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【獣医師監修】犬の歯磨き嫌いを克服!やり方の全7ステップと代替グッズ

更新日:2025年12月11日

1分でわかるこの記事の要約 犬が歯磨きを嫌がる主な理由は、口周りの恐怖、過去の嫌な経験、歯ブラシや歯磨き粉への不快感です。 歯磨きを怠ると歯周病が進行し、心臓病などの全身疾患や高額な治療費につながるリスクがあります。 愛 […]
1分でわかるこの記事の要約
  • 犬が歯磨きを嫌がる主な理由は、口周りの恐怖、過去の嫌な経験、歯ブラシや歯磨き粉への不快感です。
  • 歯磨きを怠ると歯周病が進行し、心臓病などの全身疾患や高額な治療費につながるリスクがあります。
  • 愛犬に歯磨きを習慣化させるには、口周りに慣れさせ、ご褒美を使い、歯ブラシを楽しいものとして認識させる7ステップが有効です。
  • 歯ブラシが難しい場合は、歯磨きシート、液体歯磨き、歯磨きガム、おもちゃなどの代替グッズも活用しましょう。
  • 子犬は遊びの中で、成犬は焦らず、老犬は負担の少ない方法で、年齢に合わせたケアが重要です。

愛犬の歯磨きで、毎日奮闘していませんか?「歯ブラシを見ただけで逃げる」「口を固く閉じて開けてくれない」など、歯磨きを嫌がる犬は少なくありません。しかし、歯のケアを怠ると口臭や歯周病の原因となり、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。

この記事では、犬が歯磨きを嫌がる理由から、無理なく習慣化するための具体的なトレーニング方法、歯ブラシが苦手な子でも使えるおすすめの代替グッズまで、獣医のアドバイスを交えて徹底解説します。愛犬との信頼関係を壊さず、楽しくデンタルケアを続けるためのコツが満載です。


なぜ犬は歯磨きを嫌がるの?主な3つの理由

多くの飼い主を悩ませる犬の「歯磨き嫌い」。その原因を理解することが、克服への第一歩です。犬が歯磨きを嫌がるのには、主に3つの理由が考えられます。

1. 口周りを触られることへの恐怖や不快感

犬にとって、口や鼻周り(マズル)は非常にデリケートな部分です。本能的に触られることを嫌がるため、慣れていない物がいきなり口元に近づくと、強い恐怖や警戒心を感じます。歯磨きは、このデリケートな部分に「歯ブラシ」という異物を入れる行為。犬が不快に感じるのは自然なことです。まずは口周りを優しく触られることに慣れさせるトレーニングから始めましょう。

2. 過去の嫌な経験(無理やり押さえつけられたなど)

過去に歯磨きで嫌な思いをした経験があると、トラウマになり歯ブラシを見ただけで恐怖を感じるようになります。例えば、羽交い締めにして無理やり口を開けさせられた、歯茎を強く擦られて痛かった、などの経験です。犬は賢いため「歯ブラシ=嫌なことが起きる」と学習してしまいます。このネガティブなイメージを払拭するには、根気強いトレーニングと、「歯磨きは楽しいこと」というポジティブな経験の積み重ねが不可欠です。

3. 歯ブラシの感触や歯磨き粉の味が苦手

人間と同じように、犬にも歯ブラシの硬さや歯磨きジェルの味に好みがあります。歯ブラシが硬すぎて歯茎に当たると痛い、歯磨きジェルの味が気に入らない、といった理由で歯磨きを嫌がることがあります。特にミント系のフレーバーは苦手な子が多い傾向にあります。チキン風味やミルク風味など、犬が好む味の歯磨きジェルを選んだり、ヘッドが小さく毛の柔らかい歯ブラシに変えたりするだけで、受け入れてくれるケースも少なくありません。


犬の歯磨きをしないとどうなる?歯周病や口臭のリスク

「少しぐらい歯磨きしなくても大丈夫」と軽く考えていませんか?犬の口腔ケアを怠ることは、深刻な健康問題に直結します。

歯垢・歯石の蓄積と口臭の悪化

犬の口内はアルカリ性で、人間よりも歯石が付きやすい環境です。食べかすなどが歯に付着すると細菌が繁殖し「歯垢(プラーク)」になります。歯垢はわずか3~5日で石灰化し、硬い「歯石」に変わります。歯石になると、もう歯ブラシでは除去できません。歯垢や歯石は細菌の温床となり、強烈な口臭の原因になります。

歯周病の進行と全身への影響

歯垢の中の細菌が歯茎に炎症を起こすのが「歯肉炎」です。これを放置すると、炎症が歯を支える組織にまで広がり「歯周病」へと進行します。歯周病が進行すると、歯がグラグラになり、最終的には抜け落ちてしまいます。さらに怖いのは、歯周病菌が血管から全身に回り、心臓病、腎臓病、肝臓病といった命に関わる病気を引き起こす可能性があることです。3歳以上の犬の約80%が歯周病、またはその予備軍と言われており、日々のケアによる予防がいかに重要かがわかります。

治療にかかる身体的・金銭的負担

歯石がびっしり付いてしまった場合、動物病院で全身麻酔をかけて歯石除去(スケーリング)や抜歯などの処置が必要です。全身麻酔は、特に老犬や持病のある犬には身体的な負担が大きくなります。また、治療費も高額になりがちで、数万円から十数万円かかることも珍しくありません。毎日の少しの努力が、愛犬の健康と飼い主の経済的負担を軽減するのです。


【初心者向け】犬の歯磨き嫌いを克服!習慣化する7ステップ

ここからは、歯磨き嫌いを克服し、愛犬に歯磨きを好きになってもらうための具体的なトレーニング方法を7つのステップで紹介します。大切なのは「無理なく、少しずつ、楽しく」進めることです。

ステップ1:口周りを触る練習から始める(スキンシップ)

まずは歯ブラシを使わず、口周りを触られることに慣れさせます。愛犬がリラックスしている時に、優しく声をかけながら頬やあごの下を撫でましょう。嫌がったらすぐにやめ、受け入れてくれたら「いい子!」とたくさん褒めてご褒美をあげます。「口周りを触られる=良いことがある」と学習させることが目的です。

ステップ2:口の中に指を入れることに慣れさせる(ご褒美を活用)

ステップ1に慣れたら、次は唇をそっとめくり、歯や歯茎に優しく触れます。この時も無理強いは禁物です。指先に美味しい味の歯磨きジェルやペーストを少量つけておくと、犬は喜んで指を受け入れてくれます。最初は前歯から、慣れてきたら少しずつ奥歯へと範囲を広げましょう。

ステップ3:歯磨きシートやガーゼで歯を優しく擦る

指で触られることに抵抗がなくなったら、指に歯磨きシートや湿らせたガーゼを巻いて、歯の表面を優しく擦ってみます。歯ブラシよりも違和感が少ないため、スムーズに移行しやすい方法です。「もっとやりたい」と思わせるくらい短時間で切り上げ、終わったら必ず褒めてご褒美をあげましょう。

ステップ4:歯磨きジェルやペーストの味に慣れさせる

歯ブラシを使う前に、歯磨きジェルの味に慣れさせます。犬が好むチキン風味やビーフ風味などを選び、指につけて舐めさせてあげましょう。「これは美味しいものだ」と認識させることが、後の歯ブラシトレーニングを格段に楽にします。

ステップ5:歯ブラシを「おもちゃ」として認識させる

いきなり歯ブラシを口に入れるのではなく、まずは歯ブラシそのものに慣れさせます。歯ブラシに美味しい歯磨きジェルをつけ、「おもちゃだよ」という感覚で匂いを嗅がせたり、軽く噛ませたりして遊ばせます。これにより、歯ブラシに対する警戒心を解き、「歯ブラシ=楽しいもの」というポジティブなイメージを持たせます。

ステップ6:歯ブラシで歯を数本だけ磨いてみる(短時間から)

いよいよ歯ブラシで磨くステップです。最初は無理せず、犬歯など磨きやすい歯を1〜2本、数秒間だけ優しく磨くことから始めます。歯に対して45度の角度で歯ブラシを当て、歯と歯茎の境目を優しく擦るのが効果的です。ゴシゴシ力を入れる必要はありません。終わったら、盛大に褒めて特別なご褒美をあげましょう

ステップ7:少しずつ磨く範囲と時間を延ばしていく(毎日続けるコツ)

ステップ6ができたら、少しずつ磨く歯の本数と時間を増やします。今日は前歯、明日は右の奥歯、というように日によって場所を変えるのも良い方法です。完璧を目指すあまり犬が嫌がるようになっては元も子もありません。毎日少しずつでも続けることが、歯垢を歯石にしないための最も重要なポイントです。


歯ブラシが無理な犬へ。おすすめ代替デンタルケアグッズ4選

ステップを踏んでも歯ブラシを嫌がる子や、老犬などでケアが難しい場合は、無理強いせずに代替グッズを活用しましょう。

1. 歯磨きシート・指サックタイプ:手軽さNo.1!初心者向け

  • 手軽さNo.1!初心者向け: 指に巻いたり、はめたりして使うタイプ。飼い主の指の感覚で直接歯を触れるため力の加減がしやすく、犬も違和感を覚えにくいのがメリットです。歯の表面の歯垢を物理的に拭き取れますが、歯周ポケットの汚れまでは落としきれません。

2. 液体歯磨き・スプレータイプ:飲み水に混ぜるだけの手軽ケア

  • 飲み水に混ぜるだけ: 飲み水に混ぜたり、口にスプレーしたりするだけで口腔ケアができるアイテムです。口内環境を整え、口臭を抑える成分が含まれているものが多く、歯磨きとの併用も効果的。物理的に歯垢を落とす力はないため、補助的なケアとして有効です。

3. 歯磨きガム:おやつ感覚で歯垢を除去

  • VOHC認定マーク: 噛むことで歯の表面の歯垢を物理的にこすり落とす効果が期待できる人気アイテムです。選ぶ際は、愛犬の口のサイズに合った大きさ・硬さで、VOHC(米国獣医口腔衛生協議会)の認定マークがついている製品が、効果の面で信頼性が高くおすすめです。カロリーオーバーには注意しましょう。

4. 歯磨きおもちゃ:遊びながらデンタルケア

  • 遊びながらデンタルケア: ロープ状や凹凸のあるゴム製のおもちゃも、遊びながら歯の表面を綺麗にする効果があります。犬が夢中になって噛むことで自然と歯垢が除去されます。溝に歯磨きジェルを塗って与えるとさらに効果的です。破損による誤飲を防ぐため、必ず飼い主の目の届く範囲で遊ばせましょう。

【年齢別】犬の歯磨きトレーニングのコツ(子犬・成犬・老犬)

歯磨きケアは、犬の年齢によってもアプローチのコツが異なります。

  • 子犬の場合:様々な刺激に慣れやすい「社会化期」に歯磨きを経験させると、成犬になっても受け入れやすくなります。乳歯が生え揃う生後3ヶ月頃から、遊びの一環としてトレーニングを始め、「歯磨きは楽しいこと」と覚えさせましょう。
  • 成犬(すでに歯磨き嫌いな場合):焦りは禁物です。歯ブラシへの悪いイメージを払拭するため、前述の7ステップを時間をかけて一つ一つ丁寧に進めましょう。飼い主がリラックスして向き合うことが克服への近道です。
  • 老犬(シニア犬)の場合:体力や集中力が低下しているため、長時間の歯磨きは負担になります。歯周病が進行している可能性もあるため、痛みを与えないよう、歯磨きシートや液体歯磨きなど負担の少ないグッズも活用し、愛犬の体調を最優先しましょう。

犬の歯磨きに関するFAQ

Q1: 犬の歯磨きの頻度は?毎日必要?

A1: 理想は毎日です。犬の歯垢が歯石に変わるスピードは3~5日と非常に速いため、最低でも2~3日に1回は歯磨きをしてあげるのが望ましいです。毎日少しずつでも継続することが、健康な口内環境を維持する鍵です。

Q2: 歯磨きを嫌がって噛むときはどうすればいい?

A2: 噛む素振りは「やめてほしい」という犬からの強いサインです。無理に続けると信頼関係が崩れるため、すぐに中断してください。トレーニングのステップを一つ前に戻したり、ご褒美をもっと魅力的なものに変えたりする対策が必要です。あまりに攻撃的な場合は、無理せずドッグトレーナーや獣医師に相談しましょう。

Q3: 人間用の歯磨き粉は犬に使っても大丈夫?

A3: 絶対に使用しないでください。人間用の歯磨き粉には、犬に有害なキシリトールや発泡剤が含まれています。犬はうがいができないため、飲み込むと中毒などを引き起こす危険があります。必ず犬専用の安全な製品を使用してください。

Q4: 犬の歯石は歯磨きで取れる?

A4: 一度付いてしまった歯石は、家庭での歯磨きでは除去できません。無理に取ろうとすると歯や歯茎を傷つけます。歯石が付いている場合は、まず動物病院で獣医師に相談し、専門的な処置(全身麻酔下でのスケーリングなど)を検討してください。歯石除去後に、日々のケアで再付着を予防することが大切です。


まとめ:愛犬との信頼関係を深めながら、楽しい歯磨き習慣を

犬の歯磨き嫌いの克服は、一朝一夕にはいきません。大切なのは、飼い主が焦らず、愛犬の気持ちに寄り添い、楽しいコミュニケーションの時間として捉えることです。無理強いはせず、「少しずつ、でも毎日」を目標に、根気強く続けていきましょう。

歯ブラシでのケアが理想ですが、難しい場合は歯磨きシートやガムなど、愛犬に合った方法でケアを始めることが歯周病予防の第一歩です。この記事を参考に、ぜひ今日から愛犬とのデンタルケアを見直してみてください。困ったときは一人で悩まず、かかりつけの獣医師に相談することも忘れないでください。正しいケアで、愛犬の健康で幸せな毎日を守りましょう。

この記事のまとめ
  • 犬の歯磨き嫌い克服には、焦らず愛犬の気持ちに寄り添い、楽しいコミュニケーションとして取り組むことが大切です。
  • 無理強いはせず、口周りに慣れさせる練習から始め、ご褒美を使いながらポジティブな経験を積み重ねましょう。
  • 歯ブラシが難しい場合でも、歯磨きシートやガムなど、愛犬に合った代替ケアを毎日続けることが歯周病予防の第一歩です。
  • 定期的な口腔ケアは愛犬の健康を長く保つために不可欠であり、困った際は獣医師に相談しましょう。
  • 愛犬との信頼関係を深めつつ、今日からデンタルケアを見直し、健康で幸せな毎日を守りましょう。

初回公開日:2025年12月11日

記載されている内容は2025年12月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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