ブリーダー vs 里親|8つの比較で分かる“あなたに最適な迎え方”完全ガイド【準備チェックリスト付き】
更新日:2025年11月26日
- ブリーダーと里親、それぞれ犬猫を迎える方法のメリット・デメリットを8つの観点で比較しています。
- ブリーダーからは血統が明確で健康な子犬・子猫を、里親からは過去を持つ成犬・成猫を救う機会が得られます。
- 費用、健康、性格、しつけなど、両者の違いを理解し、自身のライフスタイルに合った選択が重要です。
- 信頼できる優良ブリーダーや保護団体の選び方、迎える前の準備リストも詳しく解説しています。
- 終生飼育の覚悟を持ち、あなたと未来の家族にとって最高の出会いを見つけましょう。
ペットを迎える2つの方法:ブリーダーと里親の基本的な違い
まず、ペットを迎える代表的な2つの方法、「ブリーダー」と「里親」の基本的な役割と違いを理解しましょう。この違いを知ることが、あなたに最適な選択をするための第一歩です。
ブリーダーとは?
ブリーダーとは、特定の犬種や猫種の繁殖を専門に行う専門家です。犬種・猫種のスタンダード(標準)を守りながら、血統や健康、性格を考慮して計画的に繁殖を行い、心身ともに健全な子犬や子猫を育てることを目的としています。
信頼できる優良ブリーダーは、親犬・親猫の健康管理や遺伝病のスクリーニング、生まれた子たちの社会化期における適切な教育など、命を預かる者として重い責任を担っています。
里親制度とは?
里親制度とは、飼い主の死亡や飼育放棄、迷子など、さまざまな理由で行き場を失った犬や猫(保護犬・保護猫)を、動物愛護センターやNPO法人などの保護団体から新しい家族として譲渡してもらう制度です。
保護されている動物は、子犬・子猫から成犬・成猫、シニアまで、年齢も背景も様々です。里親になることは、一頭の尊い命を救うという、社会貢献としての大きな意味も持っています。
【徹底比較】ブリーダーか里親か?8つの重要ポイントで違いを解説
それでは、ブリーダーから迎える場合と里親になる場合、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。8つの重要なポイントで詳しく比較検討していきましょう。
比較① 費用:初期費用と生涯コストはどっちが高い?
ペットを飼う上で、費用は避けて通れない重要な要素です。初期費用だけでなく、生涯にわたってかかるコストを把握しておく必要があります。
ブリーダーから迎える場合
- 最も大きな費用は「生体価格」です。犬種・猫種の人気度や血統、月齢などによって価格は大きく変動し、数十万円から、場合によっては百万円を超えることもあります。
- これに加えて、ワクチン接種費用やマイクロチップ装着・登録費用などが別途必要になることがあります。
里親になる場合
- 生体価格はかかりません。その代わりに「譲渡費用」として数万円程度が必要となることが一般的です。
- この費用には、保護期間中にかかった医療費(ワクチン接種、不妊去勢手術、駆虫など)の一部が含まれており、次の保護動物を救うための大切な活動資金となります。
【生涯コストについて】 日々の食費や消耗品代、医療費(健康診断、ワクチン等)、ペット保険料などの生涯コストは、どちらの方法で迎えても基本的に同じようにかかります。ただし、保護犬・保護猫は過去の健康状態によって、予期せぬ医療費がかかる可能性も念頭に置いておくと良いでしょう。
比較② 健康面:遺伝的リスクや既往歴の違い
愛するペットには、少しでも長く健康でいてほしいと願うのは当然のことです。健康面での違いもしっかりと確認しましょう。
ブリーダーから迎える場合
- 優良ブリーダーは、親犬・親猫の健康状態を厳しく管理し、遺伝病のスクリーニング検査を行っています。
- そのため、遺伝的な疾患のリスクが比較的低い、健康な子犬・子猫を迎えられる可能性が高まります。犬舎を見学する際に、親の健康状態や飼育環境を直接確認できるのも大きなメリットです。
里親になる場合
- 譲渡される前に保護団体によって健康診断や必要な治療が済まされていることがほとんどです。
- しかし、保護されるまでの生活環境が不明なケースも多く、栄養状態の悪さや持病、心にトラウマを抱えていることもあります。成犬・成猫であれば既往歴が判明していることもありますが、将来的な健康リスクを予測しにくい点は考慮すべき点です。
比較③ 性格・気質:子犬・子猫の性格は予測できる?
共に暮らす上で、ペットの性格や気質は非常に重要です。ここにも大きな違いがあります。
ブリーダーから迎える場合
- 犬種・猫種特有の気質がある程度予測できます(例:「ゴールデンレトリバーは温厚」「ベンガルは活発」)。
- また、親の性格を見せてもらうことで、子の性格をある程度推測することも可能です。適切な社会化期を過ごした子は、人や他の動物に友好的な性格に育ちやすい傾向があります。
里親になる場合
- 成犬・成猫の場合、性格がすでに固まっていることが最大のメリットです。
- 保護団体のスタッフは、その子の性格(人懐っこい、臆病など)をよく把握しているため、自分のライフスタイルに合った性格の子を紹介してもらえます。ただし、過去の経験から分離不安などの問題行動が見られることもあり、その子の過去を受け入れ、時間をかけて信頼関係を築く心構えが必要です。
比較④ 年齢:子犬・子猫から?落ち着いた成犬・成猫から?
どのようなライフステージのペットを迎えたいかによっても、選択肢は変わってきます。
ブリーダーから迎える場合
- ほとんどが子犬・子猫です。生まれたときから成長を見守り、共に思い出をたくさん作りたいと考える人には、かけがえのない経験となるでしょう。
- 「この犬種・猫種を迎えたい」という強い希望がある場合にも最適です。
里親になる場合
- 子犬・子猫もいますが、落ち着いた成犬・成猫の割合が高いのが特徴です。
- やんちゃな子犬期の世話に自信がない方や、穏やかな暮らしを望む方にはぴったりです。雑種(ミックス)を含め、その子の個性そのものを愛したい人にとって、運命的な出会いが待っています。
比較⑤ しつけ:一から始めるか、できている子か
ペットとの快適な共同生活には、適切なしつけが不可欠です。
ブリーダーから迎える場合
- トイレトレーニングや甘噛みの矯正、社会化など、すべてのしつけを一から教える必要があります。
- これは大変な作業ですが、飼い主とペットが共に学び、強い絆を築く貴重なプロセスでもあります。
里親になる場合
- 成犬・成猫の中には、前の飼い主によって基本的なしつけ(おすわり、トイレなど)が済んでいる子も少なくありません。これは新しい飼い主にとって大きなメリットです。
- しかし、トラウマに起因する問題行動(吠え癖など)が見られる場合もあり、その改善には専門的な知識と根気強いトレーニングが必要になることがあります。
比較⑥ 手続き:迎えるまでの流れと審査の有無
実際にペットを迎えるまでのプロセスにも違いがあります。
ブリーダーから迎える場合
- ウェブサイト等で情報を集め、問い合わせ、犬舎(猫舎)を見学。ブリーダーから説明を受け、双方合意の上で契約を結び、後日引き渡し、という流れが一般的です。
- 人気のブリーダーの場合は、予約して出産を待つこともあります。
里親になる場合
- 保護団体のサイトや譲渡会で里親募集中の子を探します。アンケート回答後、スタッフとの面談(審査)があり、飼育環境などが条件に合えばお見合いへ。
- その後、数週間程度の「トライアル期間」を経て、問題がなければ正式譲渡(契約)となります。
比較⑦ 法律:知っておくべき動物愛護法とマイクロチップ義務化
ペットを飼うことは、法律上の責任を負うことです。特に「動物愛護法」はすべての飼い主が知っておくべき法律です。
- マイクロチップの装着・登録義務:2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップで販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。迎えた飼い主は、自身の情報に変更登録する義務があります。これは迷子や災害時の重要な身元証明になります。
- 終生飼育の責任:動物愛護法では、飼い主に「終生飼育」の責任が明記されています。一度飼い始めた動物を、その命が尽きるまで適切に飼育する責任のことです。里親の譲渡審査は、この責任を全うできるかを確認するために行われます。
比較⑧ アフターサポート:迎えた後の相談相手はいる?
ペットを家に迎えた後、不安や困りごとが出てくるのは当然です。
ブリーダーから迎える場合
- 多くの優良ブリーダーは、引き渡し後も、しつけや健康に関する相談に乗ってくれるなど、手厚いサポート体制を整えています。
- 自分が育てた子が新しい家で幸せに暮らすための協力を惜しみません。
里親になる場合
- 保護団体も同様に、譲渡後のサポートに力を入れています。
- トライアル期間中は気軽に相談でき、正式譲渡後も相談窓口を設けたり、交流会を開催したりする団体もあります。
あなたに合うのはどっち?タイプ別おすすめ診断
ここまでの比較を踏まえて、あなたがどちらの方法でペットを迎えるのが向いているか、診断してみましょう。
ブリーダーがおすすめな人
- ✅ 迎えたい犬種・猫種が明確に決まっている
- ✅ 子犬・子猫から育て、成長過程をすべて見届けたい
- ✅ 一から自分の手でしつけや社会化トレーニングを行いたい
- ✅ 親の血統や遺伝的背景を重視したい
里親がおすすめな人
- ✅ 犬種や猫種、血統にはこだわらない
- ✅ 一頭でも多くの命を救いたいという社会貢献への意識がある
- ✅ 落ち着いた性格の成犬・成猫との穏やかな暮らしを望んでいる
- ✅ 初めての飼育で、子犬のしつけに少し不安がある
- ✅ 動物の過去の傷を受け入れ、心に寄り添う覚悟がある
【重要】後悔しないための優良ブリーダー・保護団体の選び方
命を預かる重い責任。信頼できる相手選びが最も重要です。 どちらの方法を選ぶにせよ、最も重要なのは「信頼できる相手」から命を譲り受けることです。以下のポイントを必ずチェックしてください。
信頼できる優良ブリーダーの7つの見分け方
- 1. 動物取扱業の登録番号を明記している
- 2. 犬舎や飼育環境を快く見学させてくれる(そして清潔である)
- 3. 親犬や兄弟犬に会わせてくれる
- 4. 犬種の良い点だけでなく、かかりやすい病気などのデメリットも正直に説明してくれる
- 5. 質問に対して誠実に、専門知識をもって答えてくれる
- 6. 引き渡し後のサポート体制について明確な説明がある
- 7. 売買契約書をきちんと交わす
安心して任せられる保護団体の6つの見分け方
- 1. NPO法人などの公的な認可を受けていることが望ましい
- 2. 施設の飼育環境が衛生的で、動物たちが健康的に管理されている
- 3. 譲渡の際の審査基準や譲渡費用が明確に提示されている
- 4. スタッフが、一頭一頭の性格や健康状態を詳しく説明してくれる
- 5. トライアル期間が設けられており、譲渡後のサポート体制も整っている
- 6. 無理に譲渡を勧めたり、高圧的な態度をとったりしない
【完全版】ペットを迎える前に!準備と心構えの最終チェックリスト
迎える方法が決まったら、いよいよ具体的な準備です。漏れがないか、このチェックリストで最終確認しましょう。
【物理的な準備】必要なものリスト
- 住環境の整備:ケージ、サークル、クレート、ベッド、トイレ、トイレシート、食器、給水器
- 食事関連:年齢や健康状態に合ったフード、おやつ
- ケア用品:ブラシ、コーム、爪切り、シャンプー、歯磨きグッズ
- 安全対策:ペットゲートの設置、電気コードのカバー、誤飲の危険がある物の撤去
- その他:おもちゃ、キャリーバッグ、首輪、ハーネス、リード、迷子札
【心構えの準備】手続きと覚悟のチェックリスト
- □ 家族の同意:家族全員がペットを迎えることに心から賛成していますか?
- □ アレルギーの確認:家族に動物アレルギーを持つ人はいませんか?
- □ 飼育環境の確認:お住まいはペット飼育可の物件ですか?広さや防音は問題ありませんか?
- □ 費用計画:初期費用だけでなく、生涯にかかる費用(年間約30~50万円)を捻出できますか?
- □ 時間の確保:毎日の散歩、世話、遊び、しつけに十分な時間を割けますか?
- □ 緊急時の預け先:旅行や病気の際にペットを預かってくれる場所の目星はついていますか?
- □ 終生飼育の覚悟:病気や高齢になっても、最後まで愛情と責任を持って飼い続ける覚悟がありますか?
- □ 法的義務の理解:マイクロチップ登録、狂犬病予防接種(犬の場合)などの義務を理解していますか?
- □ かかりつけ動物病院:近所で評判の良い動物病院をリサーチしましたか?
よくある質問(FAQ)
Q1. 初めて犬を飼う場合、ブリーダーと里親どちらがいいですか?
A1. 一概にどちらが良いとは言えません。子犬からしつけをじっくり学びたいならブリーダー、しつけの負担が少ない落ち着いた成犬を希望するなら里親が向いているでしょう。重要なのは、ご自身のライフスタイルや飼育に割ける時間を考慮することです。初めてで不安な場合は、サポート体制が手厚いブリーダーや保護団体を選ぶと安心です。
Q2. 保護犬を迎えて後悔しないために、何に気をつければいいですか?
A2. 保護犬の「過去」を理解し、受け入れる心構えが最も重要です。すぐに懐かなくても焦らず、気長に付き合う覚悟を持ちましょう。迎える前に、保護団体のスタッフからその子の性格、癖、健康状態などを詳しく聞き、トライアル期間を活用して、ご自身の生活との相性を慎重に見極めることが後悔を防ぐ鍵となります。
Q3. 一人暮らしでも保護犬・保護猫の里親になれますか?
A3. はい、なれます。ただし、審査の条件が厳しくなる傾向があります。主な審査ポイントは、留守番時間の長さ、万が一の際の預け先や後見人の有無、経済的な安定性などです。団体によっては条件が異なりますので、諦めずに複数の保護団体の譲渡条件を確認し、相談してみることをお勧めします。
Q4. トライアル期間とは何ですか?注意点は?
A4. 正式な譲渡契約を結ぶ前に、希望する保護犬・保護猫と実際に一緒に暮らしてみる「お試し期間」です。通常2週間~1ヶ月程度で、先住ペットとの相性や新しい環境への順応具合などを確認します。この期間はあくまで「預かっている」状態のため、脱走防止対策を徹底し、何かあればすぐに団体のスタッフに相談することが重要です。
まとめ:あなたとペット、最高の出会いのために
ブリーダーから迎えることも、里親になることも、どちらも一つの尊い命を家族に迎え入れる素晴らしい選択です。
ブリーダーは、犬種・猫種の健全な未来を守るという重要な役割を担っています。一方で、里親制度は、行き場のない命に再び暖かい家庭を与える、かけがえのない機会を提供してくれます。
どちらを選ぶか以上に大切なのは、あなたのライフスタイルや価値観と向き合い、「この子の一生に責任を持つ」という終生飼育の覚悟です。この記事で紹介した比較ポイントやチェックリストを参考に、ご自身やご家族にとって最適な選択をじっくりと考え、準備を万全に整えてください。
あなたの深い愛情と正しい知識が、これから出会う未来の家族を必ず幸せにします。この記事が、あなたにとって最高のパートナーを見つけるための一助となることを心から願っています。
- 犬猫を迎えるブリーダーと里親、どちらの方法も尊い命との素晴らしい出会いにつながります。
- 費用や健康面、性格、しつけなど、8つの比較ポイントから最適な選択をじっくり検討しましょう。
- 優良ブリーダーは健全な繁殖を、保護団体は行き場のない命を救うというそれぞれの役割があります。
- 最も大切なのは、愛するペットの一生に責任を持つ「終生飼育の覚悟」を持つことです。
- 準備リストを活用し、深い愛情と正しい知識で最高のパートナーとの生活をスタートさせましょう。
初回公開日:2025年11月26日
記載されている内容は2025年11月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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