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マイクロブタの生態と飼育方法|飼育にあたり問題となることについても解説

「マイクロブタってどんなブタ?」
「マイクロブタを飼育するために必要なものは?」
「日本でマイクロブタを飼うにあたって、何か問題となる可能性がある?」
このような疑問はありませんか?かつて日本ではペットとしてミニブタを飼うことが流行した時期がありました。現在、海外ではミニブタよりも小さいブタである「マイクロブタ」が飼育されています。

この記事では、マイクロブタの生態や飼育方法を解説します。また、マイクロブタを飼育するにあたって必要なものや問題となることについても紹介しますので、マイクロブタを飼いたい人には参考になるでしょう。

この記事を読めば、マイクロブタを飼ううえで得ておくべき知識を身につけることができます。今後実際に飼う予定の人は問題点などをしっかりと頭に入れておき、最後まで責任を持って面倒を見られる環境づくりをしましょう。

マイクロブタの生態

「マイクロブタ」とは突然変異で超小型となった個体から繁殖された小さなブタのことです。「マイクロブタ」や「ミニブタ」という品種はなく、大きさによって「マイクロ」や「ミニ」に区別されています。

主にイギリスなどでペットとして飼育されているマイクロブタの生態について紹介します。

性格

マイクロブタは基本的に陽気かつ甘えん坊で、人によく懐くため飼いやすい動物と言われています。きれい好きなので、排泄を決まった場所で行うようにしつけることも可能です。

犬や3歳の子どもと同等の高度な知能を持っていると言われ、問題行動も少ないでしょう。

サイズ

一般的なブタは成体でおよそ200~300kg、ミニブタは40~70kgになります。ときに100kgを超えることもあります。

そして、マイクロブタはミニブタよりも小さく、生まれた直後は200~300gほど、成体でも20~40kgにしかなりません。また、成体の体長はおよそ40~60cmです。

寿命

マイクロブタの寿命はおよそ10〜15年、長寿の場合は18年とも言われ、犬や猫と同程度に生きると言えるでしょう。

ペットの中では長生きな種類なので、あとで飼いきれないなどの問題とならないように、購入前に飼い主の家庭環境や状況を考慮し、住環境などを整えておく必要があります。

鳴き方

一般的なブタに比べて体が小さく可愛らしい印象を持たれがちですが、マイクロブタは予想以上に鳴き声が大きいでしょう。

日常的には「ブッブッ」と小さめの声を発し、感情を害したときやどこか痛いときなどは「ピギー!」という大きな金切り声をあげます。これが近所迷惑などの問題となる可能性もあるでしょう。

マイクロブタは人になつくの?



マイクロブタは知能が高く陽気で愛情を欲しがる動物なので、一般的に人によくなつきます。そのため、ある程度飼い主との感情のやり取りも期待できます。

また、自分の名前を覚えるため名前を呼ぶと寄ってきたり、しつけをすれば犬や猫のように芸を覚えたりすることもあるでしょう。

マイクロブタの飼育に必要なもの

犬や猫などのメジャーなペットに比べて、ブタ専用の商品を探すのは難しいでしょう。特に流通数が少ないマイクロブタについては情報量も少ないため、他の動物の飼育に使っているものを代用する場合もあります。

ここからは、マイクロブタを飼育するために必要なものを見ていきましょう。
  • 飼育ケージ
  • トイレ
  • 水入れ
  • シャンプー
  • リード
  • ひづめのケア用品

飼育に必要なもの①飼育ケージ

まず、マイクロブタの飼育に必要なのは飼育ケージです。しかし、ブタ用のケージとしては広くは市販されていないため、中型〜大型犬用のケージを代用します。

マイクロブタを室内で飼う場合は、飼い主の指示でケージに入るようにしつけておくと良いでしょう。特に留守番をさせる場合に役立ちます。

飼育に必要なもの②トイレ

食欲旺盛なマイクロブタはウンチやオシッコの量も多いため、排泄のしつけはほぼ必須です。トイレもブタ専用のものは市販されていないため、中型〜大型犬用のトイレとペットシーツを使うことをおすすめします。

きれい好きなマイクロブタはシーツが汚れているとトイレ以外の場所にしてしまうこともあることから、こまめにシーツを交換しましょう。

飼育に必要なもの③水入れ

マイクロブタの飼育には、犬と同じく水が飲めるように飲み水用の食器も必要です。ただし、マイクロブタは鼻の力がとても強く、水を飲んでいる間に水入れをひっくり返してしまうことがあります。

そのため、ひっくり返しにくい形をしていて、ある程度の重さがある水入れをおすすめします。

飼育に必要なもの④シャンプー

ブタ専用のシャンプーも市販されていないため、低刺激の犬用シャンプーを使うと良いでしょう。

しかし、犬や猫のように長い毛に覆われていないブタの皮膚はデリケートで、皮膚病などの問題になるため、頻繁にシャンプーをすることは避けて、皮膚の汚れが目立ってきたら洗うようにします。

飼育に必要なもの⑤リード

マイクロブタは首輪をつけてもすぐに抜けてしまうため、散歩させるときにはハーネス式のリードを使うことをおすすめします。

ハーネス式リードもマイクロブタの体の大きさに応じて、中型~大型犬用のものを使うと良いでしょう。散歩をスムーズにするためにも、なるべく子どものうちからハーネスに慣らしておきます。

飼育に必要なもの⑥ブラシ

マイクロブタのブラッシングに使うブラシは固めの毛のものを使います。ブラッシングをすることで抜け毛を除去し、より清潔に美しい毛並みを保てます。

ブタの肌は幼い頃は柔らかく、成長すると固くなります。肌質に合わせて強すぎず弱すぎないように、ブラッシングしてあげましょう。

飼育に必要なもの⑦ひづめのケア用品

偶蹄目(ぐうていもく)のブタには足にひづめが生えています。ひづめは散歩などで削れていきますが、伸びすぎると問題になるため、伸びてきた爪はニッパーで切ったり、ヤスリで削ったりしましょう。

マイクロブタの子どもの頃は人間の爪切りでも切れますが、成長してからは犬用のニッパーで切ります。

マイクロブタの飼育方法



犬や猫を飼育する場合にはアレルギーなどの問題があり、飼育を断念するケースもあるでしょう。しかし、長い毛を有しないブタの場合は、すべてのアレルギー体質の人に問題がないわけではありませんが、アレルギーを起こしにくいと言われています。

そんなマイクロブタの飼育方法について見ていきましょう。

しつけ

頭が良いブタのしつけは、犬と同様に問題行動を起こしたらその場で叱る必要があります。あとで叱ってもその意味を理解できません。

また、指示がうまく通った、問題行動を起こさなかったなどの場合は褒めてあげましょう。学習能力も高いため、信頼関係が成立すれば排泄場所や芸などを覚えさせることも可能です。

エサ

一般的なブタと同様、マイクロブタは雑食性でブタ用のフードやドッグフード、キャットフード、野菜、果物などほとんどの食材を食べます。エサは与えただけ食べてしまい、その分体が大きくなります。

また、エサが欲しくて鳴く・噛むなどの問題行動につながるため、1日に与えるエサの量と時間を決めましょう。

お手入れ

マイクロブタのお手入れは、ブラッシングや体拭き、シャンプー、爪切りなどがあります。ブラッシングは固いブラシを使います。ときどきぬるま湯を含ませたタオルで体を拭いてあげましょう。

また、月に一度ほど刺激の少ないシャンプーで洗い、爪を切ります。さらに、数日に一度ほど、歯磨きもできると良いでしょう。

温度管理の徹底

マイクロブタにとっての適温はおよそ18~25℃と言われています。ブタは体温調節が苦手な動物で、子どもの頃は寒さに弱く、成長するにつれて暑さに弱くなる傾向があります。

寒い時期はヒーターや毛布を、暑い時期はエアコンを使いましょう。体が冷えるとさまざまな病気になるなど問題が起きるため、工夫が必要です。

散歩と遊び

一般的にブタは食べることと寝ることが大好きなので、太りやすい動物です。そのため、飼い主が意識的に運動をさせる必要があります。

子どもの頃から散歩をする、庭で自然に運動ができるような環境を作るなどの工夫が必要です。なお、外を散歩させる際はハーネス式のリードを装着させましょう。

マイクロブタ飼育の問題点



イギリスなどではペットとして飼育されているマイクロブタですが、日本では扱っているブリーダーやショップなどが少ないのが現状です。そのため、マイクロブタに関する情報も少なく、飼育上発生する問題の解決が難しくなる可能性があります。

ここからは、マイクロブタの飼育の問題について解説します。

個体によっては100kgくらい大きくなることもある

マイクロブタは20~40kgほどに成長します。しかし、個体によっては100kgほどに大きくなることもあります。

小さな個体同士をかけ合わせた品種改良によってマイクロブタを誕生させますが、場合によっては予想以上に大きく成長し、飼育放棄につながるなど問題となることもあるでしょう。

飼育にはある程度のスペースが必要

前述したとおり、マイクロブタは予想以上に大きくなる場合があるうえ、トイレと寝床が分けられるように、大きめのゲージを使用しましょう。

さらに、ブタは鼻で土を掘る性質があり、庭に連れていけない場合はストレスがたまるため、ゲージに玉砂利などを敷くことをおすすめします。

長時間の外出が多い人に飼育は難しい

マイクロブタは 知能が高いだけでなく、甘えん坊で寂しがりやな面を持っています。そのため、不在時間が長い人が飼うとマイクロブタが精神的に不安定になるケースがあります。

その場合問題行動を引き起こすこともあるため、長時間の外出が多い人にはマイクロブタの飼育は難しいでしょう。

毎年飼育状況の届け出が必要

たとえペットとして飼っていても、マイクロブタは法律上家畜と同様の扱いになり、 「家畜伝染病予防法」が適用されます。

そのため、毎年飼育状況の届け出が求められる、移動制限があるなど、マイクロブタは一般的なペットよりも制限が多いと言えます。後々問題とならないよう、事前に準備と覚悟が必要です。

出典:家畜伝染予防法 動物の輸入に関する届出等|農林水産省
参照:https://www.maff.go.jp/aqs/hou/36.html#38-2

マイクロブタがかかる可能性のある病気



マイクロブタを飼育するにあたって問題となるのは、ある程度の広さのスペースや遊んであげる時間の確保など、飼育環境が挙げられます。

また、飼い主だけで対応が難しいのが、マイクロブタが病気になった場合です。ここからは、マイクロブタがかかる可能性のある病気について解説します。

豚熱(CSF)

「豚熱(CSF)」はCSFウイルスによって引き起こされる、ブタやいのししの熱性伝染病です。強い伝染力と高い致死率、治療法がないのが特徴で、発生した場合には大きな問題となります。

ブタの唾液や糞尿中にウイルスが排泄され、それらの接触によって感染が拡大し、全国各地で発生しています。

出典:豚熱(CSF)について|農林水産省
参照:https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/

肥満

病気ではないものの、肥満も多くの病気の原因となるマイクロブタにとって大きな問題です。寝ることと食べることが好きなブタは、太りやすい動物です。

肥満は関節や内臓に負担をかけるため、与えるエサの量や種類に気をつける、散歩や庭遊びを習慣づけるなど、太らせない工夫が必要になるでしょう。

膀胱炎

ブタは「膀胱炎」や「尿路結石」などの泌尿器系疾患にもかかりやすく、血尿などの症状が出ることもあります。泌尿器系の病気を予防するためには、小さな頃から水を飲む習慣をつけさせ、なるべく水分を摂らせることが重要です。

また、エサも適切な種類のものを与えて、尿路結石ができないよう工夫をしましょう。

出典:血尿を伴った豚のポリープ性膀胱炎について|J-STAGE
参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/28/2/28_2_77/_pdf/-char/ja

疥癬

「豚疥癬症」はダニがブタの皮膚に寄生することによって起きる皮膚炎です。特に屋外で飼育されているブタからは、高確率でダニの寄生が見られ、問題となります。

主な症状は著しい掻痒感です。ブタは日常的に体をこすりつける習性があるものの、血が出るまで掻いたり部分的に毛が抜けたりした場合は、動物病院で相談しましょう。

出典:豚の疥癬症とその治験例|J-STAGE
参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/35/9/35_9_510/_pdf/-char/ja

マイクロブタの飼育について理解しておこう



マイクロブタは見た目が可愛らしく人に懐きやすいことから、流通が増えれば人気のペットとなるでしょう。しかし、予想以上に大きくなる場合があることや届け出が必要な家畜としての扱いであることなど、あとで問題となる可能性もあります。

事前にマイクロブタの飼育に関する知識と覚悟を持って飼いましょう。
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