cms-import-animaroll-wp

アカメカブトトカゲの飼育方法|適切な環境や餌の与え方などについて解説

「アカメカブトトカゲを飼いたいけど、どうしたら良いか分からない」
「アカメカブトトカゲの繁殖を狙っている」
「飼っているアカメカブトトカゲの元気がない」
このように、アカメカブトトカゲを飼育するにあたって、疑問や不安を持っている方もおられるでしょう。

本記事では、アカメカブトトカゲの基本情報や飼育方法を詳しく紹介していきます。

本記事を読むことで、飼育に必要なものや繁殖方法までが分かるため、飼育に関する悩みを解決する糸口にできるでしょう。

なお、アカメカブトトカゲは、ペットショップで見かけることは少なく、おもに爬虫類専門店で販売されています。

恐竜を連想させるウロコとは裏腹に、まんまるな瞳や小さい手足、そのギャップに心打たれる方も多く、いま人気になりつつある爬虫類ですので、ぜひ参考にしてください。

アカメカブトトカゲってどんな生き物?



アカメカブトトカゲの別名は「メベニカブトトカゲ」で、初めて流通したと言われるカブトトカゲでもあります。

ここからは、アカメカブトトカゲがどのような生き物なのか詳しく見て行きましょう。

生物学的分類

アカメカブトトカゲは、トカゲ科カブトトカゲ属に分類される爬虫類です。

学名は「Tribolonotus gracilis」で、英名では「Red-eyed Crocodile Skink」と呼ばれます。

生息地

生息地は赤道付近の島で、おもにインドネシアのニューギニア島やパプアニューギニアに生息しています。

いわゆる熱帯雨林に生息しており、水辺を好み、陽の光を浴びることはほとんどありません。

見た目と大きさ

全長(頭からしっぽの先まで)は15~20センチほどで、両手におさまるほどです。

背部には黒くゴツゴツとしたウロコがありますが、腹部はクリーム色で触るとぽよぽよとした感触があります。

目の周りはオレンジ色のアイシャドウのような模様があり、頭部は兜をかぶっているように見えることから、「アカメカブトトカゲ」と名づけられたと言われています。

活動時間帯

アカメカブトトカゲは夜行性です。

昼間は落ち葉の下や、倒れた木の下などの暗い場所に隠れてじっとしていますが、夜になると外に出て食べ物を探したり、水浴びをしたりと活動を開始します。

ただ、人間の飼育下で飼い主に慣れたアカメカブトトカゲであれば、昼間でも与えられたエサを食べることがあると言われています。

食性

アカメカブトトカゲは肉食です。

コオロギやローチ、ミルワームなど小型の昆虫を主食としており、ときにはオタマジャクシや、2〜3センチほどの魚を捕食することもあります。

性格

性格はとても臆病で、動き回ることも少なくおとなしいです。自分の身に危険が及ぶと、死んだふりをするようにピタッと固まってしまいます。

また、爬虫類には珍しく鳴くことができるため、コミュニケーションや威嚇の鳴き声が聞こえることもあります。

寿命

寿命は平均で5〜10年と言われています。

寿命に幅があるのは、人間の飼育下においてアカメカブトトカゲに適した多湿な環境を作り、さらにそれを維持するのが難しいためです。

寿命が長いか短いかは、飼育環境次第と言えるでしょう。

アカメカブトトカゲの入手方法



アカメカブトトカゲは、なかなかお目にかかれる生き物ではありません。最初に述べたように、ペットショップやホームセンターでも販売している店舗は少なく、いざ飼おうと思っても売っている店舗が見つからない可能性もあるでしょう。

ここでは、販売場所と値段の目安を紹介します。併せてオスとメスの見分け方も記載しますので、ぜひ参考にしてください。

販売場所と値段の目安

アカメカブトトカゲは、おもに爬虫類専門店で販売されています。

規模の大きいペットショップやホームセンターであれば売っている可能性もありますが、販売している可能性が高いのは専門店になります。また、爬虫類の展示即売会であれば、かなり高い確率で販売されているでしょう。

なお、動物のネット販売は法律により禁止されており、対面販売が絶対となっています。

アカメカブトトカゲの値段は、爬虫類専門店で7,000〜20,000円ほどですが、展示即売会であれば10,000円以下と、比較的安い値段で販売されることが多いでしょう。

ちなみに、展示即売会で販売されている生物には「WC個体」や「CB個体」などの種類があります。

「WC個体」とはワイルドコートの略で、いわゆるワイルドと呼ばれるものです。現地で捕獲された野生生物のことを意味し、体格は良く、値段も安のが特徴です。

しかしながら、いままで野生にいた生物なので人に慣れることはほとんどなく、寄生虫が潜伏している可能性もあるため注意が必要でしょう。

「CB個体」はキャプティブブレッドの略で、こちらはブリーダーなどによって飼育・繁殖された生物になります。「WC個体」に比べて値段は高くなりますが、人慣れしていて寄生虫のリスクもほとんどなく、安心して飼育できます。

そのため、初心者の方には「CB個体」の購入がおすすめです。

オスとメスの見分け方

アカメカブトトカゲの大きさをオスとメスで比べると、オスの方が大きくなっています。

大きさ以外で見分けるポイントは、後ろ脚の指です。オスの後ろ脚の中指と薬指のつけ根には、白く盛り上がっているウロコがあります。

これは「抱きダコ」と呼ばれていて、メスにはありません。

アカメカブトトカゲの飼育に必要なものと選び方



ここからは、アカメカブトトカゲを飼育するうえで必要なものを紹介します。

アカメカブトトカゲが過ごしやすい環境を整えることは重要なことですが、それと同時に、ちょっとした体調変化にも気づけるよう、飼い主が観察しやすい状態を作ることも大切です。
  • ケージと蓋
  • 床材
  • シェルター
  • 水入れ
  • ライト

ケージと蓋

アカメカブトトカゲはあまり動き回る種類ではありません。そのため、大体45〜60センチほどの幅のケージで飼育できるでしょう。

アカメカブトトカゲが子どもであれば、30センチでも大丈夫ですが、成長すると手狭に感じるため、最初から45〜60センチあるものを選んでおくと安心です。

また、上から手を入れるタイプのケージだとアカメカブトトカゲを怖がらせてしまうことがあるので、前開きのものを選ぶと良いでしょう。

水槽やプラケースでも飼育は可能ですが、アカメカブトトカゲは、暑すぎるのも湿気でジメジメしすぎるのも嫌います。

蓋の部分を網にするなど、通気性を確保できるようにしましょう。

床材

床材は、水分を含ませられるものを選びましょう。アカメカブトトカゲは乾燥を嫌うので、床材で湿度を保てるようにする必要があります。

おすすめの床材は、ミズゴケ、ヤシガラ、テラリウムやアクアリウムで使用するソイルなどです。
ただし、水がケージの底に溜まるくらいにしてしまうのは良くありません。ミズゴケやヤシガラの場合はよく絞り、ソイルは霧吹きなどで調整しながら水が溜まらない程度に保ちましょう。

また、多湿な環境は菌が増えやすく、においの原因になったり、病気のリスクを高めたりします。フンはこまめに取り除き、床材を入れ替えるなど、掃除は定期的に行いましょう。

シェルター

臆病なアカメカブトトカゲにとって、シェルターは必須です。また、アカメカブトトカゲは夜行性なので、昼間は基本的にシェルターで過ごすことになります。狭すぎず広すぎず、落ち着いて隠れられる安全な場所を作ってあげましょう。

飼い始めはとくに警戒しています。シェルターから出てこず、ずっと引きこもっていることもあるでしょう。

だからといってシェルターを撤去してしまうと、かえってストレスになります。慣れるまで見守ることが大切です。

水入れ

アカメカブトトカゲは水浴びをするのが好きなので、体が浸かれるくらい広いものを用意しましょう。

ただし、深すぎるものを選ぶと出られなくなってしまう可能性があります。ペットショップなどで爬虫類用の水入れも売っていますが、タッパーなどでも代用できるので、浅めのものを選ぶことをおすすめします。

水の中でフンをすることもありますが、飲み水としても使うので毎日こまめに取り替えましょう。

また、動いている水しか飲まないということもあります。その場合は、ケージの壁に霧吹きなどで水滴を作るか、あるいは魚の飼育に使うエアレーションを水入れに入れて、動く水を作りましょう。

ライト

夜行性のアカメカブトトカゲは、日を浴びることがほとんどないので、ライトはあまり必要ありません。

しかし、そのままだと飼い主が観察しづらい場合もあるので、観賞用のライトはあると便利です。ライトをつけたままにすると、アカメカブトトカゲのストレスに繋がる可能性があるので、観察するときだけライトをつけるようにしましょう。

アカメカブトトカゲの飼育方法

アカメカブトトカゲにとって過ごしやすい環境を作ることは、何より大事なことです。しかし、現在でもアカメカブトトカゲの飼育方法は確立されていません。

温度や湿度が違うだけで体調不良を起こし、最悪の場合は、突然死に繋がりかねません。毎日よく観察し、1番過ごしやすそうな環境を見つけてあげましょう。

餌の種類と与え方

エサはおもに生きている昆虫です。種類としてはコオロギ、デュビア、レッドローチ、ミルワームが定番です。病気などを予防するために、粉状のサプリメントやカルシウム剤を昆虫にまぶして与えることをおすすめします。

アカメカブトトカゲがまだ慣れていないときは、寝る前に数匹ケージに入れておき、次の日、昆虫が残っていたらケージから取り出してください。

これは、昆虫が休んでいるアカメカブトトカゲの体をかじることがあるためです。慣れるとピンセットで食べてくれます。

レオパゲルといった人工飼料を食べることもあるので、ピンセットに慣れたら試してみるのも良いでしょう。

子どものときは、できるだけ毎日、口に入るくらいの大きさのものを食べる分だけ与えてください。成体になったら2〜3日に1度、まだ欲しがるくらいで留めておくのが丁度良いと言われています。

なお、ミルワームは脂肪分が多いので、おやつとして与えてください。

水の与え方

アカメカブトトカゲは水浴びが好きで、そこで水分を補給することもあります。

しかしながら、水浴びをするため水が汚れやすく、そこでフンをしてしまうこともあるでしょう。

常に清潔な水を置くことを心がけ、こまめに水を変えることはもちろん、フンをしてしまっていたときも替えてあげてください。

最適な温度と湿度

アカメカブトトカゲが過ごしやすい環境として、温度は25〜28度、湿度は70〜90%程度を維持してください。ただし、通気性が悪く蒸し暑いのを嫌うので、風通しは良くしてください。温度計と湿度計があると便利でしょう。

冬はエアコンやヒーターなどを用意して温度を一定に保ち、霧吹きなどを使用して湿度も維持しましょう。

また、ケージ内で温度の高低差をつけてあげると、アカメカブトトカゲが自分で丁度良いところに移動してくれます。パネル式のヒーターは、位置をずらすことで温かくなる面積を増やしたり減らしたりできるのでおすすめです。

湿度に関しても、床材に乾いた場所を作ってあげるなど、高低差をつけてあげると良いでしょう。

レイアウト

野生のアカメカブトトカゲは、おもに渓流などの水辺に生息しています。そのため飼育環境を野生の状態に似せることで、普通のケージでは見られない、生き生きとしたアカメカブトトカゲを見ることができるでしょう。

たとえば「アクアテラリウム」という、ケージの中に水辺と陸地を作り、植物を植えるレイアウトも良いでしょう。

また、最近では「パルダリウム」といった熱帯雨林の環境に似せたレイアウトも流行っており、アカメカブトトカゲの生息環境に近いものが再現できます。

あまり動き回ることもないのでレイアウトを崩されることは少なく、野生のような姿を楽しめるでしょう。

多頭飼いする際の注意点

アカメカブトトカゲはおとなしい性格のため、多頭飼育は可能です。

ただし、多頭飼いの場合、ケージは大きいものを選ぶ必要があります。目安としては2匹で60センチ幅以上で、シェルターも頭数分以上用意しましょう。エサがしっかり行き渡っているかどうかも確認する必要があります。

また、汚れるスピードも早まるので掃除の頻度も増やしましょう。

アカメカブトトカゲのハンドリング

アカメカブトトカゲは臆病な性格のためハンドリングには不向きで、懐くことはほとんどありません。せいぜい慣れる程度でしょう。

しかし、掃除をする際や健康状態の確認のために触らなければならない場合もあるため、手に乗せられるくらいには慣らしておくと良いでしょう。

エサを与える際に飼い主のにおいを覚えさせ、少しずつ触るなどして慣らしていきます。ストレスを感じると鳴きだすので、そのときは触るのをやめてください。

また、飼い始めに急に触ろうとすると、手が「怖いもの」と認識されてしまうので、最初はその環境に慣れてもらうことを目標としましょう。

アカメカブトトカゲの繁殖方法



アカメカブトトカゲは2〜3年で成熟しますが、「いつの間にか卵を産んでいた」ということが多く、明確な繁殖時期はないと言われています。

1回の産卵で1〜3個ほど産みますので、卵が確認できたら別の入れ物に移しましょう。温度と湿度は親のケージと同じくらいで維持してください。

孵化するまでは60〜70日ほどかかりますが、孵化した子どもも生きた昆虫を食べるので、できるだけ小さく、口に入るくらいの大きさのものを与えましょう。

なりやすい不調の原因と対策



アカメカブトトカゲは隠れてばかりでなかなか姿を見せてくれず、体調を管理するのが難しい面もあります。しかし、不調を見つけるには日々観察し、普段の行動を把握することが大切です。

少しでも何か違うと感じたら、以下の項目を参考にしてください。早めに行動することが重要になります。

皮膚病

湿度の高いケージは細菌や真菌が増えやすく、ちょっとした傷口から皮膚炎を発症させることがあります。また、アカメカブトトカゲは水浴びを好むので、水中で増えた菌から感染するケースもあるでしょう。

皮膚がピンク色になっていたり、白いカビが生えていたりしたら、皮膚炎を発症している可能性がかなり高いので、病院を受診することをおすすめします。

対策としては、定期的に温浴をさせて、歯ブラシなどでキレイにしてあげてください。また、エサの食べ残しからカビが生えたり、フンからは菌が増えたりするので掃除も定期的に行いましょう。

出典:とかげの飼い方|けい動物医療センター
参照:https://kei-animal.com/about/lizard.html

出典:爬虫類・両生類の健康管理|動物病院奈良
参照:https://nara-animal.jp/management/reptile_and_amphibious/

食欲不振・拒食

環境の変化や、何かしらのストレスでエサを食べてくれなくなることがあります。飼い始めは特に多く見られる症状でしょう。

温度や湿度は適切かどうか、光は強すぎないかをチェックし、普段あげているエサを変えるなど、1度、環境を見直しましょう。

1週間以上、エサを食べてくれないようなら強制給餌をしてください。

出典:とかげの飼い方|けい動物医療センター
参照:https://kei-animal.com/about/lizard.html

くる病

陽の光に当たることで生成されるビタミンDは、欠乏するとカルシウムが吸収できなくなります。その結果、カルシウム不足となって発症するのが、くる病です。

主な症状は背骨や手足などの変形ですが、マヒしたり骨折したりしてしまう場合もあります。

エサに粉状のカルシウム剤やビタミン剤をまぶして与えることが予防になります。

出典:爬虫類・両生類の健康管理|動物病院奈良
参照:https://nara-animal.jp/management/reptile_and_amphibious/

その他のカブトトカゲの種類



ここでは、アカメカブトトカゲの仲間を2種類紹介します。

アカメカブトトカゲよりさらに珍しい種類になるので、展示即売会や爬虫類専門店に行かない限り、お目にかかることはほとんどないでしょう。

モトイカブトトカゲ

学名は「Tribolonotus novaeguineae」で、別名は「ニューギニアカブトトカゲ」です。ニューギニア島に生息しており、生態はアカメカブトトカゲとほとんど変わらないと言われています。

アカメカブトトカゲと比べると体格は小さめで、体の色はオレンジ色がかっており明るめです。目の周りのアイシャドウのような模様はなく、背中のウロコは少し尖っています。

アカメカブトトカゲと見た目がそっくりなので、ぜひ見比べてみましょう。

シュミットカブトトカゲ

学名は「Tribolonotus schmidti」で、ソロモン諸島のガダルカナル島に生息しています。

現地ではポピュラーなトカゲで、全長は7センチとかなり小さく、焦げ茶色で細身の体をしているのが特徴です。

前述したモトイカブトトカゲやアカメカブトトカゲと比べると、同種とは思えない見た目ですが、背中のウロコは少しトゲトゲしており、カブトトカゲの特徴は備えています。

また、胎生で繁殖するという、カブトトカゲとしては特殊な方法をとっているのも特徴です。

アカメカブトトカゲの生態と飼育方法を知ろう

本記事で紹介したように、アカメカブトトカゲは飼育方法が確立しておらず、手探りな部分も多いため、決して飼いやすいとは言えない生き物です。

しかし、温度や湿度、その他環境を整えてあげれば、飼い主にも次第に慣れて様々な姿を見せてくれるようになります。

凝ったレイアウトも楽しめるので、万全な準備をして、アカメカブトトカゲの飼育に挑戦してみてはいかがでしょうか。
モバイルバージョンを終了