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たぬきと犬の違いや共通点とは?実はイヌ科のたぬきの生態に迫る!

たぬきとは?

たぬきとは、イヌ科の動物の一種です。日本、朝鮮半島、中国、アムールに分布しています。日本では、山野だけではなく、都会でも生息しています。

人家にえさを求めてやってくるたぬきのことがニュースになったり、夜外を歩いていたらさっとたぬきが走りすぎていった、という目撃例もよく聞く話です。

たぬきは、日本の昔話や童話にもよく登場する動物であり、日本人にとっては、珍獣というよりはなじみのある、親しみ深い野生動物のひとつであるといえます。

イヌ科の動物

タヌキは何科の動物でしょう?たぬきは、生物の分類でいうと、ほ乳類の中でもネコ目イヌ科タヌキ属の動物です。

イヌ科の動物には、他にはオおおかみやきつね、もちろん、犬も含まれます。おおかみやきつねとくらべると、たぬきは丸みを帯びた体をしていますが、れっきとしたイヌ科の動物です。

イヌ科の動物は他の獣を狩りをして捕食するものもいれば、果実のような植物を食べるものまで、食性はさまざまです。

たぬきは、狩りをしたりはせず、攻撃性も低く、イヌ科の中ではおとなしめの穏やかな動物であるといえます。

形態と生息地

たぬきは、大き目のから小さめの中型犬くらいの大きさで、日本では北海道、本州、四国に生息しています。

4足歩行をし、後ろ足で立ち上がったりすることは犬と同じように得意ではありません。

冬毛は毛足が長く、体重も増えるので太って足が短く見えますが、夏毛は短く犬に似ています。

たぬきは日本以外に、朝鮮半島や中国、ロシアのアムールなどにも生息しています。たぬきの毛皮は上質と言われ、食用ではなくファーをとる目的でソ連に持ち込まれたタヌキが野生化し、ヨーロッパにも外来生物としてたぬきが住み着くようになりました。

種類と食性

日本には、ホンドタヌキと、エゾタヌキの二種類の固有種のたぬきがいて、どちらも雑食性です。ホンドタヌキは本州地方、四国地方、九州に生息し、エゾタヌキは北海道に生息しています。

朝鮮半島にはコウライタヌキ、ロシアにはウスリータヌキがいます。

たぬきの食べ物は昆虫などの動物性と、果実など植物性のものがあり、雑食性の動物です。身の回りのものをいろいろ食べます。

人家の周りに現れて、人から食べ物をもらうたぬきがニュースになることもあります。

たぬきの特徴

たぬきは、さまざまな形で私たち日本人の暮らしと結びついている動物です。

たぬきと聞いて、野生のタヌキより、信楽焼のタヌキの置物のイメージの方が先に出てくる方も多いでしょう。「げんこつ山のたぬきさん」の音楽や、CMキャラクターとしてのたぬきも親しまれています。

実際のたぬきのおもしろい特徴や、日本人に昔から受け継がれているたぬきのイメージ、たぬきの文化についても掘り下げてみましょう。

特徴1:溜めフンをする

たぬきは自分の行動範囲の中の、特定のポイントでフンをしますが、これは、たぬきの溜めフンとよばれています。

いわば、たぬきのトイレです。たぬきは行動範囲の複数箇所にトイレを持ち、行動範囲はほかのたぬきの行動範囲と共有している部分があったりします。

共有部分にあるトイレには、それぞれのたぬきがフンをするため、フンが高く積みあがることもあるそうです。

溜めフンは、行動範囲を共有するたぬきどうしが、コミュニケーションを取り合うのに役に立っていると言われています。

特徴2:器用貧乏な運動能力

たぬきはそこそこ色々なことができますが、ココがすごい、という運動能力、特技がある動物ではありません。

塀のような細くて狭いところを歩くバランス能力はありますが、高くまで登ることは苦手で、たぬきが高い塀の上を歩いていることは稀です。

たぬきの好物は木の実ですが、木登りは上手ではありません。

狭いところをとおりぬけたりすることは得意で、10㎝ほどの高さや幅があればとおりぬけられると言われています。

臆病な性格で、積極的に他の動物を狩ることもありません。たぬきは地上で暮らし、無理なく手に入るものを食べる動物です。

特徴3:びっくりすると気絶する

寝たふりをすることをタヌキ寝入りといったりします。たぬきはとても臆病な性格なため、びっくりすると死んだふりをする、と言われますが、どうやら気絶していると考えられます。

猟師がたぬきをねらって打った鉄砲の弾が当たりもしないのに、たぬきはびっくりして気絶してしまい、仕留めたと思った猟師が近づくと、気が付いて逃げていってしまうということがよくあったそうです。

臆病な性格を持つために、物音に驚いて気絶してしまうたぬきの習性から、タヌキ寝入りという言葉が生まれたといわれています。

特徴4:日本文化とのつながりが深い

たぬきは古来から現代まで日本文化の中におり、ここまで深く文化に浸透しているのは日本だけでしょう。

信楽焼のたぬきは、笠は災難避け、目は視野を広く持つなど、八つの縁起の良い意味を持ち愛されています。

たぬきは化けるとされ、じいちゃんがたぬきに化かされた、などまことしやかに語られました。

日本三大狸とは、佐渡島の団三郎狸、淡路島の芝右衛門狸、屋島の太三郎狸です。太三郎狸は映画「平成狸合戦ぽんぽこ」のモデルともなりました。

狡賢い男性を、たぬきおやじ、狸爺といいますが、たぬきが人を化かすことに由来します。

たぬきと犬は似ている?

たぬきと犬はよく似ているといわれます。

さっと横切る太った動物のような影を見て、犬だと思ったらタヌキだったというたぬきの目撃例はよく聞きます。

犬を拾ったら、実は犬ではなくてタヌキの赤ちゃんだった、ということもあります。

毛の短い子だぬきは子犬のようにも見えると言います。鳴き声はみゃーみゃーと猫のようでもあるらしく、見た目は犬っぽい猫のような生物が実は子狸さんだったということもあるそうです。

犬とたぬきは実際どれくらい似ているのか共通点を探ってみましょう。

犬だと勘違いして育てる人がいる

広島県の福ひろさんは、真っ黒い仔犬を拾って育てたらたぬきだったそうです。「たぬきのポチと犬のペコ」という素敵なブログがあります。拾われたたぬきのポチくんとの生活がつづられています。

黒い小さな生き物を、子犬だと勘違いしたまま保護しているうちに、犬っぽくないことに気づき、くまだった、たぬきだったという事例は各地で報告されています。

たぬきは、農作物を荒らす、フン害など害獣としての側面も持ちます。しかし、やたらにつかまえていいわけではありません。

実際にたぬきを飼うには、自治体から飼育許可をもらわなければなりません。
「たぬきのポチと犬のペコ」

たぬきと犬の共通点

たぬきと犬にはいろいろな点で共通点を見出すことができます。たぬきを見かけて、一見犬っぽいよなあ、と感じることもあるでしょう。

外見にも共通点がありますが、たぬきも犬もイヌ科の動物です。イヌ科の動物として、たぬきと犬の間には共通した特徴や習性もあります。

たぬきににドッグフードを与えて、犬といっしょに飼っていた人もいるくらいです。実際のところ、たぬきと犬が具体的にどの程度似ているのかまとめてみました。
たぬきと犬との共通点
  • イヌ科
  • 大きさ
  • 顔立ち
  • 食性

イヌ科

たぬきと犬の共通点は、なんといっても、どちらもイヌ科であること。イヌ科の動物は、つま先で歩き、指先の爪は出したり引っ込めたりできません。

たぬきとよく混同される動物にあらいぐまがいます。でも、あらいぐまはアライグマ科で別の生物です。

また、あらいぐまと並んでたぬきと間違われるのはレッサーパンダですが、こちらはレッサーパンダ科です。

あらいぐまもレッサーパンダも、生物学上の分類は、たぬきとは大きく違います。

あらいぐまやレッサーパンダはしっぽがしまになっています。たぬきのしっぽにしまはありません。日本でも野生化したあらいぐまの目撃例がありますが、しっぽで判定できます。

大きさ

体高体重
ジャックラッセルテリア25cm〜30cm5~6kg
ウエスティ25cm〜28cm7~10kg
日本スピッツ30~38cm5~6㎏5~6㎏
シェルティ35~37cm6~7kg
柴犬35~40cm9~14kg
たぬき27〜38cm4〜6kg
上の表からわかるように、たぬきは、小型犬から、小さめの中型犬とだいたい同じくらいの大きさです。

体高は27cm〜38cm、体重は4〜6kgほどで、確かに大きさは比較的小さい中型犬と同じくらいになります。

顔立ち

目がくりくりして大きく、毛の生え方などで、頬が張って見え、鼻の部分が丸みを帯びた印象で、あまり突き出ていない顔立ちの犬をたぬき顔の犬と呼びます。

顔の模様で、目の周りが黒かったりすると、たぬき目と言われたりして、たぬき顔にさらに磨きがかかるといったところです。

柴犬や、ポメラニアンなどの愛犬家の中では、たぬき顔、きつね顔といった言葉で顔立ちを分けたりしています。学問的な分類ではなく、あくまでも愛犬家から見た印象での話です。

スピッツなどもたぬき顔になれる要素を持った犬といえます。白い犬なので、あまりたぬきっぽくないようですが、野生にも白タヌキが稀にいるのですから、スピッツもたぬき顔を名乗れるでしょう。

たぬき顔になるようなカットを好む飼い主さんもいるらしく、愛嬌のあるかわいらしいイメージがあるといえます。

食性

たぬきも犬も、食べるものはだいたい似ています。

たぬきは、動物性のものも植物性のものも食べる雑食性の動物です。犬は本来的には肉食の動物ですが、雑食性に傾いています。

たぬきを保護して飼っている方も、ドッグフードをたぬきの餌として食べさせていることもあるそうです。

たぬきは昆虫や小動物を捕まえて食べますが、犬も散歩中に昆虫を捕まえて食べてしまうこともあります。意外と食の好みは相通じるものがあるのだといえます。

たぬきと犬が違うところ

たぬきは犬と、似ているようで違うところがたくさんあります。

イヌ科の動物として、たぬきと犬にはいくつかの共通点があることはあります。
では、たぬきと犬は大体同じような生き物と考えて、同じように接することができるのかというと、実は、そう簡単には言い切れません。

野生の生き物としてのたぬきと、太古の昔から人とともに暮らしてきた犬には違う点も多くあります。今度は、いぬとたぬきの違う点について具体的に考えていきましょう。
たぬき
人へのなつきだれにでもなつくということはない。よくなつき、人と暮らすのに適している。
攻撃性臆病で攻撃性は低い。闘争本能、攻撃性の強い犬種もある。
鳴き声あまり鳴かない。よく鳴く。声はコミュニケーションツール。
習性群れを作らず、なわばり意識がない。群れで序列を持ち、なわばり意識もある。

人になつくことが少ない

たぬきは、犬ほど人になつくことはありません。

子たぬきのころからお世話をして育て、たぬきをよく観察して愛情をかけて育てていけば、世話をする人にはなつくことはあります。

たぬきが人家のそばまでやってきて食べ物をもらう様子、子狸までつれてくる様子などがニュースで流れることもあり、なついてくれるのではないかという期待を抱かせます。しかし、たぬきは必要以上に近づいてくることはありません。

犬は人と暮らすことに特化して進化した生物、たぬきは野生の生き物です。野生動物の中では割と人の近くまでやってくる方ですが、犬のようななつき方は期待できないと考えましょう。

臆病で攻撃性が低い

たぬきは犬に比べると臆病で、積極的な攻撃性をみせることはあまりありません。

犬の中には、闘争本能が強く、猟犬や闘犬のように攻撃性の強さを生かして人の生活の中で役割のある犬もいます。

たぬきは危険なものは近づかない警戒心の強さ、臆病さを持っています。大きな物音に驚いて気絶してしまうなど、臆病ぶりは徹底しています。

たぬきは昆虫やカエル、ヘビなどの小さな動物をとって食べることはあっても、狩りをすることはなく、自分と同じくらいの生き物を襲うことはありません。攻撃性が低い動物です。

たぬきを目撃した話、たぬきに農作物や生ごみが荒らされる話は聞いても、出会い頭にたぬきに襲われる話はまず聞きません。

攻撃性が低いとはいえ、防衛本能が働けばかみついたりすることもあるので、むやみに手を出すことは厳禁です。

鳴き声を上げない

狸の鳴き声はあまり印象にないという人が多いでしょう。実際のたぬきはあまり鳴きません。自分の身を守るために威嚇するときや、争うときに鳴くともいわれますが、たぬきは争いを避ける性質もあり、めったにたぬきの鳴き声を聞くことはありません。

いざ鳴くときはは、キューというような、なんとも言えない声をあげます。

犬は、犬種や個体にもよるとはいえ、吠える生き物です。鳴き声のバリエーションも豊かで、犬の鳴き声はコミュニケーションツールとしての役割も多く担っています。

鳴く頻度、声そのもの、鳴き声の役割、どの側面から見てもたぬきと犬の鳴き声には違いがあります。

単独行動を好む

たぬきは単独行動を好み、群れをつくることはありません

でも、犬は群れの中で序列を作って生きていく習性を持っています。

たぬきは、単独、またはオス・メスのペアで生活することが基本ですが、複数のたぬきが同じ行動範囲を共有することは普通にあります。

たぬきは狩りをすることがないので、群れる必要がなく、なわばりを厳しく守る必要もないということです。

犬は、人間とともに暮らしていても群れを意識して、自分の序列を認識して生活しています。なわばり意識を持つ犬種も多く、その特性から番犬としての役割をもって人と暮らしてきた歴史もあります。

群れを作らず、なわばり意識もないたぬきと、群れの中の序列を重んじ、なわばり意識を持つ犬、大きな違いがあるといえます。

たぬきはイヌ科だが犬との共通点は少ない

たぬきと犬はともにイヌ科の動物ですが、共通点は多くありません。

たぬきをペットとして飼い、ともに暮らせないだろうかと夢見る人もいることでしょう。犬は人と暮らすことに特化して進化してきた生き物です。対してたぬきは野生動物です。動物としての生態や習性も、人間の社会の中での位置づけも大きく異なっています。たぬきの飼育例はゼロではありませんが、あまり現実的ではないでしょう。

とはいえ、日本文化の中でたぬきはさまざまな側面を持つ興味深いキャラクターです。日本に住む我々だからこそ知っている魅力もたくさんあります。

人とともにある犬も、野山に棲むたぬきも、同じ土地に暮らす仲間として強制ができるといいですね。
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