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たぬきの性格と習性とは?行動特性から分かる被害対策と予防策も紹介

日本では昔話などに登場し姿を変えて人を化かすイメージのあるたぬきですが、本来の性格はどのようなものなのかご存じですか。人によってはどこかで野生のたぬきを見かけたことがある人もいるでしょうが、その生態について詳しく知っている人は少ないでしょう。

この記事では、昔話などで親しみがあるはずが実物の正体についてはよく知られていない、たぬきの生態と本来の性格を紹介しています。

これを読むことで、実際のたぬきの性格を把握することができるため、彼らが各地で引き起こしている様々な問題へ対処法として応用することも可能です。

実物のたぬきの性格や生態について興味や関心がある方や、たぬきの困った行動に頭を悩ませている方は是非この記事をチェックして彼らと上手に共生していってください。

たぬきの特徴

たぬきはイヌ科の動物なので長い鼻をしており、丸みを帯びた体のほとんどが灰褐色の毛で覆われ、両手足と目から頬にかけてのみ黒に近い焦げ茶の模様が入っているのが特徴です。

大きさの近いハクビシンやアナグマのほか、アライグマなどにも見間違える人が多いですが、それぞれの特徴を知っていれば区別することは比較的簡単です。

ハクビシンは、漢字で書く場合の「白鼻芯」という名前の通り、顔の真ん中に白いラインが入っていますし、アナグマはイタチの仲間のため顔から体全体を通して見ても長細く、たぬきのような丸みは有りません。アライグマは尻尾をみれば縞がありますがたぬきにはありません。

ここではタヌキの見た目の特徴以外にも気になるその生態について紹介していきます。

たぬきの生態

イヌ科タヌキ属であるたぬきは基本的には夜行性で雑食の動物です。しかし夜行性でも人間の干渉のない自然環境では昼から活動することもあるようです。

みっちりと生えた体毛のためずんぐりと丸い体つきに見えますが、毛に埋もれているだけで手足も想像より長く犬によく似た姿をしています。そのため、毛のまだ薄い生まれたての頃に見つけた人が犬と間違って拾い、育てていったらたぬきになったというケースもあるようです。

暖かい地域に生息するたぬきは冬眠しませんが、雪の降るような地域だとたぬきは穴籠もりをするため秋口になると冬に向け脂肪を溜め込みまんまるの体になります。

イラストなどの丸みを帯びたたぬきのイメージは冬毛の彼らの姿からきているのでしょう。夏毛のたぬきは思いの外ほっそりとしていて違う生き物のようです。

たぬきの生息地

日本や朝鮮半島や中国などのアジア圏とロシア東部などにのみ元々は生息していたようで、世界的にみれば珍しい動物でしたが、今現在は毛皮の利用目的で移入されたたぬきが野生化し、北ヨーロッパや西ヨーロッパまで分布しています。

主な生息環境は森林や河川や湖などの水辺の下生えの深い環境などで、日本だと河川や湖の周囲にある広葉樹と針葉樹の両方があるような混合林を好んで生活しています。

たぬきの大きさ

たぬきは標準で頭の先からお尻までの長さがおおよそ50〜68センチで、尻尾が13〜25センチくらいあり、体高は27〜38センチ程度です。体重は通常時で4〜6kg程度ですが、秋口から冬場に向けてしっかりと脂肪を蓄えた時期に測ると、通常の倍近い6〜10kgくらいの重さになります。

冬場の肥えた状態だと密度の高い冬毛の効果も相まって、紹介した数値よりも体が大きく膨らんで見えるでしょう。

たぬきの繁殖期

たぬきは1〜3月頃に発情期を迎え、メス1匹に対し3、4匹のオスが群がり、そこで決まったペアと子育てを終えるまでは一緒に過ごします。妊娠して59〜64日頃に臨月を迎え、一度の出産でメスは約5〜7匹の子を産みます。

生まれたばかりのたぬきは全身黒く柔らかい毛で覆われていて、10日位で目が開くようになり、約2週間で歯が生え、1ヶ月くらいで餌を食べられるようになり、2、3ヶ月で離乳します。秋口には生態となりほとんどが独立していきます。

たぬきは生まれて9〜11ヶ月程度で性成熟しますが、すぐに繁殖行為に移ることはなく、繁殖を始めるのは2、3歳くらいになってからの個体の方が多いようです。

たぬきの食生活

たぬきは雑食性の動物なので、ネズミや鳥などの小動物をはじめ、カエルや魚などの水生の動物や草や果物などの植物性のものも好んで食べます。

イヌ科の動物の多くは木に登ることをしませんが、たぬきは琵琶などの果物をとるために木登りをします。元々はイヌ科を含めた食肉目の共通の祖先は森林で樹上生活を送っていたとされていて、たぬきはイヌ科の中でもその頃の性質を残した珍しい例なのです。

餌に困ると人里で残飯を漁ったり、鶏などの小型の家畜に手を出したりすることもありますが、基本的に大型の鳥獣を狙うことはありません。

たぬきの行動特性

たぬきは決まった場所に糞をする溜糞という習性があり、1匹の行動範囲の中に約10カ所もの糞場を持っていて一晩で2、3箇所くらいを使用します。親子など複数の個体が糞場を共同で使っていて、匂いなどでたぬき同士でそれぞれの行動範囲を知らせるなどの情報交換をしているとも言われていますが、明確な理由はまだわかっていません。

複数の個体が利用するため大きな糞場だと直径約50センチに高さは約20センチもの量の糞が積もるようです。

「狸寝入り」はたぬきの性格が関係している

丸みを帯びた体つきや短い手足などたぬきの姿を見れば外敵に攻撃したり逃げたりするのに向いていないであろうことがわかるでしょう。そんな彼らが生きながらえていくために身につけた習性こそが「狸寝入り」という言葉の源になっています。

たぬきは銃声など大きな音を聞いてびっくりすると簡単に仮死状態になる習性があり、人間が仕留めたと思い込み気が緩んだ状態で近づいたタイミングに覚醒してさっと逃げだすため、それを人間が死んだふりをして人を化かしたと言い伝えたことから出来た言葉こそが「狸寝入り」なのです。

「狸寝入り」の意味

「狸寝入り」の意味は都合の悪い時に寝たフリをして誤魔化すことをいいます。例えば学校に行きたくない子供が寝たフリをして抵抗するのがそうです。

言い逃れしたりごまかしたりする行動を表したり、そういう行為をした人に対して呆れたりする時などあまり良い意味で使われることはほとんどありません。

他にも「狸の空死」や「狸の空寝入り」などがあり、狸寝入りと同じ意味で使われます。国外だと同じような習性を持つ別の動物に例えるようで、fox sleep(キツネ寝入り)やplaying possum(ポッサムのまねをする)と表現するようです。

たぬきの性格

元々たぬきはとても臆病な生き物で、その臆病さゆえ警戒心が強く、自己防衛本能から攻撃的な態度に出ることもあるため、凶暴だと言われることもあります。しかし実際の彼らは体型的にも攻撃力や逃走能力が低いので、生き残るために威嚇以外の一種の警戒行動として仮死状態に入って難を逃れる習性があるのです。

それこそが「狸寝入り」の由来となっていますが、たぬき自身は騙そうと意図的にやっているわけではなく臆病な性格ゆえの反応でしかありません。私たちが使う「狸寝入り」の言葉の持つ意味とたぬき達の現状は実は違っているのです。

たぬきの種類

元々は極東アジアにのみ生息していた珍しい動物であるたぬきですが、おおよそ6つに分けることができます。日本生息の固有種であるホンドタヌキとエゾタヌキの2種と、中国生息のウスリータヌキとビンエツタヌキなどの3種に加え、朝鮮半島に生息していた亜種であるコウライタヌキを入れた6種類です。

ここでは日本固有のホンドタヌキとエゾタヌキの2種と、毛皮目的の移入から野生化しヨーロッパに生息域を拡大させたビンエツタヌキの3種類を取り上げてそれぞれの違いなどを紹介していきます。

ホンドタヌキ

本州や四国または九州に生息しているたぬきで、エゾタヌキと比べると一回りほど小さく柴犬より小柄です。体毛の模様は個体差があるが目の周りから頬にかけてある黒い毛の模様から「八文字」と呼ばれたり、ところによってはアナグマと混同され「むじな」と呼ばれたりと様々な名前を持っています。

エゾタヌキとのもう1つの違いは冬籠りをしない点で、ホンドタヌキは真冬でも穴に籠ることなく活動します。

ビンエツタヌキ

中国に生息していたたぬきはビンエツタヌキのほかに雲南地域に生息していたウンナンタヌキなどもいますが、現在ヨーロッパにまで生息域をひろげるきっかけとなったのは、ビンエツタヌキの方です。

元は中国に生息していたたぬきですが、毛皮を利用する目的でロシアに移入し、そこから野生化したものがポーランドやドイツを経て今では北ヨーロッパや西ヨーロッパにまで生息域を広げています。

別名をタイリクタヌキともいい、日本固有のたぬきと比べると大陸種の方が頭の大きさがわずかに大きいようです。

エゾタヌキ

名の通り北海道の一部地域に生息するたぬきでホンドタヌキより一回りほど大きく目の周りの黒い大きな斑が左右繋がっていないのが特徴です。厳しい冬を乗り切るため秋口から脂肪を溜め込み冬籠りの頃には冬毛も相まってまんまるの体になります。

なおクマはなぜかエゾタヌキを食べようとしないため熊の巣の近くにエゾタヌキが巣を作ることは多いようです。アイヌ民族もクマがエゾタヌキを襲わない事実に気づいていたようで、アイヌ民族に口承される叙事詩のなかでエゾタヌキはクマの世話役として描かれています。

たぬきが引き起こす問題

国外にはたぬきが生息していない地域も多く珍獣と呼ばれもてはやされることも多いのですが、日本だとたぬきは時に私たちの生活を脅かす害獣として駆除の対象となります。

たぬきが起こすトラブルには餌不足からくる農作物の被害や、鳴き声などによる騒音トラブルだけではなく、たぬきの特性である溜糞によるニオイの被害や野生の彼らが思わぬ病原菌を運んでくることにより思わぬ被害に見舞われる危険もあるのです。

ゴミや畑の野菜を漁る

たぬき達も自然下で何事もなく餌も十分得られていたなら問題は無いのですが、食べるものに困ると餌を求めて人里に下りてきます。

都心部まで降りてきてカラスなどと同じようにゴミ置場を漁ったりして周囲を汚したり、農家の作物を食べてしまったりひどい時は小型の鶏などの家畜を獲ったりしてしまうようです。

騒音被害

イヌ科に珍しく木登りができるたぬきは屋根から家屋に侵入し屋根裏で子を産んでしまうことも考えられ、そうなると天井から鳴き声や移動の音が響いてきて大変迷惑です。

また屋根裏で生活することで、屋根裏に糞場を作る可能性も高く、糞を溜め同じ場所に積み重ねていき同時にニオイによる被害にも見舞われることになるかもしれません。

健康被害

狐に噛まれることで病気になるということを聞いたことがある方は多いでしょう。たぬきも狐と同じようにイヌ科の動物なので、同じような危険性があります。

野生動物は飼育下に置かれたペットとは違いいつどこでどんな病気に感染しているかわかりません。自然下で野ざらしで寝ていたら暖かい体温の動物に蚊やダニなどの虫が寄ってくることも想像がつくでしょう。

むやみやたらに触ったり、触ろうとして噛まれたりすることで、怪我だけでなくどのような健康被害にあうかわからないという危険があることを忘れないようにしましょう。

自宅などの資産価値を低下させることもある

外から野生の動物が無理に侵入する時点で家の外壁が壊れたり汚されたりして、家屋が痛むことは容易に想像がつくでしょう。

たぬきの場合は溜糞の習性があるため屋根裏などに住み込まれてしまうと、まず臭いが家屋に染み込んでしまう被害が発生し、その後も何の対策も講じないと糞尿などが天井の床板を腐らせて損壊する原因となります。さらに溜まった糞をそのままにしておくと、酷い時には糞の重さで天井が抜け落ちるなど家屋に甚大な被害を被ることもあるようです。

たぬき被害の予防策

被害を受けたからといって個人でたぬきを捕まえることはできません。鳥獣を保護法する法律があるため、捕獲や駆除は狩猟免許等を持った人にのみ許されています。

たぬきも元が臆病な性格で警戒心が強い動物なので、人間側が対策を打つことで無理に人間の生活域に入ってくることはありませんから、日頃から餌となる食べ物を放置しないように注意したり、ゴミを貯めておかないようにしたりするだけでも違ってきます。

ここではそれ以外に、たぬきに被害を受ける前に事前にできる予防策について紹介いたします。

網や柵を設置

農作物の被害を防ぐため侵入経路を塞ぐように柵を設置するという方法があります。たぬきは木登りもできるので、ただ高いだけの柵だとよじ登って乗り越えてしまう可能性があるため、触れると電気が流れるような柵を用意するとビックリして近づかなくなりますので良いでしょう。

設置の際は他のものに触れて漏電することのないように高さなり調整して取り付けると良いです。屋根裏などの侵入経路となりそうな穴がある場合は金網などを使って穴を塞ぎましょう。

エサとなるものを置かない

餌をすぐに手に入れることができるたぬきにとって居心地のいい場所を作ってしまうと、当然のように寄ってきます。

農作物を作っていたり家庭菜園をしていたりする方の家を狙うのではないかと思われですが、たぬきは雑食の動物なので人間が出した生ゴミなども餌としてターゲットにされてしまいます。生ゴミなどを出しっぱなしにすると、カラス同様それを狙ってやってくるようになるのでやめましょう。

定期的な見回り

日頃から見回りを行うことで、糞が落ちていたり作物が減っていたり齧られていたりなど、被害にいち早く気づくことができますし、基本的にはたぬきは臆病な性格の動物なのでたぬき方から人に近づいていくことはなく、定期的に巡回しているだけで予防策にもつながります。

見回りと一緒にたぬきが隠れられるような高い草などは刈るようにして見晴らしを良くすることによって、身を隠す場がないたぬきはより一層近寄りがたくなるでしょう。

たぬき退治法

保護の対象であるため、たぬきによる被害を受けていても勝手に捕獲したり駆除したりすることは許されません。しかし、たぬきに危害を加えず出て行くように仕向けるのなら大丈夫です。

たぬきを追い出す場合は、たぬきが嫌う臭いを散布したり煙をたいたりするほか、センサー搭載で超音波や光を向けることで嫌がって来なくなるような装置なども販売されているので、被害のある場所に合わせて使用することをお勧めします。

自治体などによっては被害が相談できる窓口を設置していたり捕獲器を貸し出してくれたりするような場所もあるようなので、まずは相談してみるのも良いでしょう。

忌避剤を使う

たぬきが嫌う忌避剤には木酢液や天敵であるオオカミの尿を利用するほか、煙を発生させ燻り出す燻煙剤のようなものもあります。

木酢液は土壌改良にも使われるものなので安心して使用出来ます。液体のもの以外にも小石状になった固形のものもあり、糞害のある場所や畑など侵入して欲しくない場所の周りに撒いたりして使います。

ただ、雨などで流れてしまうので定期的に散布しないといけません。梅雨の時期などはペットボトルに入れた木酢液を開けた口を地面から出した状態にしてそのまま埋めておいたりすると、雨に流されることもないので持続した効果が望めます。

どの忌避剤を使った後でも同じですが、たぬきを追い出した後はしっかりと侵入口を塞いでおくことが大切です。追い出せるのは一時のことで、時間が経つと戻ってきてしまう可能性が高いです。再び来ることのないように対策を忘れないようにしましょう。

超音波装置を置く

動物にしか聞こえない超音波を発生させることでたぬきを寄せ付けなくする装置も販売されており、たぬきが来ていると思わしき場所に設置することで、あとはセンサーがたぬきの動きを感知すると、嫌な音を発生し彼らを追い返してくれます。

庭などの屋外で使用する際は電池式ではなくソーラー式のものを利用すると、いつの間にか電池が切れて効果がなくなっていたなどという心配もないためお勧めです。

防獣ライトを当てる

赤や青などカラーライトが点滅することによって動物の目をくらませる効果があり、警戒心の強い性格のたぬきは怖がって近づかなくなる可能性もあります。

日中にソーラー充電し夜になると自動点灯するようなものもあるようなので、経済的で電池の交換忘れの心配もないため良いでしょう。

ただし、個体によっては慣れてしまい効果が得られなくなることもあるようなので利用中も効果が持続しているか注視してみていた方が良いです。

捕獲器を設置する

実際に被害を受けていて様々な対策はしたが。好転せず捕まえて被害を収めたいと考える方もいるでしょう。その際はまず自治体に確認してみましょう。状況によっては申請を出すことによって捕獲の許可が下りる可能性もあります。

自治体によっては捕獲器なども貸してくれる場合もあるようですが貸し出しがない場合は許可が下りた後、個人で捕獲器を購入し捕獲することができます。捕獲器は約5000〜10000円程度で購入できますし、罠の中に餌となるトウモロコシなどを入れて設置するだけなので一般の人でも比較的簡単にできるようです。

なお捕まえた動物は基本的に捕獲した人が処分しなければなりません。殺処分に抵抗のある方も多いと思いますので、どうしてもたぬきの駆除を行うのであれば代行業者に頼んだ方が良いでしょう。

たぬきの生態や性格を理解しよう

丸みを帯びた容姿などから穏やかな印象も強いたぬきですが、とても臆病な性格ゆえ警戒心が強く警戒行動として驚くと仮死状態になってしまうなどとても変わった習性のある動物だということがわかりました。

語源になるほど日本人とは馴染み深い彼らを見つけたとき、思わず近づいたり餌をやったりしたくなる人も多いでしょうが、それにより臆病な彼らが噛み付いて駆除されることになったり、住み着いて食害を起こすようなことにつながったりすることだってあるのです。

この記事を読んで彼らの性格や習性を理解し、たぬき達のおだやかな生活に干渉しないように適度な距離を保つよう工夫して、共存していけるようにしましょう。
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