのことです。

このニュースは地元新聞の一面に掲載されるなど、大きく報じられました。そして、これをきっかけに、タキタロウが世間から大きく注目されるようになるのです。

1983年から3年に及び調査が実施される

1982年に巨大魚が目撃されたことから、大規模な調査団が組織され、3年にもわたって調査が実施されました。

メンバーは、地理や地質などの学術専門家、NHKの取材班及び朝日村関係者などです。当時では最先端技術だった音響探査機や魚群探査機が使われました。

1985年、大規模調査3年目にして、ついに体長約70cm、体重は約5kgの巨大魚を捕獲することに成功しました。その巨大魚は専門家へ鑑定が依頼されることになります。

日本中がその結果について固唾を飲んで見守る中、発表された結果は「アメマス系のニッコウイワナ」か「オショロコマに近いアメマス」とされました。専門家の間でも特定されるに至りませんでした。

ニッコウイワナもアメマスも、どちらもイワナ属であり、近縁の種なので回答に大きな差異はないと考えられます。ここから、タキタロウの正体が限定された環境において独自に進化したイワナの亜種ではないかとも考えられています。

ただし、この時の巨大魚とタキタロウとの関連についても特定はされていません。以前タキタロウを捕まえたことのあった村人が「顔が違う」と証言したからです。

2001年に体長が70cmを超える魚が捕獲される

2001年、体長が70cmを超える大型魚が捕獲されました。タキタロウである可能性も報道されましたが、それ以降はタキタロウの目撃などの情報はありませんでした。

そんな中、タキタロウの本格的な生態調査が1985年に終了して以来30年ぶりに行われることになります。

2014年に30年ぶりの本格調査が行われる

2014年の30年ぶりの本格調査では最新鋭の魚群探知機が投入されました。メンバーは、地元の大鳥地域づくり協議会のほか、一般公募された14人が参加しました。

この調査によって、水深25~54mの地点で1日に6回以上も、1匹~数匹の魚影を探知することができました。

また、この調査に参加した慶應義塾大学先端生命科学研究所の伊藤卓朗博士によって池の性質が調査された結果、深い水域でも魚が生きるための十分な酸素濃度があることが立証されました。

一般的に、ダム湖などでは深くなるにつれて酸素濃度が減ることで魚は生息できない環境になります。伊藤博士の調査により、大鳥池の湖底にはタキタロウが生存可能な環境があることが明らかになったのです。

10数年おきに巨大魚の捕獲例がある


1917年以降、10数年おきに何度か巨大魚の捕獲例があります。

大鳥池のすぐ近くにあるタキタロウ館にはタキタロウに関する様々な資料が展示されています。過去に釣り上げられたとされる巨大魚の魚拓やタキタロウのような巨大魚の写真、これまでの調査などで明らかにされた資料などがあります。

一方、タキタロウは伝説の巨大魚であり、現在も「UMA(未確認生物)なのでは」と半信半疑に思う人がいるように、これぞ正真正銘のタキタロウとされる写真などはありません。

ですが、大鳥池において過去に巨大魚が何度も釣り上げられており、現在も「タキタロウが生息しているのでは」という思いに駆り立てられます。

タキタロウは漫画や小説にも登場している


タキタロウは伝説の魚、もしくは幻の魚として非常に興味深い題材であり、漫画や小説にも登場しています。どのような本なのか、以下に説明します。ぜひ手に取って読んでみてください。

釣りキチ三平

「釣りキチ三平」は釣り好きな人の愛読書として知られている釣り漫画です。1975年に「O池の滝太郎」として描かれ、タキタロウは一躍有名な魚になりました。この漫画によりタキタロウの存在を知ったという人も珍しくありません。

また、1980年代にはツチノコなどのUMA(未確認生物)ブームが拍車をかけ、「日本の怪魚」などと大きく世間の注目を集めました。

日本怪魚伝

アカメ、ビワコオオナマズ、タキタロウなど、日本各地の伝説・言い伝えになった12の怪魚たちをモチーフにした短編集です。ノンフィクションや歴史小説、エッセイ、民話など様々な表現スタイルで描かれています。

魚の描写が非常に鮮烈で迫力があり、釣りが好きな人やUMA好きの人だけでなく、魚好きでない人も楽しめます。

魚と人との営み、人間の愚かさ、自然への畏怖などが巧みに描かれており、また環境問題、外来種・在来種問題なども興味を惹かれます。

全編、著者の魚への想いで溢れていて、読書後は「もう少し早く読みたかった」という気分になる評判の一冊です。

未だ正体が解明されていないタキタロウについて知ってみよう


急激に科学が進歩した現代、過去には未知だったさまざまな事例が明らかになるようになりました。ですが、何度も本格的に調査されながらタキタロウの正体については未だ解明されないままになっています。

遅くとも江戸時代末期頃からの伝説や目撃情報、調査から、何らかの巨大魚がいることは確実なのではないでしょうか。現在、再びタキタロウに注目が集まっています。

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