ペット可賃貸の探し方完全ガイド｜犬猫と快適に暮らせる物件選び・内見・契約・入居後マナー

失敗しない賃貸選びで、ペットとの理想の新生活をスタートさせましょう。

ペットと暮らせる賃貸物件を探し始めると、まず目にするのが「ペット可」と「ペット相談可」という言葉です。これらは似ているようで、実は大きな違いがあります。この違いを理解することが、スムーズな物件探しの第一歩となります。

「ペット可」物件は、その名の通り、ペットの飼育が許可されている物件です。大家さんや管理会社がペットと暮らすことを前提としているため、入居のハードルは比較的低いと言えます。

ただし、「何でもOK」というわけではなく、多くの場合、「小型犬1匹まで」「猫2匹まで」のように、飼育できるペットの種類、大きさ、頭数に関する規約が定められています。

ペット飼育を前提としているため、住民もペット好きであることが多く、お互いに理解がある環境で暮らせる可能性が高いのがメリットです。ただし、必ずしもペット用の設備が整っているとは限らないため、防音性や床材などは個別に確認しましょう。

「ペット相談可」物件は、「条件次第ではペットの飼育を検討します」というスタンスの物件です。もともとはペット飼育を想定していなかった物件が多く、大家さんや管理会社との交渉が必要になります。そのため、審査のハードルは「ペット可」物件よりも高くなるのが一般的です。

相談する際には、飼育したいペットの種類（犬か猫か）、大きさ（小型犬、大型犬など）、頭数、そしてしつけの状況などを具体的に伝える必要があります。大家さんによっては、ペットとの面会を求められるケースも。許可が下りた場合でも、鳴き声や臭いに関する厳しいルールや特約が契約に追加されることが多いです。時間はかかりますが、交渉次第では本来ペット不可の物件に入居できる可能性があり、選択肢が広がるというメリットがあります。

理想のペット可物件を見つけるためには、計画的にステップを踏んでいくことが重要です。やみくもに探し始めるのではなく、以下の5つのステップを参考に、効率よく物件探しを進めましょう。

まずは、ご自身が飼っている、あるいはこれから飼う予定のペットの条件を正確に把握しましょう。「犬なのか猫なのか」「サイズは小型犬か、中型犬・大型犬か」「頭数は1匹か、多頭飼いか」といった基本情報を整理します。特に大型犬や多頭飼いを希望する場合、物件数がかなり限られるため、早い段階で不動産会社に相談するのが賢明です。

次に、住みたいエリアと家賃の予算を決めます。ペット可物件は、通常の家賃に加えて、敷金や礼金が上乗せされることが一般的です。こうした追加費用も考慮して、無理のない予算設定をすることが大切です。

また、エリア選びでは、周辺環境のチェックも欠かせません。犬を飼うなら、散歩に使える公園や緑道、万が一の時に駆け込める動物病院の場所は重要なポイントになります。

条件が固まったら、不動産情報サイトで物件を検索します。ほとんどのサイトには「ペット可・相談可」の絞り込み条件がありますので、必ずチェックを入れましょう。物件情報を見る際は、間取りや家賃だけでなく、「備考欄」や「特記事項」も熟読してください。ここにペットに関する具体的なルール（「小型犬のみ可」など）が記載されていることが多いです。

サイトでの検索と並行して、不動産会社に直接相談することも非常に有効です。特にペット可物件に強い不動産会社なら、ウェブサイトに掲載されていない未公開物件を紹介してもらえる可能性もあります。相談する際は、ステップ1で整理したペットの情報を正確に伝え、重視したい条件（防音性、床材など）を具体的に話すことで、より希望に近い物件を効率的に探してもらえます。

残念ながら、ペット可物件の数は全体の賃貸物件の中で決して多くはありません。希望の条件に100%合致する物件がすぐに見つからないこともあります。しかし、「防音性は譲れないが、駅からの距離は少し妥協する」など、条件に優先順位をつけ、柔軟に考えることが必要です。根気強く探し、複数の物件を比較検討することで、最適な住まいがきっと見つかります。

気になる物件が見つかったら、次は内見です。ペットとトラブルなく快適に暮らすため、通常の内見とは異なる視点で部屋をチェックしましょう。

ペットに関する近隣トラブルで最も多いのが「音」の問題です。犬の鳴き声や走り回る足音は、隣人との関係悪化に繋がりかねません。

建物の構造は、木造や鉄骨造よりも、壁の厚い鉄筋コンクリート（RC）造や鉄骨鉄筋コンクリート（SRC）造の方が防音性に優れています。内見時には、壁を軽く叩いて音の響きを確認したり、窓が二重サッシになっているかなどもチェックしましょう。

一般的なフローリングは滑りやすく、ペットの足腰に大きな負担をかけ、脱臼やヘルニアの原因にもなります。また、爪で傷がつきやすく、退去時の原状回復で高額な費用を請求されるリスクも。

理想は、滑りにくくクッション性のある「クッションフロア」や、衝撃を吸収する「カーペット」敷きの物件です。フローリングの場合は、入居後に滑り止めワックスやペット用マットを敷くなどの対策を前提に考えましょう。

足音が気になる犬や多頭飼いの場合、階下への迷惑を考えずに済む1階の部屋は非常に魅力的です。専用庭付きなら、ミニドッグランとしても活用できます。

一方、猫を飼う場合は、脱走・転落事故の防止が最重要です。高層階を選ぶ際は、窓やベランダに脱走防止策を設置できるかを確認する必要があります。また、ペットが快適に過ごせるよう、日当たりや風通しの良さもチェックしましょう。

専有部分だけでなく、共用部分や周辺環境も重要です。エレベーターの同乗ルール（ケージ必須など）や、ペット用の足洗い場などの設備の有無を確認しましょう。

また、実際に周辺を歩いて、犬の散歩に適した公園はあるか、夜でも安心して歩けるか、そしてかかりつけにできそうな動物病院が近くにあるかも必ず確認してください。

最近では、「ペット共生型賃貸住宅」という、ペットと暮らすことを前提に設計された物件も増えています。防音性や滑りにくい床材はもちろん、ドッグランや足洗い場などの共用設備が充実しているのが特徴です。入居者全員がペットを飼っているため、お互いに理解があり、コミュニティを築きやすいという大きなメリットがあります。

理想の物件が見つかっても、契約で気を抜いてはいけません。後々のトラブルを避けるため、契約書は細部までしっかり確認しましょう。

ペット可物件では、追加の費用が発生することが一般的です。最も多いのが「敷金の上乗せ」で、通常1ヶ月分のところを2～3ヶ月分支払うケースが多く見られます。これは、ペットによる室内の傷や汚れ、臭いなどの修繕費用（原状回復費用）に充てるためです。物件によっては礼金や家賃が上乗せされる場合もあるため、契約前に費用の内訳を正確に確認しましょう。

契約時には、以下のペットに関する項目を特に注意深く確認してください。

少しでも疑問に思う点があれば、その場で必ず質問し、納得できるまで説明を求めましょう。

ペットがつけた柱の傷や壁紙のひっかき傷、床のシミ、染み付いた臭いなどは、通常の使用による損耗とは認められず、入居者の負担で修繕するのが原則です。

この原状回復の範囲は、契約書の特約に詳しく記載されています。どこまでが自己負担になるのかを契約時にしっかり理解しておくことが、退去時の敷金返還トラブルを防ぎます。対策として、入居時に部屋中の写真を撮り、もとからあった傷や汚れを記録しておくことを強くおすすめします。

無事に契約を終え、ペットとの新生活がスタート。共同住宅であることを忘れず、すべての住民が快適に暮らすためにマナーを守りましょう。

入居後の良好な関係を築くため、両隣と上下階の部屋には挨拶に行くのがおすすめです。「犬（猫）を飼っていますので、ご迷惑をおかけしたらおっしゃってください」と一言添えるだけで、心証は大きく変わります。ペットを飼っていることを事前に伝えておくのは、誠実な対応と言えるでしょう。

入居後は、騒音と臭いの対策を徹底しましょう。犬の無駄吠えはしつけで改善に努め、猫の夜間の運動会には防音マットを敷くなどの配慮が有効です。また、ペットのトイレはこまめに掃除し、消臭効果の高い製品を使うなど、臭いが室内にこもらないよう定期的な換気を心がけましょう。

廊下やエレベーターなどの共用部分を移動する際は、ペットを必ず抱きかかえるか、キャリーバッグやケージに入れるのが基本ルールです。絶対にリードだけで歩かせたり、排泄させたりしてはいけません。こうした細やかな配慮が、ペットと暮らす住民全体の信頼につながります。

Q1. 内緒でペットを飼うのはバレますか？

A1. 鳴き声、足音、臭い、他の住民からの通報など、様々な理由でほぼ確実に発覚します。明確な契約違反であり、違約金の請求や強制退去を求められる可能性があるため、絶対にやめましょう。

Q2. 多頭飼い可能な物件はどのように探せばいいですか？

A2. 物件数は限られますが、不動産情報サイトで「ペット相談可」「多頭飼い可」といったキーワードで検索するか、ペット可物件に強い不動産会社に直接相談するのが最も確実です。審査は厳しくなる傾向にありますが、正直に伝えて根気よく探すことが大切です。

Q3. 大型犬を飼える賃貸物件はありますか？

A3. 非常に少ないですが、ゼロではありません。郊外の戸建て賃貸や、大型犬の飼育を許可している特定のマンションなどで見つかる可能性があります。不動産会社に相談し、希望エリアを広げるなど、条件を柔軟に見直しながら探す必要があります。

ペット可物件探しは、通常の賃貸探しより手間がかかりますが、ポイントを押さえて計画的に進めれば、必ず理想の住まいを見つけられます。

この記事で解説した探し方とチェックポイントを参考に、あなたと大切な家族であるペットが、毎日を笑顔で快適に過ごせる素敵な住まいを見つけてください。