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マレーグマの特徴や生態とは?人間のペットとして飼うことはできるか

マレーグマとは?

姿や動きからネットで「中におっさんが入っていそう、怖い」や「愛嬌があって可愛い」と話題になることが多いクマは、「マレーグマ」です。

中に人が入っていそうに見えるのは、マレーグマの大きさや柄に関係しています。クマの割に小さいので、「大きなクマはペットにするのは怖いけど、マレーグマならペットにできるのでは?」と考える人もいます。

まずは「ペットにできそうなサイズのクマ」であるマレーグマの、特徴と生体について見ていきましょう。

マレーグマの特徴

マレーグマは、クマの中で一番小さなクマで、体長は100~150センチほどです。黒く光沢のある短い毛で、全身が覆われています。

胸部にオレンジ~肌色に近い色の三日月模様があります。海外ではその模様を太陽に見立て「Sun bear(サンベアー)」と呼びます。鼻から目にかけて、三日月模様と同じ色の毛が生えています。

舌が長く、器用に使い昆虫などを舐めて獲ります。長い爪は鎌形に曲がっており、木登りが上手にできます。

マレーグマの生態

マレーグマは、クマの種類のなかで唯一熱帯に住んでいます。マレーシア、ラオス、ベトナム、インド、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、中国南部といった東南アジアの森林地帯に生息しています。

夜行性で、日中は低い位置に枝を折って作ったベッドで寝ています。食性は雑食で、果実や卵、昆虫から小動物までなんでも食べます。中でもはちみつが好きです。

一夫一妻制で、一度の出産で1~2頭の赤ちゃんを産みます。赤ちゃんは約280~340gで、体になく、目が見えない状態です。授乳は約18か月続き、乳離れ後も2年以上母親と過ごします。

マレーグマを人間のペットにはできない理由

「食事も簡単に用意できそう!やはりペットに向いているのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、答えは「ペットには向いていません」です。マレーグマは、絶滅危惧種のレッドリストに指定されており、ペットにすることはできないからです。ペット禁止だけでなく、輸出や輸入禁止、捕獲なども規制されています。

ペットにできそうなほど小さくて温厚なマレーグマが、なぜ絶滅危惧種に指定されているのか解説します。
マレーグマを人間のペットにできない理由
  • ワシントン条約で保護された絶滅危惧種だから
  • 生息している国の中でも販売は禁止されているから
  • 保護目的以外の狩猟が禁止されているから

絶滅危惧種なのでワシントン条約で保護されている

ワシントン条約の正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引における条約」です。マレーグマだけでなく、色々な野生動植物の国際取引のルール規制対象となる野生動植物を定めています。

食用、あるいは製品化して消費する、またはペットとして売買するためなどの理由で、多くの野生動物が狩猟または捕獲されています。マレーグマも同じで、密猟によって数を減らされてしまい、絶滅危惧種に指定されるほど追い込まれてしまいました。

生息している国の中でも販売は禁止されている

絶滅危惧種に指定されている野生の動植物は、生息している国の中でも売買が禁止されています。つまり、生息地でもマレーグマをペットにすることはできない、ということです。

しかし、マレーグマの小熊は、子どもの遊び相手にピッタリということで、現地ではペットとして飼育しているケースもあります。ペットにするために、母親を捕えて無理矢理繁殖させるケースもあります。

保護目的以外の狩猟は禁止されている

マレーグマはワシントン条約により、保護目的以外の狩猟は禁止されています。保護措置がきちんと守られ、個体数が回復してきたと判断された種は、会議により規制のレベルを下げたり、対象から外したりします。しかしマレーグマは現在、絶滅危惧種に指定されています。

2019年6月、マレーシアの女性がマレーグマを「道に居たところ、子犬だと思って保護した」とし、そのままペットとして飼っていたことが発覚しました。

「マレーグマを飼育できないことは知っていた、ペットとして飼うつもりはなかった」と発言していますが、野生動物保護法に違反したとして逮捕されました。

マレーグマが絶滅危惧種に指定された原因

禁止されているにも関わらず、ペットとして飼いたがる人が後を絶たないマレーグマですが、そもそもなぜ絶滅危惧種に指定されるほど数が減ってしまったのでしょうか?

答えは、人間による自然破壊と、害獣として駆除したことや密猟です。詳しくご説明していきます。

マレーグマが絶滅危惧種に指定された原因1:人間が生息エリアを奪ってしまったため数が減少した

気候や環境が安定しているエリアに、マレーグマは生息しています。つまりマレーグマの生息エリアは、人間にも適した土地ということになります。そのため、マレーグマが住みかとしている多くの土地が整備され、農場が次々と建設されました。

農地開発のための森林伐採により、マレーグマは住む場所と食料を失ってしまい、個体数が減少していきました。

人間がマレーグマの生息エリアを奪ってしまったことが、マレーグマの数の減少の原因のひとつです。

マレーグマが絶滅危惧種に指定された原因2:害獣として駆除され激減した

人間に生息地と食料を奪われたマレーグマは、人間の作った農場に現れて農作物を食べるようになりました。マレーグマからしたら生きるために食べに来ているだけですが、人間から見たら「農作物を荒らす害獣」にあたります。

人間が農場を作るために生息地を奪い、農作物を守るために今度は「害獣」としてマレーグマを駆除します。そのことにより、さらにマレーグマの個体数は減ってしまいます。

生息地を奪われたマレーグマを害獣として駆除することにより、ますます数を減らしてしまいました。

マレーグマが絶滅危惧種に指定された原因3:密猟で数が激減した

マレーグマの個体数を最も減らしてしまった原因は、密猟です。マレーグマの胆のうは、漢方薬として高値で取引されます。そのため、現在も密猟が絶えません。

禁止されているにもかかわらず、ペットとして飼う人も後を絶ちません。ペットの個体数を捕獲するため、胆汁を採取するためと、乱獲して飼育までするケースもあります。

そのためベトナム政府は、密猟とペットとしての飼育を法律によって禁止しています。

マレーグマを見ることができる動物園

小柄で愛嬌のあるマレーグマですが、場所を用意し餌を調達しても、残念ながらペットとして迎えることはできません。

しかし、マレーグマを飼育している動物園は各地にあります。ペットにはできなくても、動物園に会いに行って、ユニークな姿で楽しませてもらうことはできます。こちらでは、マレーグマに会える動物園をご紹介します。

各動物園では展示の仕方を工夫していたり、マレーグマの生態について勉強することができたりします。可愛い姿を見るだけでなく、マレーグマについて理解を深めましょう。

マレーグマを見ることができる動物園1:円山動物園

札幌市の円山動物園で、マレーグマを見ることができます。

アジアゾーンの熱帯雨林館に、オスのマレーグマ「ウメキチ」がいます。健康状態が悪い時は展示されません。体調の良い時は、のんびりと遊んでくつろぐウメキチに会えます。

円山動物園は、地下鉄「円山公園駅」下車、徒歩約15分または、JRバス動物園線「動物園前駅」下車すぐです。

車の場合は、円山動物園に隣接した有料駐車場が有ります。
札幌市円山動物園

マレーグマを見ることができる動物園2:上野動物園

パンダで大の上野動物園にも、マレーグマがいます。

上野動物園で飼育されているのは、「キョウコ」と「モモコ」のメス2頭です。関東でマレーグマに会えるのは、上野動物園だけです。

上野動物園は、駐車場がないため、公共交通機関がです。入口が3か所あります。

JR上野駅「不忍口」から徒歩5分の西園「弁天門」が比較的混雑しません。

西園「池之端門」は、東京メトロ千代田線根津駅から徒歩5分で、土日祝は待ち時間が生じます。

東園「表門」は、JR上野駅「公園口」から徒歩5分で、混雑します。
上野動物園

マレーグマを見ることができる動物園3:甲府市遊亀公園付属動物園

山梨県甲府市にある、遊亀公園附属動物園でマレーグマに会うことができます。

遊亀公園附属動物園では、オスの「サンディ」と、メスの「サクラ」が飼育されています。2頭が仲睦まじく遊ぶ様子や、それぞれくつろぐところを見ることができます。

遊亀公園附属動物園は、JR中央線甲府駅南口から山梨交通バス伊勢町行きに乗り、10分ほどの遊亀公園前で下車します。

車の場合は、中央道甲府南ICから車で甲府駅方面に約10分、駐車場有です。
甲府市遊亀公園附属動物園

マレーグマを見ることができる動物園4:豊橋総合動植物公園

愛知県にある豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)では、2019年に円山動物園からやってきたメスのマレーグマ「ハッピイ」に会うことができます。「ハッピイ」はお婿さんを探して、豊橋総合動植物公園で繁殖を目指します。

豊橋総合動植物公園までは、JR「二川」駅下車、南口から徒歩6分です。

車の場合は、国道1号線動物園入口からすぐ。または国道23号線豊橋東バイパス小松原ICより車で約5分。有料駐車場有です。
豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)

マレーグマを見ることができる動物園5:東山動物園

愛知県名古屋市にある、動物園・植物園・遊園地の複合施設での東山動植物園にもマレーグマがいます。

「マー君」と「マー子」夫妻、息子のマーチンの3頭が飼育されています。飼育員手作りのおもちゃで遊ぶ時や、普段の何気ない仕草がコミカルなマーチンは、大人にも子どもにもです。

山動植物園までは、地下鉄東山線「東山公園」3番出口から徒歩3分、または地下鉄東山線「星ヶ丘」6番出口から徒歩7分です。

車の場合は、東名高速「名古屋インター」から県道60号線を西へ約15分、各入口ごとに近くに有料駐車場有です。
東山動植物園

マレーグマを見ることができる動物園6:天王寺動物園

大阪にある天王寺動物園でもマレーグマに会うことができます。オスの「マーズ」とメスの「マーサ」の2頭が飼育されています。仲睦まじい姿や、時には喧嘩する姿を見ることができます。

特にオスのマーズは、コミカルな行動に「マーズらしい性格が出ている!」と、ネットに動画が多くあげられており、です。

駐車場がないため公共交通機関がです。

天王寺動物園までは、大阪メトロ「動物園前」から徒歩約5分、またはJR「天王寺」駅から徒歩5分です。
天王寺動物園

マレーグマを見ることができる動物園7:愛媛県立とべ動物園

愛媛県砥部町にある愛媛県立とべ動物園で会えるマレーグマは、オスの「シャイン」とメスの「ノア」の2頭です。

ノアは愛知県ののんほいパークから、シャインの元へお嫁にやってきました。とべ動物園で、仲良く過ごす2匹の様子を見ることができます。

愛媛県立とべ動物園までは、最寄りのバス停は「とべ動物園前」です。

車の場合は、松山ICから国道33号を南に約10分、駐車場有です。
愛媛県立とべ動物園

マレーグマを見ることができる動物園8:高知県立のいち動物公園

高知県香南市にある高知県立のいち動物公園で会えるマレーグマは、オスの「ワンピイ」とメスの「タオチイ」です。「マレーグマのジュースタイム」では、飼育員が噴射するジュースを、器用に口で受け止める2頭の姿を見ることができます。

どうぶつ科学館では、「マレーグマとの力比べ」コーナーのほかに、色々な動物との「スピード比べ」や「しのびより比べ」があり、楽しく動物について学ぶことができます。

高知県立のいち動物公園までは、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「のいち」駅から徒歩で約20分、レンタルサイクルがあります。

車の場合は、高知自動車道「南国IC」より車で20分、無料駐車場有です。
高知県立のいち動物公園

マレーグマを見ることができる動物園9:周南市徳山動物園

山口県にある周南市徳山動物園では、オスの「ツヨシ」とメスの「マーヤ」が飼育されています。ツヨシは、「悩むように頭を抱える」ポーズで大になりました。2019年8月24日に32歳になるツヨシは、人間だと90歳近い年齢ですので、最近はおっとりとした動作でのんびり過ごしています。逆にマーヤはおてんばで、暴れん坊です。

周南市徳山動物園までは、JR「徳山」駅から徒歩約20分です。ちょい乗り100円バスが利用でき「動物園北口前」下車です。

車の場合は、国道2号「文化会館交差点」近く、駐車場有。土日祝など混雑時は公共交通機関がです。
周南市徳山動物園

マレーグマを見ることができる動物園10:福岡市動物園

福岡県にある福岡市動植物園で会えるマレーグマは、オスの「サニー」とメスの「マチ」です。果物や氷などのプレゼントをあげる時間があり、器用に食べたり遊んだりする姿を見ることができます。

福岡市動物園までは、動物園最寄りのバス停は「動物園前」「上智福岡中高前」です。

車の場合は、有料駐車場がありますが、土日祝は激しく混雑するので、公共交通機関がです。
福岡市動植物園

マレーグマを見ることができる動物園11:熊本市動植物園

熊本市動植物園で会えるマレーグマは、オスの「フジ」とメスの「マーネ」です。先に上野動物園から来ていたフジのお嫁さん候補として、東山動物園からマーネがやってきました。現在2頭はお見合い中のため別々に過ごしていますが、フジが隣室のマーネに食べ物をプレゼントすることがあるそうです。

熊本市動植物園までは、市電の場合は「動植物園入口」から徒歩10分。バスの場合は「動植物園前」か「動植物園西口」が最寄りです。

車の場合は、熊本ICから国道57号を県庁方面に、市民病院から左折し約800m、2つ目の信号を右折します。駐車場は平日無料・土日祝は200円です。
熊本市動植物園

マレーグマを見ることができる動物園12:鹿児島市平川動物公園

鹿児島市平川動物公園で会えるマレーグマは、「ウラン」と「ハニイ」のメス2頭です。展示場には1頭ずつ交互に出されています。土日祝には、「マレーグマのハニータイム」があり、はちみつを食べる様子を観察することができます。

鹿児島市平川動物公園までは、最寄りのバス停は「平川動物公園」です。水族館前または鹿児島駅から20分毎で運行しています。

車の場合は、公式サイトにて写真付きで詳しく案内があります。駐車場は普通車200円、大型バス400円です。
鹿児島市平川動物公園

絶滅危惧種のマレーグマを動物園に見に行こう!

小柄でユニークなマレーグマが、絶滅危惧種になってしまった原因と、会える動物園をご紹介しました。ペットとしてお迎えすることはできませんが、動物園に会いに行ったりネットで調べたりして、マレーグマについて知識を深めるのはいかがでしょうか?

「個体数が復活したら、いつかペットとしてお迎えできるかも?」という夢を持ちつつ、これを機にマレーグマ以外の絶滅危惧種にも目を向けてみるのも良いでしょう。ペットショップで売られている動物、すでにペットとして出回っている動物も、絶滅危惧種に指定される場合もあります。

絶滅危惧種は、ペットとして色々な動物をお迎えできる環境の現在において、意外と身近な問題なのです。
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