ヘラジカの大きさは最大どのくらいあるの？トナカイとの違いも解説

「ヘラジカはシカの中で最も大きいと聞いたけれど、どれくらいの大きさなの？」
「ヘラジカとトナカイってどこが違うの？」
「ヘラジカはどこに生息しているの？日本でも見ることができる？」
世界最大級の動物と言われるヘラジカをご存知でしょうか。

ヘラジカはシカの中でも最大のシカと言われており世界的にポピュラーな動物ですが、日本人にはあまり馴染みのない動物です。

本記事ではヘラジカの生態や魅力、大きさや特徴について解説します。記事を読むことでヘラジカがどれくらいの大きさなのか、どこに生息し、何を食べているのか、また日本で見ることができるのかを知ることができるでしょう。

また意外と間違えられやすいヘラジカとトナカイの違いについても併せて解説しています。魅力が多いヘラジカについて、詳しく知りたいという人は是非参考にしてみてください。

数多く存在するシカの中でも最も大きいとされるヘラジカは、体だけでなくツノも大きいのが特徴です。世界的にポピュラーな動物ですが、日本での知名度はそれほど高くありません。

日本ではトナカイの方が知名度が高いため、ヘラジカとトナカイを間違えてしまう人もいるようですが、見た目は全く異なります。

ここでは生息地や食料、天敵などヘラジカの生態や、日本でヘラジカを見ることはできるのかなど、知っているようで知らないヘラジカについて詳しく見ていきましょう。

ヘラジカはユーラシア大陸北部や、北アメリカ大陸、北ヨーロッパに分布しており、ロシアや中国、アメリカ、エストニア、カナダ、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ラトビア、リトアニアなどの地域に生息しています。

ヘラジカは暑い地域では生きることができないため、地球の北の方の寒い地域を生息地としています。

ノルウェーやスウェーデンではヘラジカを国獣に指定しており、森の王とも呼ばれているようです。

また大陸をまたいで広範囲に生息しているヘラジカは、地域によって名前が異なります。ヨーロッパではヘラジカを「エルク」と呼び、アメリカでは樹皮をはぎ取って食べる者という意味の「ムース」と言う名前で呼ばれています。

ヘラジカは現在、日本の動物園で飼育されておらず、日本で見ることはできません。かつては横浜市立金沢動物園や川崎市の夢見ヶ崎動物公園などでヘラジカが飼育されていました。

しかし日本で飼育されていた最後のヘラジカである夢見ヶ崎動物公園の「ポロウ」が2013年8月に亡くなり、それ以後ヘラジカは日本にいない動物となっています。

ヘラジカを日本の動物園で見るためには、海外からヘラジカを輸入する必要がありますが、ヘラジカには家畜伝染病の危険があることから輸入できる可能性は低いと言われており、今後日本でヘラジカを見るのは難しいと言えるでしょう。

出典：ゆめみニュース｜夢見ヶ崎動物公園
参照：https://www.city.kawasaki.jp/530/cmsfiles/contents/0000021/21712/yumemi-news-30.pdf

ヘラジカは草食性の動物であり、主にイチイやモミなどの葉や、樹皮、つぼみ、松ぼっくりなどを食料としています。草を食べる際にはキリンのように前足を開き、低い場所にある草を食べることもあるようです。

またヘラジカは夏になるとスイレンなどの水草も好んで食べます。その際には水に入って水草を食べるだけでなく、潜水することもあるようです。

ヘラジカは夜明けから夕暮れまで、約30kg以上の食料を食べます。

体の大きさが特徴のヘラジカですが、もちろん天敵がいます。ヘラジカの天敵はオオカミやクマ、トラ、ダニ、人間などです。

ヘラジカはその体の大きさから、オオカミやクマにとっては数回分の食事になります。とくに出産後のヒグマはエネルギーを必要としているため、ヘラジカを好んで食べるようです。

ヘラジカはオオカミやクマに襲われると湖に逃げ込んだりして強烈なキックで応戦します。オオカミは死んでしまうこともあり、クマでも放心状態になることがあるようです。

また狩猟する人間もヘラジカにとって天敵と言えるでしょう。カナダやノルウェー、スウェーデンなどではヘラジカがステーキ肉の定番となっており、貴重な食料として狩猟されることが多いのです。

そして小さなダニもヘラジカの天敵になると言われています。地球の温暖化により冬も暖かくなったため多くのダニが発生し、多くのダニに吸血されることでヘラジカは貧血になり、死んでしまうこともあるようです。

初秋になり繁殖期を迎えたヘラジカは、オスが複数のメスとハーレムを作り、春から夏にかけて出産の時期を迎えます。

ヘラジカは1頭の赤ちゃんを出産することが多いですが、双子や三つ子を出産することもまれにあるようです。

赤ちゃんは産まれた日のうちに立ち、数週間経つと泳ぐことができるようになります。半年ほどで乳離れすると、次のシーズンの繁殖期に母親が新たに妊娠するまで母親と行動を共にするようです。

ヘラジカの寿命はおよそ15年から20年で、大人のヘラジカはその大きさから天敵に狙われることがあまりなく生存率が高いですが、子供のヘラジカは捕食などによって命を落とすことが多く、大人になる確率はそれほど高くないと言われています。

ヘラジカの魅力と言えば、シカの中では世界最大と言われるその大きさでしょう。ヘラジカは比較的広い地域に大陸をまたいで生息しており、生息地域によって亜種化しています。

生息している地域によって体の大きさが異なり、寒い地域に生息しているものほど大きい傾向にあるようです。比較的暖かい地域に生息している亜種は小型ですが、それでも400kgは超える大きさだと言われています。

シカの中で2番目に大きいと言われているアメリカアカシカと比較しても、およそひと回りほど大きいです。

ヘラジカの大きさは頭からおしりまででおよそ2mから3m、地面から肩までの高さがおよそ1.5mから2mもあります。

オスの方がメスよりも大きく、体重は380kgから700kg、メスの体重は200kgから490kgくらいです。正確な情報ではないものの、中には1,000kg以上もあるヘラジカが存在したとも言われています。

シカの仲間である偶蹄類の中で最大級のアメリカンパイソンは、体重が最大900kgから1,000kgにもなり体重ではヘラジカより重いですが、アメリカンパイソンの地面から肩までの高さが最大およそ186cmであるのに対し、ヘラジカは2mを超えることもあり、背の高さではアメリカンパイソンにも勝っていると言えるでしょう。

ヘラジカの地面から肩までの高さが自動販売機と同じかそれ以上の高さであり、大きいオスなら軽自動車以上の重さがあると言えば、ヘラジカの大きさがよりわかりやすいのではないでしょうか。

ちなみに日本の奈良にいるオスのシカの平均体重は約80kgであるため、ヘラジカは奈良のシカのおよそ8倍の大きさであるとも言えます。

ヘラジカのオスには、その名前の由来にもなっているヘラのような特徴的な形の巨大なツノが生えています。

ヘラジカのオスが持つツノは左の端から右の端までが1.2mから1.8mほどにまで伸び、2mを超えることもあるようです。ツノだけで重さが約20kgあるため、かなり巨大なツノであることがわかるでしょう。

このツノは春の終わり頃から初夏にかけて成長し、最初は羽毛のような毛でツノが覆われていて、血管が通っています。その血管を通して枝分かれしたツノに栄養を届けているのです。

このように栄養を運ぶことでツノは成長を続け、成長が止まると血管が乾き、毛が剥がれて初秋にツノが完成します。しかし冬には抜け落ちてしまい、春に再生するのを待つことになるのです。

ヘラジカのオスにツノが生えるのは、メスに自分の強さをアピールするためであり、ツノが強さの象徴と言えるでしょう。

実際繁殖期になると、ハーレムをめぐってほかのオスとツノを使って争う様子を見ることができます。

ヘラジカの1番の特徴と言えばその大きさですが、ヘラジカにはほかにもあまり知られていない意外な特徴があります。

ここではヘラジカが持つ意外な特徴について見ていきましょう。

ヘラジカは基本的に単独行動をすることが多い生き物ですが、初秋になると群れを作ります。これは初秋にヘラジカが繁殖期を迎えるからであり、この季節になると繁殖のためオスが複数のメスと群れを作るのです。

オスのヘラジカは9月から10月頃になると大きな声で鳴いてメスにプロポーズをし、ハーレムを作ります。

この時期になると、そのハーレムをめぐりオス同士が集まり、争うようになります。オス特有の大きなツノを使って争うことが多いですが、ツノが絡んで取れなくなりそのまま死んでしまうという最悪のケースもあるようです。

ヘラジカはその体の大きさを考えると意外かもしれませんが、泳ぐことが得意です。ヘラジカは泳ごうと思えば数kmもの距離を泳ぐことができます。

またヘラジカは夏になると好んで水草を食べますが、その際には潜水して水草を食べることもあるようで、およそ5ｍの深さまで潜ることができ、30秒ほど水に潜り続けることができるとも言われています。

ヘラジカはとても大きな体をしていますが、非常に速いスピードで走ることができるというのも特徴の1つです。

その体の大きさからは想像できないかもしれませんが、時速50km以上ものスピードを出すことができると言われています。

またヘラジカの足は、スノーシューズのように平べったい形をしているため、雪の上であったとしてもかなりの速さのスピードで走ることができるでしょう。

ヘラジカと同じシカの仲間にトナカイがいます。日本人にとってはトナカイの方が馴染みがあるため、ヘラジカとトナカイを間違えてしまう人もいるかもしれませんが、よく見るとヘラジカとトナカイは見た目が異なります。

ヘラジカとトナカイの最大の違いはツノの形です。ヘラジカのツノは横に向かって広がるように生えるのに対し、トナカイのツノは上へ向かって生えます。

ヘラジカはオスだけにツノが生えますが、トナカイはオスだけでなくメスにもツノが生えるという点でも異なると言えるでしょう。

またヘラジカとトナカイとでは大きさや顔の印象も異なります。トナカイがシカらしい顔つきをしているのに対し、ヘラジカは高い場所に口を伸ばすのに適した長い顔をしているのが特徴です。

またヘラジカのオスには、デュラップと呼ばれるあごの下の垂れさがった皮膚があるのも特徴と言えるでしょう。

このデュラップは発情期のオスがメスにこすりつけて自分の香りを伝えるためにあるという説や、デュラップの大きさや形状で優れたオスであることを表しているという説がありますが、なぜオスにデュラップがあるのかその明確な理由はわかっていません。

ヘラジカとトナカイの特徴をそれぞれ知っておけば、ヘラジカとトナカイを間違えることもないでしょう。

ヘラジカが生息している多くの地域では、ヘラジカの標識が多く見られます。これはヘラジカと車や電車との衝突が問題となっているからです。車や電車との衝突による交通事故などで、毎年多くのヘラジカが命を落としています。

ヘラジカが命を落とす原因の多くは狩猟によるものですが、車や電車との交通事故により命を落とす数も増えてきているのです。

冬に雪が深く積もる地域では、異動しやすいからか雪があまり積もっていない道路や鉄道の周りに集まります。雪から避難した先が皮肉にもより危険な場所であり、交通事故に遭いやすくなっているのです。

ヘラジカの標識による注意喚起や、教育などによりヘラジカの交通事故が減っている地域もあるようですが、そもそもヘラジカ自体の生息数が減少しているのではないかという見方もあります。

ヘラジカがどのような動物なのか、その魅力や大きさ、意外な特技などについて解説しました。ヘラジカはシカの中で最も大きいシカであり、その大きく独特な形状をしたツノがさらにヘラジカの存在感を大きなものにしています。

広い地域に分布し、大陸をまたいで生息しているヘラジカを国獣としている国もあり、人との関わりも深い動物です。

生息している地域では狩猟や交通事故により多くのヘラジカが命を落としていますが、それを食い止めようと教育したり、標識を立てたりしています。

日本人にはあまり馴染みのない動物ですが、その迫力ある大きさや独特の顔立ちなど魅力がたくさんあるため、この記事の内容を参考に、ヘラジカの大きさや特徴を知っておきましょう。