犬の無駄吠え・猫の夜鳴き対策｜うるさい原因と今日からできるしつけ・防音術
更新日：2025年12月11日
- 犬猫の無駄吠え・夜鳴きは、警戒心、要求、分離不安、ストレス、病気など様々な原因で起こります。
- 原因特定が解決の第一歩であり、叱るだけでは逆効果になるため注意が必要です。
- 運動不足解消、安心できる環境整備、適切なトレーニングによるしつけが具体的な対策となります。
- 防音グッズの活用や、解決が難しい場合は動物病院やドッグトレーナーへの相談も有効です。
- 集合住宅での騒音トラブルを防ぐため、日頃からの配慮と丁寧な対応を心がけましょう。
犬の無駄吠え・猫の夜鳴きの原因は？隠された5つのサイン
ペットの吠え声や夜鳴きを根本的に解決するには、まず「なぜ鳴いているのか」という原因を正しく理解することが不可欠です。ただうるさいからと叱るだけでは、ペットのストレスを増やし逆効果になることも。彼らの鳴き声は重要なメッセージです。そのサインを読み解き、原因に合ったアプローチをすることが問題解決への一番の近道となります。
【犬編】犬がうるさく吠える5つの主な原因
犬の「無駄吠え」には、様々な理由が隠されています。その背景を理解することで、適切なしつけや対応が可能です。
1. 警戒・恐怖（インターホン・来客への吠え）
犬は縄張り意識が強い動物です。インターホンの音、来客、配達員、窓の外を通る人や犬など、見知らぬ対象に「縄張りを守らなきゃ！」と警戒して吠えます。 これは本能的な行動で、恐怖心から自分を強く見せようとしている場合も。特に、子犬の頃の社会化期に様々な音や人に慣れていない犬に多く見られます。
2. 要求（ごはん・散歩の催促）
「お腹が空いた」「散歩に行きたい」「遊んでほしい」など、飼い主への要求を通すために吠えるのが「要求吠え」です。過去に「吠えたら言うことを聞いてもらえた」という経験から学習し、要求の手段として吠え声を使っているケースがほとんどです。
3. 分離不安（留守番中に吠える）
飼い主への依存度が高い犬に見られるのが、分離不安による吠えです。飼い主が出かける準備を始めるとソワソワし、留守番中に長時間吠え続けたり、物を破壊したりします。 これは飼い主と離れることへの極度の不安やストレスが原因で、単なる寂しがり屋とは異なり、丁寧なトレーニングが必要です。
4. 興奮・喜び
飼い主の帰宅時や、散歩の前、遊びの最中など、嬉しい気持ちや興奮が高まって吠えることもあります。ポジティブな感情表現ですが、興奮しすぎるとコントロールが効かなくなり、騒音問題につながるため、落ち着かせるトレーニングが有効です。
5. ストレス・体調不良（老犬の夜鳴きなど）
運動不足や環境の変化（引っ越しなど）がストレスとなり、吠えやすくなることがあります。また、体の痛みや不快感を訴えている場合も。特に、老犬（シニア犬）の認知症によって昼夜が逆転し、理由なく夜間に吠え続ける「夜鳴き」が見られることもあります。原因不明の吠えが続く場合は、病気の可能性も考え、動物病院に相談しましょう。
【猫編】猫が夜鳴きする5つの主な原因
夜行性の名残がある猫ですが、成猫が大きな声で鳴き続ける「夜鳴き」には、様々な理由が考えられます。
1. 要求（ごはん・トイレの掃除など）
犬と同様、「ご飯が欲しい」「トイレが汚い」「ドアを開けて」「構ってほしい」といった要求を伝えるために鳴きます。特に早朝、お腹を空かせた猫が飼い主を起こしにくるのはよくあるケースです。
2. 発情期
去勢・避妊手術をしていない猫は、発情期に異性を求めて、人間の赤ちゃんのような甲高い大きな声で鳴きます。これは本能的な行動であり、しつけでのコントロールは非常に困難です。繁殖を考えていない場合、去勢・避妊手術が最も効果的な解決策となります。
3. ストレス・不安
猫は環境の変化に非常に敏感です。引っ越し、模様替え、新しい家族やペット、来客など、環境の変化がストレスとなり、不安から夜鳴きをすることがあります。自分の縄張りが脅かされていると感じているサインかもしれません。
4. 縄張り意識
窓の外に他の猫を見つけたり、気配を感じたりすると、縄張りを主張・威嚇するために「ウーッ」と唸ったり、大きな声で鳴いたりします。夜間は他の動物の活動が活発になるため、こうした行動が出やすくなります。
5. 加齢・病気（老猫の認知症・甲状腺機能亢進症など）
老猫の夜鳴きは切実な悩みです。犬と同様に認知症を発症し、不安から鳴き続けることがあります。また、「甲状腺機能亢進症」という病気になると、常に興奮状態になり大きな声で鳴くなどの症状が見られます。体の痛みを訴えている可能性もあるため、老猫の夜鳴きが始まったら、まずは動物病院を受診しましょう。
【実践編】犬の吠え声・猫の夜鳴きを止める具体的な対策3選
要点：3つの柱で対策！
- 日中の運動や遊びでエネルギーを発散させる
- ペットが安心できる飼育環境に改善する
- 問題行動に合わせた適切な「しつけ」とトレーニングを行う
ペットが鳴く原因を推測できたら、次は具体的な対策です。「運動」「環境」「しつけ」の3つの柱で、すぐに取り組める解決策をご紹介します。複数の対策を組み合わせ、根気強く試してみましょう。
1. 運動や遊びでエネルギーを発散させる
運動不足はストレスの大きな原因です。有り余ったエネルギーが問題行動につながるため、日中の活動量を増やし、夜ぐっすり眠れるように促しましょう。
- 犬の場合： 毎日の散歩の「質」を見直しましょう。ドッグランで思い切り走らせたり、ボール遊びを取り入れたりするのがおすすめです。また、地面の匂いを嗅ぐ「クンクン活動」は脳に適度な刺激を与えストレス解消になります。雨の日は室内で知育玩具（ノーズワークマットなど）を使い、頭を使わせる遊びも効果的です。
- 猫の場合： 飼い主が寝る前の時間帯に集中的に遊びましょう。猫じゃらしなどで狩猟本能を満足させ、ジャンプやダッシュで適度に疲れさせることがポイントです。キャットタワーの設置も上下運動ができ、運動不足解消に役立ちます。
2. 安心できる飼育環境に改善する
ペットが安心して落ち着ける環境を整えることは、不安や警戒心からくる鳴き声を減らす上で非常に重要です。
- 安全な場所の提供： 犬には四方が囲まれたクレート、猫には段ボール箱やキャットタワーの個室など、「自分だけの安全な隠れ家」を用意しましょう。「クレートは安心できる場所」と教えるクレートトレーニングも有効です。
- 外部からの刺激を減らす： 窓の外に反応して吠える犬には、窓に目隠しシートを貼ったり、遮光カーテンを閉めたりして視覚的な刺激を遮断します。インターホンの音に吠える場合は、音量を小さくする、チャイムの音を変えるなどの対策も考えられます。
- 基本的な環境の再確認： トイレは常に清潔か、新鮮な水や食事が適切な時間に提供されているかなど、基本的な飼育環境を今一度見直してみましょう。些細な不快感が要求鳴きの原因になることもあります。
3. 問題行動に合わせた「しつけ」とトレーニング
鳴き声に対する飼い主の対応が、問題行動を強化しているケースは少なくありません。正しいしつけを学び、一貫した態度で接することが大切です。
- 要求吠え・要求鳴き： 基本は「徹底的に無視」です。鳴いている時に構うと、「鳴けば要求が通る」と学習してしまいます。視線を合わせず、声をかけず、鳴き止んで静かになった瞬間に「いい子だね」と褒めてご褒美をあげましょう。「静かにしていれば良いことがある」と学習させます。
- インターホンへの吠え： 音に慣れさせるトレーニングが有効です。家族に協力してもらい、インターホンが鳴ったら犬が吠える前に「おすわり」などの指示を出し、できたら大げさに褒めて特別なおやつをあげます。「インターホンが鳴る＝良いことがある」というポジティブな印象にすり替えていきましょう。
- 分離不安： 根気が必要ですが、短時間の留守番から少しずつ慣らします。出かける際に大げさに声をかけたり、帰宅時に興奮する犬を過剰に撫でたりするのは逆効果。飼い主は常に冷静に、さりげなく振る舞うことが犬の不安を和らげるコツです。
対策しても鳴き止まない…効果的な防止グッズと相談先
様々な対策を試しても改善しない場合、さらに一歩進んだ防止策や専門家の力を借りましょう。一人で抱え込まず、積極的に活用することが大切です。
効果的な「吠え防止・防音グッズ」の活用
- しつけ補助グッズ： 犬が吠えた音や振動を感知し、犬が嫌がる超音波やスプレーを出す装置があります。首輪タイプもありますが、犬にストレスを与える可能性もあるため、使用は慎重に検討し、専門家に相談しましょう。
- 防音グッズ（賃貸OK）： 騒音問題への直接的な対策として非常に有効です。
- 遮音カーテン・窓用防音シート： 窓からの音漏れに効果的。
- 防音パネル・吸音材： DIYで設置可能。ケージの周りに置くだけで音の響きを和らげます。
- 留守番用グッズ： ペットカメラや自動給餌器、知育トイは、留守番中のペットの退屈や寂しさを紛らわせるのに役立ちます。
専門家への相談も選択肢に
飼い主だけでの解決が難しいと感じたら、ためらわずに専門家の助けを借りましょう。
- 動物病院（獣医師）： 急に鳴き始めた、元気や食欲もない、老犬・老猫の夜鳴きなど、まずは病気の可能性を疑いましょう。 身体的な不調がないか診察してもらうことが第一歩です。
- ドッグトレーナー・行動診療専門の獣医師： しつけの方法が分からない、分離不安が深刻な場合は、プロに相談しましょう。 その子の性格や家庭環境に合った具体的なトレーニング方法を指導してもらえます。
ペットの騒音で近所トラブルになる前に知るべきこと【マンション・アパート編】
特に集合住宅では、近隣住民への配慮が不可欠です。近所トラブルを未然に防ぎ、万が一苦情を言われた場合でも円満に解決するための心構えと対応策を知っておきましょう。
集合住宅で暮らす上での心構えとルール
「ペット可物件」だからといって、何をしても許されるわけではありません。ペットの鳴き声が、他人にとっては「騒音」になり得ることを常に意識しましょう。床に防音マットやカーペットを敷き、足音対策をするのも基本的なマナーです。日頃からご近所の方と顔を合わせた際に「いつもお騒がせしてすみません」と一言声をかけるなど、良好なコミュニケーションを築いておくことも、トラブル防止に大きく役立ちます。
苦情を言われた時の冷静な対応
もし苦情が来てしまった場合、最も大切なのは冷静かつ真摯に対応することです。感情的に反論したり、言い訳をしたりするのは絶対に避けましょう。
- まずは誠心誠意謝罪する： 「ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」と謝ります。
- 具体的な対策を伝える： 「現在、鳴き声を抑えるために、しつけの専門家に相談したり、防音グッズを試したりしています」と、問題解決に向けて努力している姿勢を伝えます。
- 管理会社に相談する： 当事者間での解決が難しい場合や、匿名の苦情の場合は、速やかに管理会社に相談し、間に入ってもらいましょう。
これからペット可物件に住む人が注意すべき点
これから物件を探す場合は、建物の構造（鉄筋コンクリート造など）や防音性を確認しましょう。また、ペットに関する飼育規約（頭数制限、大きさなど）を事前に細かくチェックすることが不可欠です。入居時には、両隣や上下階の住民に挨拶をしておくと良いでしょう。
まとめ：愛犬・愛猫との穏やかな毎日のために
犬の吠え声や猫の夜鳴きは、ペットからのSOSサインです。その裏には、警戒心や要求、分離不安、ストレス、そして病気といった原因が隠されています。まずはその原因を探り、理解しようと努めることが解決への第一歩です。
そして、原因に合わせて「運動」「環境改善」「正しいしつけ」を組み合わせて実践してみてください。すぐに効果が出なくても、焦らずペットと向き合いましょう。どうしても改善しない場合は、便利なグッズや獣医・ドッグトレーナーといった専門家の力を借りることも有効な選択肢です。この記事が、あなたの悩みを解消し、愛するペットとの毎日をより穏やかで幸せなものにするための一助となれば幸いです。
よくある質問（FAQ）
Q1: 子猫の夜鳴きはいつまで続きますか？ A1: 新しい環境への不安や寂しさが原因で、通常は家に慣れる数週間から数ヶ月で自然に収まることがほとんどです。夜鳴きに応えて構いすぎると「鳴けば来てもらえる」と学習してしまうため、日中にたくさん遊び、寝る前にお腹を満たしてあげて、あとはぐっと我慢することも大切です。飼い主の匂いがついたタオルを寝床に入れてあげるのも効果的です。
Q2: 老犬が夜鳴きします。認知症かもしれませんが、どうすればいいですか？ A2: 老犬の認知症による夜鳴きには、まず動物病院での治療が最も効果を期待できます。 獣医に相談し、薬やサプリメントを処方してもらうことで症状が緩和されるケースが多くあります。ご家庭では、昼夜のメリハリをつけた生活リズムを整え、夜は静かで暗い環境を作るなど、犬の不安を取り除く環境改善を試みましょう。
Q3: マンション・アパート（賃貸）で簡単にできる防音対策はありますか？ A3: はい、賃貸でも壁や床を傷つけずにできる防音対策はたくさんあります。手軽なのは、窓に厚手の「遮音カーテン」を取り付けることです。また、ホームセンターなどで手に入る「吸音パネル」をケージの周りに立てかけたり、床に「防音マット」やコルクマットを敷いたりするだけでも、鳴き声の反響や足音を抑える効果が期待できます。
- 犬猫の鳴き声はSOSのサインであり、その原因を理解することが解決への最も重要な第一歩です。
- 原因を特定した上で、運動、環境改善、正しいしつけを組み合わせて実践しましょう。
- 効果が見られない場合は、防音グッズの利用や専門家（獣医、トレーナー）への相談を検討してください。
- 集合住宅では、近隣への配慮とトラブル時の冷静な対応が、穏やかな共生のために不可欠です。
- 愛するペットとの幸せな共生のため、焦らず根気強く向き合い、必要に応じて外部のサポートを活用しましょう。
初回公開日：2025年12月11日
記載されている内容は2025年12月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
