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ヘルマンリクガメの生態とは?種類や飼育方法も詳しく解説!

「ヘルマンリクガメってどんな性格なんだろう?」
「リクガメってペットとして飼いやすいのかな?」
近年は爬虫類をペットとして飼う人が増えてきているので、このように気になってきている方は多いのではないでしょうか。

本記事では、ペットのリクガメとして流通しているヘルマンリクガメを飼うために知っておきたい3種類の亜種の生態情報や、適した飼育環境について紹介しています。

この記事を読むことで、ヘルマンリクガメがどんな品種でどのような性質を持ち、ペットとして適しているのかなど確認した上で、飼育に向けて必要な知識や具体的な整備などの情報を蓄えることができます。

ヘルマンリクガメやリクガメの飼育に関心がある方は、是非この記事をチェックしてみて下さい。

ヘルマンリクガメの生態とは?

ペットのカメとしてメジャーなミドリガメやクサガメは、水棲カメなので自然下では水の中で暮らしスイスイと水の中を泳ぎますが、名の通り陸に棲むカメであるヘルマンリクガメは全く泳げません。水棲のカメとは全く違った生息域で暮らすカメのため、体の特徴も違えば、適した飼育環境も違いますので一つずつ確認していきましょう。

生息地

乾燥した温暖な土地の森林や、草原が所々残る乾燥した斜面などに生息しています。

具体的な生息する地域は下記の通りです。
・アルバニア
・イタリア(サルデーニャ島やシチリア島も含まれます)
・ギリシャ
・クロアチア
・スペインの北東部
・セルビア中部と南部
・トルコ(ヨーロッパトルコ)
・フランス南東部(コルシカ島も含まれます)
・ブルガリア
・ボスニア
・モンテネグロ
・ルーマニアの南西部

性格

温厚な子が多くよく慣れます。個体差もありますが、噛みつくことはほとんどありません。犬や猫のように飼い主に寄り添ったり、帰宅を出迎えに寄ってきたりなどはありませんが、飼い主の顔を覚え、餌やおやつをねだって近寄ってきますし、手から食べたりもします。

また、意外と活発な面もあり、部屋の中を散歩させるとそこそこのスピードで歩き回るのでびっくりするでしょう。

体のサイズ

ヘルマンリクガメには亜種が三つあり、それぞれの違いは体の大きさです。飼育スペースなどの関係もありますから、成体に成長した時のアバウトな大きさは気にしておいたほうがいい要素の一つといえます。

三種の大きさはそれぞれ以下の通りです。
・ダルマティアヘルマンリクガメ 平均15センチ
・ヒガシヘルマンリクガメ 平均約30センチ
・ニシヘルマンリクガメ 平均約18センチ

食性

自然下では草や木の葉や果実などをメインに食していますが、昆虫や貝などの動物質を摂ることもあり、草食性の強い雑食といえます。

とはいえ、肉食性が強い品種のように硬い殻を嚙み砕いたりできるような歯を持っているわけではないので、体の硬い昆虫や熟れてない木の実などは食べません。虫だとカタツムリのようなものを食べるようです。

寿命

カメは長生きするイメージがありますが、万年までは流石に生きません。ヘルマンリクガメの平均的な寿命は約30年です。

しかし、犬猫などのペットと比較すると、大変長生きなため飼育を始めるにあたっては、最後まで自分が面倒を見られるかについて、一度は自身の年齢と照らし合わせて考えたほうが良いです。万一の時に引き継いで世話をしてくれる人がいるかなども含め、しっかり考えてから飼育を決めましょう。

ヘルマンリクガメの種類

先に述べたとおり、ヘルマンリクガメには三つの亜種がいます。それぞれ生息地によって分類されていて、一番大きいヒガシヘルマンリクガメと、それより一回り小さいサイズのニシヘルマンリクガメが主に日本に流通しています。

どちらかというとショップで見かけるのは若干量ではありますが、ヒガシヘルマンリクガメのほうが多いようです。三種の中では一番小さいとされるダルマティアヘルマンリクガメはほとんど見かけることがありません。

ダルマティアヘルマンリクガメ

ダルマティアヘルマンリクガメのヒガシヘルマンリクガメから分類された品種で、大きさ以外の外見的違いはお腹の甲羅にあります。他2種には後ろ足の付け根部分に鼠蹊甲板という甲板がありますが、ダルマティアヘルマンリクガメにはありません。模様の特徴は頭に入る斑紋が比較的明るい色で現れる個体が多いです。

生息地
・クロアチア南部
・ボスニア・ヘルツェゴビナ南部
・モンテネグロ

ヒガシヘルマンリクガメ

三種の中で最も大きく成長するヒガシヘルマンリクガメは、背中の甲羅の黒い斑紋がニシヘルマンリクガメと比べると、はっきりと出ないのが特徴です。お腹の甲羅を見ると黒色の模様は甲板一つ一つに入り、模様が跨ぐことはあまりなく、跨いでも一部のみにとどまることが多いでしょう。

生息地
・アルバニア
・イタリア(北西部以外)
・ギリシャ西部
・クロアチア
・スロベニア東部
・セルビア
・トルコ西部
・ブルガリア
・マケドニア
・ルーマニア南西部

ニシヘルマンリクガメ

ニシヘルマンリクガメは背中の甲羅の黒い斑紋がしっかりと入っているのが特徴で、お腹をひっくり返してみたときも、真ん中を境に右と左で模様が分かれ、縦に太く帯状に黒色の模様が甲板を跨いで入っています。

生息地
・イタリア北西部(サルディーニャ島、シチリア島を含む)
・スペイン東部(バレアレス諸島を含む)
・フランス南部(コルシカ島を含む)

ヘルマンリクガメはペットにおすすめ?

ヘルマンリクガメは、ヨーロッパでは昔からペットとして愛されています。温厚な性格もあって初めてリクガメを飼うのであれば適した品種でしょう。比較的日本の環境と近い環境に生息しているので他の爬虫類よりは気をつけなくても大丈夫な点でもお勧めできます。

一昔前まではトルコや東ヨーロッパから野生の個体が輸入されていましたが、最近は家畜用に繁殖された個体の流通がメインとなっており、お値段的にも比較的手を出しやすいです。

人に慣れますし、性格も穏やかで言うことがないように思えるヘルマンリクガメですが、一度ペットとして受け入れると、赤ん坊が生まれてから社会人になるくらいの期間をともに過ごすことになります。どんなペットを飼うときも命を預かる覚悟は必要ですが、ヘルマンリクガメの場合は飼育が長期にわたる分、相応の覚悟が必要となることを考えると難しいペットとも言えます。

ヘルマンリクガメの入手方法

爬虫類は原則として対面での販売が義務付けられているので、通信販売で手に入れることはできません。ペットショップやホームセンターのペットコーナーで販売されていることが多いでしょう。他には爬虫類の即売会イベントなどでも入手することができます。

購入の際は必ず、どのヘルマンリクガメなのか確認しておきましょう。成体になった時のサイズ感が全然違いますから重要な判断材料の一つとなります。なお、種類を聞いた際に明確な答えが返ってこない場合は、その店で購入しないほうが良いでしょう。

模様は好みで選んでいただいて構いませんが、元気な子なのかどうかはしっかり判別できるようにしておきましょう。よく食べ、よく動くことは当たり前ですが、それ以外の特徴は以下の通りです。

甲羅
・歪みや凹凸のない丸みを帯びた甲羅


・ぱっちり開いた艶のある黒い瞳


・乾燥している(鼻水を垂らしていない)

皮膚
・変色や傷のない皮膚

ヘルマンリクガメの値段相場

ヘルマンリクガメの販売価格は購入する場所によってまちまちですが、おおよそ1万〜3万円程度です。種別で若干相場が違い、ヒガシヘルマンリクガメが1万円前後から、ニシヘルマンリクガメが2万円前後から、流通量の一番少ないダルマティアヘルマンリクガメが3万円前後から販売されています。

また成体のほうが高く取引される傾向にあり、ベビーだともう少し安価で手に入れることができる可能性もあります。ただし、ベビーのほうが成体よりどうしても弱いので飼育に気を使う必要があるのを忘れないでください。

ペットとしてメジャーなミドリガメやクサガメほどお手頃なお値段ではありませんが、大型で値が張るリクガメがいる中では、比較的手を伸ばしやすい価格なのではないでしょうか。

ヘルマンリクガメの飼育に必要なもの

ヘルマンリクガメを健康的にストレスなく育てるためには、適した飼育環境の設備が重要です。変温動物であるカメは温度管理なども必要なため、最初は設備費がどうしてもかかります。

ここでは必要となる設備の種類、用途やそれらの使用目的をご案内します。知ることで納得して準備を進めることができるでしょう。設備にも様々な種類がありますので、飼い主の住まいや生活の状況などにも照らし合わせて準備するようにしましょう。

プラ舟・コンテナ

カメのサイズによって必要となる飼育スペースの広さは違います。手のひらサイズの幼いカメの場合はホームセンターなどで販売している横幅60センチほどのケージで十分ですが、大きく成長した成体に必要なケージのサイズは横幅が小さくても90センチは欲しいところです。

成長を見越して90センチのケージを買った場合、破損しない限り買い換える必要はなくなりますが、飼育するカメが小さいときにはケージ内の温度管理にコストが余計にかかってしまう可能性が出てきます。

ケージとして使用出来るのは、何も水槽だけではありません。一定の高ささえあればカメは出て来ることができないため、衣装ケースなどで飼育する方もいるようです。しかし衣装ケースは本来衣類を入れるもののため、ケージとして使用すると劣化し破損しやすいです。

値段も安価でオススメなのがプラ舟やコンテナの使用です。サイズも豊富で、強度も申し分ないので、成長とともに買い換えても痛手になることはないでしょう。

パネルヒーター

ヘルマンリクガメは低温に弱いためパネルヒーターをケージの下に敷き温めます。室温が26〜30度になるように設定しましょう。使用するパネルヒーターの大きさはケージの床面積の1/3程度のサイズで大丈夫です。

パネルヒーターを使うことでリクガメをお腹の方から温めることが出来ますので、お腹部分に集中している消化器官を温め、便秘や食欲低下を防ぐことが出来ます。冬場の寒い時期だけでも効果的に使いましょう。

爬虫類温度計

ヘルマンリクガメのケージの室温はおおよそ26〜30度程度が適温と言われています。カメは10度を下回ると冬眠してしまうので、冬場は特に温度管理に気をつけましょう。冬眠する力がないのに冬眠してしまうと死んでしまう可能性があります。温度計を取り付けて、室温には常に気を配るようにしてください。

また、ヘルマンリクガメは乾燥した土地に生息するカメではありますが、極端に乾燥した場所は苦手です。湿度計を用意して常に50%くらいに保つようにすると良いでしょう。

紫外線ライト・スポットライト

爬虫類飼育に紫外線ライトとスポットライトは欠かせません。紫外線ライトで硬く丈夫な骨や甲羅を作り、スポットライトはヘルマンリクガメが活動するため体温調整の場所として重要なのです。

自然下では日中紫外線を浴びることで、丈夫な骨を作ったり大きく丸い甲羅を形成することが出来ます。しかし、ペットのリクガメの殆どが室内飼いで、日々日光浴できる環境にはありません。窓辺に置くようにしたとしてもガラス越しだと紫外線はかなり減ってしまいますので、紫外線ライトは設置したほうが良いでしょう。

また、紫外線ライトは一年で紫外線が出なくなり交換が必要となりますが、紫外線の照射効果が切れると同時にライトが点灯しなくなるわけではないため、どうしても交換を忘れがちになります。ライトの設置日を記載するなどして忘れないように気をつけて下さい。

スポットライトは明かりとりの役割ではなく、ヘルマンリクガメが日中動き回れるよう体を集中的に暖められる場所を作るために必要となります。爬虫類は外気温によって体温調節をする変温動物なので、活動するための体温を自身で作り出せません。ライトの当たる部分が35度くらいになるように設定してあげましょう。

水入れ

水入れと聞くと水を飲む場所だと考える方が多いでしょうが、ヘルマンリクガメの水入れの用途は、飲むより水浴びや水中で用を足すことに使う場合が多いです。そう考えると、必要なサイズや重さなどの見当がつくのではないでしょうか。

ヘルマンリクガメが中に入ることができ、乗ってもひっくり返らない程度の重さがあるものを用意しましょう。

ヘルマンリクガメの餌は、小松菜やチンゲン菜などカルシウムの含有量が多い野菜を主食に、複数の野菜をバランスよく与えます。カルシウム含有量が多い野菜を選んだとしても、ヘルマンリクガメが生息地で摂取しているものと比べると含有量が劣るため、爬虫類用のカルシウムパウダーを使いその分を補うようにしましょう。

なお、カルシウムの過剰摂取を防ぐためビタミンD3が配合されていないカルシウム剤を選ぶようにしてください。

カルシウム含有量が多く主菜となる野菜
・小松菜
・チンゲン菜
・水菜
・カブの葉

餌を与える回数ですが、生後3年位までの若い個体だと一日に1〜3回に分けて与えます。成体になれば一日に一度の食事で大丈夫です。

床材

床材を使用しないと爪があるヘルマンリクガメは滑ってしまって歩くことが出来ないので、必ず敷きましょう。、まだ小さく成長過程の若いカメを歩きにくい環境においてしまうと、骨が固まっていないので変形してしまい、後々歩くことが出来なくなってしまう恐れもあります。

使用できる床材は以下のようなものがあります。

代表的な床材
・ウッドチップ
・人工芝
・赤玉土
・ヤシガラマット

ヘルマンリクガメを飼育する際の注意点

ヘルマンリクガメの飼育にあたって特に気をつけてほしいことは、運動不足や果物の与え方を誤ることにより起きる不調です。

多くの人はゆったりと歩くカメのイメージが強く、カメが運動不足になるなど想像もしないでしょう。しかし、ケージの中の移動だけではカメの運動量としては足りないのです。

また、ヘルマンリクガメの黙々と食べる姿に癒される方は多いでしょうが、好物である果物の与え方に気をつけないと、食事のバランスが一気に崩れてしまう危険性があります。

ここでは、運動不足と果物の与え方を誤ることで起こる問題と、その対応策についてご案内します。

運動不足に気を付ける

飼育ケージ内の移動だけではリクガメは十分な運動効果が得られません。

運動が足りないときちんとお腹が空かず食欲不振となり栄養不足から成長不良を起こしてしまう場合や、逆に太ることで脂肪が内臓を圧迫し体の様々な機能に支障をきたすようになり、しまいには死んでしまう可能性さえ出てきます。

そうならないためにも、時折広い場所で動き回る時間を設けてあげましょう。

歩き回る場所は屋内で構いません。その際はカメから目を離さないようにしてください。

ヘルマンリクガメは活動的なペットで、ケージから出すとそこそこのスピードで歩き回るので驚くことでしょう。目を離したすきに事故にあってしまったら大変ですから、見失わないよう十分に気を付けてください。

屋外に出すこともできますが、カラスなどの外敵から襲われたり、ヘルマンリクガメにとって有毒な野草を食べてしまう危険性があることを念頭におき十分に気をつけて行いましょう。屋外で見失うと屋内とは違い、そのまま二度と会えなくなる可能性もあるのでしっかり見守ってあげてください。

運動時間は約1時間程度が目安ですが、疲れると物陰に入ったりして休み始めるので、疲れが見えたら無理に歩かせずにケージに戻してあげましょう。

なお、カメの肥満の判断基準は、手足を引っ込めた時に付け根の肉がはみ出るか否かでわかります。併せて日頃から計りなどで体重を計るようにしておくと、カメの体調の変化に気づきやすくなりますのでオススメです。

糖度の高い餌の与え方に気を付ける

糖分を多く含む果物はヘルマンリクガメの味覚を刺激するので、与える量を間違えると主菜を食べなくなり、栄養バランスが崩れて体を壊してしまいます。少量をおまけ程度に添えるだけで、積極的に与えないようにしましょう。

また、果物を与えるときには種類によっては皮や種などを取り除かないと、ヒルマンリクガメには消化しにくい場合があります。熟れていない硬い果実を与えると噛み切れず口が欠けてしまうこともあり注意が必要です。

また水分量が多い果物は、与えすぎることでお腹を下してしまう心配があります。例えばイチゴやキウイの種や、オレンジの房を包んでいる薄皮などは消化しにくいので取り除いてください。オレンジの果肉はほぼ水分なので量を与えるとお腹を下してしまう可能性がありますから、1房程度与えるのみに留めましょう。

果物を与える際は適切な処理と、量に気を付けなければ、ヒルマンリクガメの健康を損なうことになりますので十分に注意してください。

ヘルマンリクガメの生態と飼育方法を理解しよう

熱帯で暮らす爬虫類に比べると日本の環境に近い土地に生息しているヘルマンリクガメは管理もしやすく温厚なので、初めてのリクガメとして迎えるにはぴったりです。品種によってサイズが違うため、飼い主の生活状況によって置けるケージの大きさなどから適した個体を判断することができます。

こまかな温度管理や運動など必要になってきますが、この記事を読みきちんと準備した上で迎え入れてあげましょう。
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