初心者でも安心!ハリネズミを飼う前に知っておくべき6つのこと
更新日:2025年11月08日
小さくて愛らしい見た目、つぶらな瞳、背中の針を丸めるユニークな姿。ハリネズミは近年ペットとして絶大な人気を誇ります。その魅力に惹かれ、「ハリネズミを家族に迎えたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、その可愛さの裏には、犬や猫とは全く異なる繊細な生態と特有の飼育の難しさがあります。準備不足で飼い始めると、「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうかもしれません。
この記事では、ハリネズミの飼育を検討している初心者の方に向けて、飼う前に必ず知っておくべき6つの重要なポイントを網羅的に解説します。
この記事でわかること
- ハリネズミの性格や寿命などの基本情報
- 飼育に必要なものと初期費用・月々の費用
- 命に関わる最重要ポイント「温度管理」の方法
- おすすめの餌や与えてはいけない食べ物
- 毎日のお世話と仲良くなるためのコツ
- かかりやすい病気や病院選びの注意点
準備を万全にして、ハリネズミとの素敵な生活をスタートさせましょう。
1. ハリネズミはどんな動物?性格・寿命・種類を知ろう
まず、ハリネズミがどのような動物なのか、基本的な生態や特徴を理解することが飼育成功への第一歩です。見た目の可愛さだけでなく、彼らの性質を深く知ることで、より良い関係を築けます。
ハリネズミの生態と特徴(夜行性で臆病)
ハリネズミの最大の特徴は「夜行性」であることです。野生では夜間に活動し、昆虫などを捕食します。そのためペットのハリネズミも、昼間はほとんど寝床で眠っており、飼い主が活動する時間帯とは生活リズムが逆になります。夜になると活動を始め、回し車で走ったり、餌を探したりします。
性格は非常に臆病で警戒心が強い個体が多いです。物音や急な動きに驚くと、すぐに体を丸めて針を立てます。この針は身を守るための武器であり、無理に触ろうとすると怪我をすることもあるため注意が必要です。
寿命は一般的に3年~5年ほどですが、適切な飼育環境で健康に育てば8年以上生きることもあります。短い命だからこそ、最後まで責任を持って愛情を注ぐ覚悟が必要です。日本でペットとして飼育されているのは、ほとんどが「ヨツユビハリネズミ」という種類です。
飼育のメリット・デメリット
ハリネズミの飼育には、他のペットにはない魅力がある一方で、大変な面も存在します。飼う前に両方を理解しておきましょう。
メリット
- 鳴き声がほとんどないため、集合住宅でも飼いやすい
- 犬のような散歩は不要
- 飼育スペースが比較的小さくて済む
- 正しく掃除すれば臭いが少ない
デメリット
- 夜行性のため、夜中の活動音が気になる場合がある
- 温度管理が必須で、一年中エアコンやヒーターが必要(電気代がかかる)
- 病気の症状が分かりにくく、発見が遅れがち
- 臆病な性格のため、必ずしも人になつくとは限らない
2. ハリネズミの飼育に必要なものリストと費用
ハリネズミを迎えることが決まったら、快適な飼育環境を整える準備を始めましょう。ここでは、最低限必要な用品とその選び方、そして気になる初期費用と月々の費用について解説します。
【必須】最初に揃えるべき飼育用品一覧
ハリネズミの生活の基盤となる用品です。ペットショップや専門店、通販サイトなどで購入できます。
- ケージ:幅60cm×奥行45cm以上を推奨。足を挟む危険がある金網タイプは避け、アクリル製やガラス製の水槽、底がプラスチックのものが安心です。脱走防止に蓋がしっかり閉まるものを選びましょう。
- 寝床(ハウス):安心して眠れる隠れ家は必須です。木製、陶器製、布製などがあります。掃除のしやすさも考慮して選びましょう。
- 床材:アレルギーの少ないコーンリターやペーパーチップ、広葉樹のチップが一般的です。アレルギーを引き起こす可能性がある針葉樹チップは避けましょう。
- 回し車:運動不足やストレス解消に不可欠。足を引っ掛ける隙間がないサイレントタイプで、直径30cm程度の大きさが目安です。
- 餌・水入れ:重さがあり、ひっくり返しにくい陶器製がおすすめです。水入れは給水ボトルも便利ですが、お皿から飲むことを好む子もいます。
- トイレと砂:ケージの隅に設置するとそこで排泄することがあります。ただし、しつけは難しく覚えない個体も多いです。
【重要】健康を守るための飼育環境アイテム
ハリネズミの健康を守るため、以下の用品も必ず準備しましょう。
- 温度・湿度計:ケージ内の環境を常に把握するために必須。デジタル式が見やすいです。
- ヒーター:冬の温度管理に不可欠。ケージの下に敷くパネルヒーターや、上から温める「暖突(だんとつ)」などを組み合わせ、適温を保ちます。
- 夏場の冷却グッズ:基本はエアコンでの24時間管理ですが、補助的に大理石やアルミのプレートを設置するのも良いでしょう。
初期費用と月々の費用の目安
ハリネズミを飼い始める際に、どれくらいの費用がかかるのかを把握しておくことは大切です。
- 初期費用:合計 約5万円~9万円
- 生体代:2万円~4万円(ペットショップやブリーダーによる)
- 飼育用品一式:3万円~5万円
- 月々の費用:約3,000円~5,000円 + 電気代
- 餌代、床材代、消耗品代など
- 夏・冬はエアコンやヒーターの電気代が加わります。
この他に、予期せぬ病気や怪我に備え、動物病院での治療費も考慮しておきましょう。エキゾチックアニマル対応のペット保険(アニコムなど)への加入も選択肢の一つです。
3. ハリネズミの飼育で最も重要な「温度・湿度管理」
ハリネズミの飼育において、最も重要で命に直結するのが「温度管理」です。野生のハリネズミが生息する地域は年間を通して温暖なため、日本の四季の変化に対応できる体をしていません。飼い主が責任を持って、常に快適な環境を維持する必要があります。
ハリネズミに最適な温度と湿度
ハリネズミにとっての適温は24℃~29℃、湿度は40%前後と言われています。この範囲を外れると体調を崩しやすく、命の危険に晒されることもあります。
特に注意が必要なのが低温です。気温が20℃を下回ると、ハリネズミは「疑似冬眠」に陥ることがあります。これは野生動物の冬眠とは異なり、そのまま死に至る可能性が非常に高い危険な状態です。逆に、30℃を超える高温では夏眠や熱中症のリスクが高まります。
【季節別】温度管理の具体的な方法(夏・冬)
日本の四季に合わせて、適切な対策を講じましょう。
- 冬の対策
エアコンでの室温管理を基本とし、ペット用ヒーターを併用します。パネルヒーターをケージの半分程度に敷き、暖かい場所と涼しい場所を作ってあげるのが理想です。ケージを毛布や断熱シートで覆うと保温効果が高まります。サーモスタットで温度を自動管理するとさらに安心です。
- 夏の対策
エアコンを24時間稼働させ、室温が30℃を超えないように徹底管理します。直接風が当たらないように注意してください。旅行などで家を空ける際も、絶対にエアコンを切ってはいけません。タイマー機能を活用するか、ペットホテルに預けるなどの対策が必要です。
温度管理はハリネズミの健康を守る、飼い主の最も重要な務めです。
4. ハリネズミの餌(フード)の選び方と与え方
健康な体を作る基本は毎日の食事です。ハリネズミの食性を理解し、栄養バランスの取れた餌を与えることが長生きの秘訣です。
主食はハリネズミ専用フードが基本
主食には、ハリネズミ専用のフードを与えましょう。ドッグフードやキャットフードで代用するケースもありますが、ハリネズミが必要とする栄養素が最適に配合されている専用フードが最も安全です。
フードを選ぶ際は、高タンパク質・低脂肪であることがポイント。昆虫食性のため動物性タンパク質を多く必要とします。成分表示を確認し、タンパク質が30%以上、脂肪が15%以下のものを選ぶと良いでしょう。複数のフードを混ぜて与えると、栄養の偏りを防げます。
ベビーや高齢のハリネズミには、フードをお湯でふやかしてペースト状にすると食べやすくなります。
おやつに与えても良いもの・ダメなもの
スキンシップやご褒美としておやつを与えるのも効果的です。
- 与えても良いおやつ
- ミルワーム、コオロギなどの昆虫(生餌、乾燥、缶詰)
- 少量なら:リンゴ、梨、茹でたササミ、卵黄、カッテージチーズなど
- 与えてはいけない食べ物
- チョコレート、ネギ類、アボカド、ぶどう、ナッツ類など(中毒の危険)
糖分や脂肪分の多いものは肥満の原因になるため、与えすぎには注意が必要です。
餌の量と頻度の目安
餌やりは、ハリネズミが活動を始める夜の時間帯に1日1回が基本です。与える量の目安は体重の5%程度ですが、個体の年齢や活動量によって変わります。
毎日体重を測り、増減を見ながら餌の量を調整するのが最も確実です。食べ残しが多いなら減らす、体重が減り続けるなら増やすなど、その子に合った量を見つけてあげてください。肥満は病気のリスクを高めるため、特に注意が必要です。
5. ハリネズミの毎日のお世話とコミュニケーションのコツ
ハリネズミとの生活を豊かにするためには、毎日のお世話と根気強いコミュニケーションが欠かせません。彼らの習性を理解し、ストレスを与えないように接することが大切です。
毎日のお世話ルーティン(掃除・健康チェック)
健康で快適な日常を守るために、毎日欠かさず行いたいお世話です。
- 餌と水の交換:食べ残しは処分し、毎日新鮮なものを用意します。
- トイレの掃除:フンやオシッコで汚れた床材はその都度取り除きます。
- ケージ全体の掃除:床材の全交換は週に1回程度が目安です。
- 健康チェック:体重測定を習慣にし、食欲、フンの状態、体に異常はないか、歩き方などを毎日観察します。
ハリネズミは体調不良を隠す習性があるため、飼い主が些細な変化に気づくことが早期発見に繋がります。
ハリネズミと仲良くなるには?上手な慣らし方
ハリネズミを慣らすには、焦りは禁物です。彼らのペースに合わせて距離を縮めましょう。
- 臭いを覚えてもらう:飼い主の臭いがついた手袋や布をケージに入れておきます。
- 手からおやつをあげる:「この手は怖くない」と認識してもらうのが目的です。
- 優しく抱き上げる:慣れてきたら、下からすくうように持ち上げます。リラックスすると針を寝かせてくれます。
時折見せる「アンティング」という、泡立てた唾液を背中の針に塗りつける不思議な行動は、初めての臭いに対して行うものです。驚かずに見守ってあげましょう。大切なのは、ハリネズミが嫌がることを無理強いしないことです。
6. ハリネズミを飼う上での注意点|かかりやすい病気と病院選び
最後に、ハリネズミを飼育する上で特に注意すべき病気や、いざという時の備えについて解説します。
注意すべきハリネズミ特有の病気
ハリネズミはデリケートで、様々な病気にかかる可能性があります。
- ダニ症:フケが増えたり、体をかゆがったり、針が抜けたりします。放置すると貧血などを起こすため早期治療が必要です。
- 歯周病:口臭がひどくなる、食欲が落ちるなどの症状が見られます。
- 腫瘍:高齢のハリネズミに多く見られます。体に普段はないしこりを見つけたら、すぐに病院へ。
- WHS(ふらつき症候群):後ろ足から麻痺が進行していく原因不明の神経系の病気。有効な治療法は確立されていません。
これらの兆候を見逃さないためにも、日々の健康チェックが何よりも重要です。
診察可能な動物病院を事前に探しておく
ハリネズミのようなエキゾチックアニマルを専門的に診てくれる動物病院は、犬猫の病院に比べて数が限られています。ハリネズミを飼う前に、通える範囲に信頼できる病院があるか必ずリサーチしておきましょう。
事前に電話でハリネズミの診療が可能か問い合わせておくと安心です。
ハリネズミのしつけはできる?
犬や猫のような完璧なしつけは難しいですが、トイレの場所はある程度覚えてくれる可能性があります。ケージの隅など決まった場所にトイレを設置し、臭いがついた床材を少し入れておくと、そこをトイレとして認識しやすくなります。
個体差が大きいため、覚えない子もいることは理解しておきましょう。
まとめ:正しい知識と愛情でハリネズミとの暮らしを楽しもう
ここまで、ハリネズミを飼う前に初心者が知っておくべき6つのポイントを解説しました。
- 生態の理解:夜行性で臆病な性格などを理解する。
- 用品と費用の把握:ケージやヒーターなど必要なものを揃え、費用を把握する。
- 温度管理の徹底:適温(24℃~29℃)を一年中維持する。
- 適切な食事:栄養バランスの取れた専用フードを与える。
- 日々のお世話:毎日の掃除や健康チェックを欠かさず、根気よく接する。
- 万が一への備え:かかりやすい病気を知り、事前に動物病院を探しておく。
ハリネズミは、ただ可愛いだけのペットではありません。繊細で、手間も費用もかかる、一つの大切な命です。飼育するとは、その命のすべてに責任を持つということです。
この記事で紹介した内容をしっかり理解し、最後まで愛情を注ぐ覚悟ができたなら、ぜひハリネズミをあなたの新しい家族として迎えてあげてください。万全の準備と深い愛情があれば、きっとかけがえのない素晴らしいパートナーになってくれるはずです。
初回公開日:2025年11月06日
記載されている内容は2025年11月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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