うさぎの正しい抱っこ&なで方ガイド|嫌がる理由と信頼関係の築き方
更新日:2025年12月23日
- うさぎが抱っこを嫌がるのは捕食動物の本能や高所への恐怖があるため、まずその理由を理解しましょう。
- 信頼関係を築くことが最重要であり、無理強いせず、うさぎが自ら近寄ってくるのを待ちサインを読み取ることが大切です。
- 抱っこする前に、優しい声かけと「なでる」ことから始め、眉間や背中などうさぎが喜ぶ場所を優しく触りましょう。
- 安全な抱っこは低い姿勢で行い、お尻と胸をしっかり支えて体に密着させる5つのステップで実践できます。
- 耳や首の皮を持つ、お腹を掴む、仰向けにするなどのNG行為はうさぎに苦痛や命の危険を与えるため絶対に避けてください。
「かわいい我が家のうさぎと、もっと仲良くなりたい」「優しく抱っこして愛情を伝えたい」そう願う飼い主さんは多いのではないでしょうか。しかし、いざ抱っこしようとすると、嫌がって逃げたり、暴れたりしてしまい、どうすれば良いか悩んでしまうことも少なくありません。実は、うさぎとのコミュニケーションには、彼らの習性を理解した上で、正しい触り方や抱き方を実践することが非常に重要です。
この記事では、うさぎを飼い始めたばかりの初心者の方でも安心して実践できるよう、うさぎとの絆を深める具体的な方法を徹底解説します。
この記事でわかること
- うさぎが抱っこを嫌がる根本的な理由
- 抱っこの前にすべき信頼関係の築き方
- うさぎが喜ぶなで方と嫌がる場所
- 初心者でも安全な正しい抱っこの手順
- 絶対にやってはいけないNGな持ち方
最後までご覧いただき、愛うさぎとの絆を深めるヒントにしてください。
うさぎが抱っこを嫌がる・苦手な4つの理由
うさぎとのスキンシップを始める前に、まず「なぜ多くのうさぎが抱っこを嫌がるのか」という根本的な理由を理解することが、良好な関係を築くための第一歩となります。
1. 捕食動物としての本能
野生のうさぎは、キツネやタカなどから狙われる「捕食される側」の動物です。そのため、体を拘束されたり、地面から体が離れたりする状況に命の危険を感じる本能があります。飼い主さんの愛情表現である「抱っこ」も、うさぎにとっては「捕まった」という恐怖のサインになり得るのです。
2. 高い場所への恐怖心
うさぎは本来、地面の近くで生活する動物のため、高い場所が非常に苦手です。抱っこされると視点が高くなり、足が地面につかないため強い恐怖を感じます。もし抱っこ中に暴れて落下すれば、骨折などの大怪我につながる危険性も。この恐怖心が、抱っこを嫌がる大きな要因です。
3. 過去の嫌な経験(トラウマ)
ペットショップや以前の環境で、無理やり捕まえられた経験があるうさぎは、抱っこに対して強いトラウマを抱いていることがあります。人間への不信感から、優しく接しても恐怖で抵抗してしまうのです。このような場合は焦らず、長い時間をかけてじっくり向き合う姿勢が何よりも大切です。
4. 抱き方が不快・不安定
飼い主さんに悪気はなくても、うさぎにとって不快な抱き方をしているケースも少なくありません。例えば、お腹だけを掴んだり、お尻がしっかり支えられていなかったりすると、うさぎは非常に不安定で落ち着きません。安全でうさぎが落ち着く抱き方をマスターすることが重要です。
抱っこの前に!うさぎと信頼関係を築く4つのステップ
うさぎに安心して身を委ねてもらうには、日頃のコミュニケーションを通じて「この人は安全だ」と認識してもらうことが不可欠です。焦らず、うさぎのペースを尊重しましょう。
ステップ1:無理強いは絶対にNG
最も避けるべきは「無理強い」です。嫌がっているのに追いかけ回したり、無理やり抱き上げたりする行為は、うさぎの恐怖心を煽り、飼い主さんへの不信感を増大させます。うさぎが自ら近寄ってくるのを待ち、触られることを受け入れてくれるタイミングを見計らうことが重要です。
ステップ2:うさぎのサインを読み取ろう
うさぎは体や仕草で気持ちを伝えます。彼らが発するサインを正しく読み取りましょう。
- リラックスのサイン:「体を長く伸ばす」「香箱座り」「鼻をヒクヒクさせ近寄ってくる」「歯を小さくカチカチ鳴らす」
- 警戒・不快のサイン:「足で地面を強く叩く(スタンピング)」「体を小さく固まらせる」「耳を後ろに倒す」「ブーッと低い声で鳴く」
これらのサインを見逃さず、うさぎが嫌がっている時はそっとしておく優しさが求められます。
ステップ3:声かけの重要性とタイミング
うさぎに触れる前には、必ず優しい声で「〇〇ちゃん、なでるね」などと声をかけましょう。うさぎは真ん前や真下が見えにくいため、いきなり手が出てくると天敵に襲われるかのような恐怖を感じます。うさぎの視界に入る位置からゆっくり近づき、これから何をするか伝えてあげることで、うさぎの不安を和らげることができます。
ステップ4:まずは「なでる」ことから慣れさせる
いきなり抱っこではなく、まずは飼い主さんの手や存在に慣れてもらいましょう。床に座って同じ目線になり、うさぎが近寄ってきたら匂いを嗅がせ、ゆっくり優しくなでてあげます。「この人の手は怖くない、気持ちいい」と学習させることが、抱っこへの第一歩です。
うさぎが喜ぶ「なで方」のコツ|気持ちいい場所・嫌がる場所
スキンシップの基本は「なでること」です。うさぎが気持ちいいと感じる場所や方法を知り、リラックスさせてあげましょう。
なでる前に:手の匂いを嗅がせる
まず、うさぎの目線の高さにそっと手を差し出し、匂いを嗅がせてあげましょう。うさぎは優れた嗅覚で相手を認識します。このひと手間で、うさぎを安心させることができます。
うさぎが気持ちいいと感じやすい場所
- 眉間から鼻筋にかけて:多くのうさぎが好む定番の場所。指先で優しくなでると、うっとり目を細めることも。
- 額や頭頂部:頭全体を手のひらで包むように、毛並みに沿って優しくなでます。
- 頬やあごの下:耳の付け根から頬にかけても喜ぶ子が多いです。指の腹で軽くマッサージするように。
- 背中:首の付け根からお尻へ向かって、毛並みに沿ってゆっくりストロークします。
逆に嫌がることが多い場所(急所)
- お腹:内臓を守るデリケートな急所です。触られることに強い抵抗を示します。
- 足先:敏感な部分で、拘束されることを嫌います。爪切りなどケア以外ではむやみに触らないようにしましょう。
- しっぽ:非常に敏感な場所です。追いかけられている感覚になるため、触らないのが基本です。
- 耳:血管が多くデリケートな器官です。掴んだり引っ張ったりするのは絶対にやめましょう。
なでる際は「優しく、ゆっくり、毛並みに沿って」が基本です。うさぎの表情をよく観察し、嫌がる素振りを見せたらすぐにやめましょう。
【初心者でも安心】うさぎの正しい抱っこ 5つの手順
信頼関係が築け、なでることに慣れてきたら、いよいよ抱っこに挑戦です。安全な方法で、焦らず行いましょう。
準備
- 必ず床に座るなど、低い姿勢で、カーペットのような柔らかい場所で行います。
- 万が一落下しても怪我のリスクを最小限にできます。
- 高さのある場所は絶対に避けましょう。
Step1: うさぎの正面からゆっくり近づく
床に座ってうさぎと同じ目線になり、「抱っこするよ」と優しく声をかけます。うさぎの正面からゆっくり手を近づけ、匂いを嗅がせて安心させましょう。
Step2: 片手でお尻をしっかり支える
利き手と逆の手を、うさぎのお尻の下にそっと差し込みます。手のひら全体で、お尻から後ろ足をすっぽり包むように安定させるのがポイントです。
Step3: もう片方の手で胸元(脇の下)を支える
お尻を支えたら、利き手をうさぎの胸元(前足のすぐ後ろ)に回します。指を広げ、胸を優しく、しかし確実に支えます。お腹を強く圧迫しないよう注意してください。
Step4: 飼い主の体に密着させて安定させる
お尻と胸元の2点を支えたら、ゆっくりと自分の体へ引き寄せます。うさぎの体全体を自分の胸やお腹にぴったり密着させると、うさぎは包まれている安心感から落ち着きやすくなります。
Step5: 安全な下ろし方
下ろす時も細心の注意を払います。持ち上げた時と逆の手順で、ゆっくり腰を落とし、うさぎの四本の足がしっかり床に着いたのを確認してから手を離します。高い位置から飛び降りさせると骨折の原因になります。
絶対にダメ!うさぎのNGな持ち方と危険な行動
愛情のつもりが、うさぎに苦痛や大怪我をさせてしまう危険な持ち方があります。必ず覚えておきましょう。
- 耳だけを持つ 絶対にやってはいけない虐待行為です。耳には多くの血管と神経が通っており、激しい痛みと後遺症の原因になります。
- 首の後ろの皮を掴む うさぎの皮膚は薄く裂けやすいため、大怪我につながる恐れがあります。非常に危険です。
- お腹だけを掴んで持ち上げる 骨のないお腹を掴むと、内臓を圧迫・損傷させる危険があります。うさぎが苦しくて暴れる原因にもなります。
- 仰向け(トランス状態)にさせる うさぎを仰向けにすると大人しくなりますが、これは極度の恐怖による擬死(死んだふり)状態です。心臓に大きな負担をかけ、最悪の場合はショック死に至る可能性も指摘されています。安易に行うのは絶対にやめましょう。
どうしても抱っこを嫌がる場合の対処法
正しい方法を試しても、抱っこが苦手なうさぎもいます。個性を尊重し、無理強いせず別の方法でコミュニケーションを図りましょう。
- 抱っこの練習は短時間から 最初は数秒体が浮くだけでも十分です。すぐに下ろして大好きなおやつをあげ、「抱っこ=良いこと」と関連付けます。少しずつ時間を延ばしましょう。
- ご褒美(おやつ)をうまく活用する なでさせてくれたらおやつ、膝に乗ってくれたらおやつ、とポジティブな経験を積ませましょう。与えすぎは肥満の原因になるため、量には注意してください。
- キャリーケースに慣れさせる 通院など、移動が必要な時のためにキャリーを「安全な場所」と認識させておくと便利です。普段から自由に出入りさせ、中におやつを置くなどして慣れさせましょう。
- 専門家(獣医師など)に相談する どうしても上手くいかない場合は、うさぎに詳しい獣医師や専門店のスタッフに相談しましょう。その子に合ったアドバイスをもらえたり、爪切りの際にプロの保定(安全な押さえ方)を見せてもらえたりします。
まとめ:うさぎの気持ちを尊重し、焦らず信頼関係を築こう
うさぎとの正しいコミュニケーションは、彼らの習性や感情を深く理解することから始まります。抱っこは、うさぎの本能的な恐怖を伴う行為であることを常に心に留めておきましょう。
大切なのは、決して焦らず、無理強いしないことです。まずはうさぎの目線まで下り、優しい声かけと気持ちのいいなでることからコミュニケーションを深めてください。うさぎが発するサインを尊重する姿勢が、揺るぎない信頼関係へと繋がります。
抱っこだけが愛情表現ではありません。膝の上でくつろいだり、足元にすり寄ってきたりする行動も、うさぎからの大切なサインです。この記事を参考に、あなたの愛うさぎとのペースで、温かく豊かな関係を築いていってください。
よくある質問(FAQ)
Q1: うさぎが抱っこに慣れるまでの期間は?
A1: 個体の性格、年齢、過去の経験により大きく異なり、数日から数ヶ月、あるいは生涯苦手な子もいます。期間を目標にせず、うさぎのペースに合わせて焦らずじっくり関係を築くことが最も重要です。
Q2: 抱っこ中に暴れた時の対処法は?
A2: パニックにならず、まずは床に座るなど低い姿勢になりましょう。落下しても怪我をしない高さを確保し、うさぎの体を自分の体にさらに密着させて「大丈夫だよ」と優しく声をかけます。無理に押さえつけず、隙を見て速やかに、かつ安全に床へ下ろしてください。
Q3: 子供がうさぎを抱っこする時の注意点は?
A3: 必ず大人が付き添い、監督することが絶対条件です。まず大人が正しい抱き方を教え、お子さんには床に座ってもらいます。その膝の上に大人がうさぎをそっと乗せてあげる形が安全です。うさぎは骨がもろくデリケートな動物であることを繰り返し教え、お子さんが一人で持ち上げたり追いかけたりしないようにしてください。
- うさぎの抱っこは捕食動物としての本能的な恐怖を伴うため、その習性を理解し、無理強いは絶対に避けましょう。
- 日頃から優しい声かけやなでることから始め、うさぎのサインを読み取りながら信頼関係を丁寧に築いていくことが大切です。
- 正しい抱っこは、低い姿勢で、お尻と胸をしっかり支え、うさぎの体を飼い主の体に密着させる5つの手順で行いましょう。
- 耳を持つ、首の皮を掴む、お腹を掴む、仰向けにするなどの危険なNG行為は、うさぎを傷つけ命を脅かす可能性があるため厳禁です。
- 抱っこが苦手なうさぎには、ご褒美を使った短時間の練習や専門家への相談など、その子の個性に合わせた方法で絆を深めましょう。
初回公開日:2025年12月23日
記載されている内容は2025年12月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。