オスカーの種類は？特徴や飼育方法・必要な設備についても紹介

「オスカーについて知りたい」
「オスカーの飼育を考えている」
「オスカーへの理解を深められる記事を読みたい」
このようにオスカーについて知りたいことは人によって様々でしょう。

本記事では、オスカーという魚について紹介します。
前半では、オスカーの生態や種類について解説をしながら、後半ではオスカーを飼育する上での考え方や、飼育に必要なアイテム、飼育に関する注意点などを紹介します。

本記事を読めば、オスカーについて包括的に理解することができるでしょう。

これからオスカーの飼育を考えている方や、オスカーに興味がある方など、様々な角度の疑問にヒントを提示できる内容になっています。また、単純に魚類が好きという方にも楽しく魅力を理解できる内容です。ぜひ本記事を読んでそれぞれの目的に活用してください。

オスカーはスズキ目シクリッド科に分類される熱帯魚です。いわゆるアメリカンシクリッドの一種で観賞魚として人気があります。アストロノータスとも言います。

1830年代にルイ・アガシーによって最初に記載された際はマツダイ科に分類されました。その後の研究でシクリッド科のアストロノータス属に再分類されました。オスカーは本来英名ですが、アストロノータスと共に通称名として親しまれています。

オスカーは見た目がとても特徴的な魚です。体は強く側扁した楕円形で、大きな背ビレ、尻ビレ、尾ビレを持ちます。体長はおよそ25～40cmで、ブリードとワイルドでは個体の大きさに差があります。

ブリード個体はおよそ25cmで成長が止まりますが、ワイルド個体は30cmを超えることも珍しくありません。中でも大型のワイルド個体は人気です。また、ワイルド個体は体色や模様にバリエーションがありコレクション性が高く、こちらも人気があります。

視力が良く人馴れしてエサをねだることがあり、愛着が湧きやすいのも特徴です。

オスカーは南米のペルー、ブラジル、コロンビアなどを流れるアマゾン川の流域に分布しています。ギアナやアルゼンチンにも分布すると言われています。

河川や湿地などに生息しており、砂底や泥底で姿を見られます。また、水生植物や沈んだ倒木の陰に隠れていることが多いです。流れが穏やかな浅場を好み、雨季の洪水などで現れる氾濫原にも姿を見せます。

オスカーの寿命はおよそ10～20年です。平均しておよそ10年と言われますが、適した環境で飼育してあげることで15年以上生きる場合もあります。中には20年以上生きた個体も確認されています。熱帯魚の中では寿命は長いほうでしょう。

オスカーの成長速度は速く、半年で10cm以上成長することもあります。およそ1年で成体になり、その後の成長速度は鈍化しますが、大きいものでは40cmを超える個体もいます。

オスカーは、体色が美しいことや繁殖が簡単なことから、品種改良が多く行われており、バリエーションが豊富な魚です。

ここでは、その豊富なバリエーションの中から、5種類のオスカーをピックアップして解説します。どれも一般的に流通している有名な種類のため、オスカーの種類の基本を押さえることができるでしょう。ぜひ参考にしてください。

ワイルドオスカーは名前のとおり、ブリード個体ではない野生下のオスカーです。オスカーには観賞性を高めたブリード個体も多くありますが、天然のワイルド個体も根強い人気があります。

ワイルドオスカーは原産地によって体色や模様に違いがあり、基本的な体色は、黒を基調にして、赤や黄色の不規則な模様が入っています。ブリードに比べると縄張り意識が強く攻撃的な個体が多い傾向です。

レオパードオスカーは、黒い体色に赤い豹柄が入ったオスカーの改良品種です。赤と黒の発色が鮮やかです。

黒い体色に赤い模様が入るという基本は同じですが、レオパードオスカーの場合は赤い模様の範囲が広くなっています。また、タイガーオスカーに似ていますが、体を走る模様は虎柄ではなく豹柄っぽいのも特徴です。名前の「レオパード」は「豹柄」の意味です。

レッドオスカーは、黒い体色に赤い斑紋が全身に広がったオスカーの改良品種です。

レッドオスカーの体色は黒ですが、広い範囲で赤色の斑紋が現れます。この斑紋は頭部とヒレの先以外のほとんどに出るため、非常に目を惹くでしょう。また、赤色の発色には個体差があります。

レッドオスカーの改良品種として、さらに赤色が強く出る「ルビーレッドオスカー」や、白地に赤い模様が美しい「アルビノレッドオスカー」などもいます。

タイガーオスカーは、体に赤い虎柄模様が入ったオスカーの改良品種です。体色はワイルド個体に近く、黒色と灰色が混ざった色をしています。

タイガーオスカーの模様には個体差があり、幼魚の時は赤い虎柄が体全体を覆っています。それが成長するに伴って、徐々に模様の形状や発色に変化が出てくるのです。強い生命力を持ち、南米の広い範囲で生息しています。

性格の凶暴性はオスカーの中でも特に高く、基本的に単独飼育が望ましいでしょう。

アルビノオスカーは、他の生物のアルビノと同様に白い体と赤い眼を持つオスカーです。突然変異で生まれたアルビノを固定した個体です。

アルビノオスカーは黒色色素がないため体色は白く、そこにオレンジ色の斑点模様が入ります。この斑点模様の数には個体差があり、極少量の個体から全身を覆うように大量に入った個体まで様々です。また、アルビノ種は共通して視力が弱いという特徴があります。

オスカーは基本的には丈夫で飼育も難しくない魚です。しかし、飼育するにあたっていくつかのポイントを理解しておく必要があるでしょう。

以下では、オスカーを飼育する際に押さえておきたいことを紹介します。基本的なポイントを3つピックアップして解説しますので、予備知識として活用してください。

オスカーを飼育する際の水温は25～28℃、水質は弱酸性～中性（pH6.5～7.5）程度にするのが適しているでしょう。

オスカーは水温が20℃以上あれば死んでしまうことはありません。そのため22℃程度まで適温の範囲にされることがありますが、低水温での飼育は活性が落ちてエサを食べなくなったり、免疫低下を引き起こしたりして病気にかかりやすくなってしまいます。年間を通して25℃以上に保つのが良いでしょう。

オスカーのエサは、主食に「人工飼料」を与えながら、副食として金魚やコオロギといった「生餌」を与えるのが良いでしょう。

オスカーは丈夫で大食漢のため何でも食べてくれます。しかし、エサを与えすぎると消化不良を起こします。また、偏食だと栄養の偏りで病気にかかってしまいます。様々なバリエーションのあるエサを用意してあげましょう。

エサは1日に2回程度、食べ残さない量を少しずつ与えましょう。

水槽の環境維持には定期的な清掃が欠かせません。

オスカーは丈夫な魚ではありますが水質の悪化に弱いです。また、大食漢でありフンの量も多いため、水槽が汚れやすいです。以上の理由から水槽の清掃や水換えは週に1回を目安に行うのが良いでしょう。

オスカーは体調を崩すと、体が白濁したり横たわったりします。こうした状態になってしまうと元に戻すのは難しくなります。予防はしっかり行いましょう。

オスカーは丈夫な魚で飼育に特別なアイテムも必要ありません。一般的なアイテムで飼育することができます。初期費用はおよそ3万円をみておけば良いでしょう。

以下では、オスカーの飼育に必要なアイテムの中から、代表的なものを紹介します。水槽やライトなど4つのアイテムをピックアップして解説しますので、参考にしてください。

オスカーが小さい時は60cmサイズの水槽でも良いですが、オスカーは最大でおよそ40cmまで成長します。そのため水槽は90cmサイズのものを用意した方が良いでしょう。あまり小さいとストレスで短命になってしまいます。十分な遊泳スペースを確保するという点でもオススメです。

オスカーは水から飛び出す力も強いため、必ずフタも用意しましょう。アクリル製がオススメです。

オスカーは大食漢で水質の悪化が早いため、出来るだけ強力なろ過フィルターを選ぶのが望ましいでしょう。オススメは、ろ過能力が高くメンテナンス性に優れ、価格も手ごろな上部式のフィルターです。

水質維持のため、フィッシュレットとの併用も良いでしょう。しかし、水槽の底面に底砂を敷いている場合はフィッシュレットが砂を吸い込んでしまうため注意が必要です。

オスカーの飼育で蛍光灯を使う場合は、トロピカルレッドの蛍光灯がオススメです。トロピカルレッドの灯りが、オスカーの赤い体色を際立たせてきれいに見えます。明るい環境が苦手なため白い光は避けましょう。

蛍光灯はオスカーの飼育に必須ではありません。リビングなどの明るい場所では必要ないでしょう。水槽の置く場所次第ですが、多くは観賞用ということになるでしょう。

オスカーは食べ残しやフンの量が多いため、清掃が簡単なベアタンクという水槽の底に何も敷かない飼育が推奨されています。

しかし「オスカーを落ち着かせてくれる」「ろ過機能を助ける」といった理由で底砂を敷くのも良いでしょう。底砂を敷いておくとオスカーが産卵床に使ってくれます。およそ1cm敷けば十分でしょう。

ベアタンクにするか底砂を敷くかは好みになります。自分の飼育方針に合わせて決めるのが良いでしょう。

オスカーは中型の肉食魚のため混泳相手は選ぶ必要があるでしょう。基本的には単独飼育がオススメです。

小型魚や甲殻類はオスカーに捕食されるため混泳できません。また、シクリッドやオスカーといった同種・近親種との混泳は、縄張り争いが起きやすいため避けた方が良いでしょう。多種との混泳なら、性格が温和で同程度以上の大きさの魚種を選ぶようにします。遊泳層が被らず、容姿も異なる魚種なら混泳が成功しやすいでしょう。

オスカーはペアで子育てをします。ペアになると気性が荒くなることがあるため、混泳している場合は隔離して様子を見ましょう。

およそ12cmを超えた辺りから産卵可能になります。産卵準備として底砂と流木を用意しましょう。底砂は薄く敷き、流木は大きめで尖っていないものを置きましょう。どちらも産卵床になります。

オスカーは親魚が稚魚の世話をしますが、親魚が卵を食べてしまうようなら稚魚との隔離が必要でしょう。

様々なオスカーを見てきました。オスカーは丈夫で寿命が長く、人馴れもするため、長く付き合うほどに愛着が沸いてくるでしょう。また、飼育も簡単で種類も豊富なため、初心者にもオススメの熱帯魚です。

ぜひ本記事で紹介した内容を参考にして、様々な種類のオスカーの飼育にチャレンジしてみましょう。