【完全ガイド】ハリネズミの飼い方|初心者向けに準備から費用、なつかせ方まで徹底解説
更新日:2025年11月08日
- ハリネズミはデリケートな夜行性動物で、臆病ですが時間をかければなつくことがあります。
- 飼育には初期費用5~10万円、月々3千~5千円が必要で、特に温度管理は命に関わる重要な要素です。
- ケージは幅60cm以上、回し車は直径30cm以上を選び、高タンパク・低脂肪の専用フードを与えましょう。
- 適温24〜29℃の維持が必須で、冬はパネルヒーターと暖突、夏はエアコンで徹底的に管理します。
- お迎え後は静かな環境で慣らし、毎日のお手入れと定期的な健康チェックを怠らないようにしましょう。
つぶらな瞳とたくさんの針がチャームポイントのハリネズミ。その可愛らしい姿からペットとして人気が高まっていますが、実はとてもデリケートな生き物です。初めてハリネズミの飼育を考える初心者の方は、何から準備すれば良いのか、日々の飼い方はどうすれば良いのか、不安なことも多いでしょう。
この記事では、ハリネズミを初めてお迎えする方に向けて、必要なものから飼育の注意点、費用、なつかせ方まで、知っておくべき情報を網羅的に解説します。 正しい知識を身につけ、ハリネズミとの素敵な生活をスタートさせましょう。
ハリネズミをお迎えする前に知っておきたい基礎知識
ハリネズミとの暮らしを始める前に、彼らの生態や飼育にかかる費用について理解しておくことが大切です。見た目の可愛さだけでなく、生き物としての特性を学び、最後まで責任を持って飼育できるか考えましょう。
ハリネズミの生態と特徴
現在、日本でペットとして飼育されているハリネズミのほとんどは「ヨツユビハリネズミ」という種類です。その名の通り、後ろ足の指が4本なのが特徴です。野生ではアフリカのサバンナに生息しており、夜になると活動を始める夜行性の小動物です。そのため、飼育下でも昼間は隠れ家で眠り、夜になると活発に動き回ります。
性格は非常に臆病で警戒心が強く、驚くと体を丸めて針を立てて威嚇します。しかし、時間をかけてゆっくりと信頼関係を築くことで、手から餌を食べたり、抱っこさせてくれたりすることもあります。この「なつく」までの過程もハリネズミ飼育の醍醐味の一つですが、個体差が大きいため、焦らずその子のペースに合わせることが重要です。
ハリネズミの寿命は平均して5年から8年ほどと言われています。犬や猫と同じように、長い時間を共にする家族の一員となります。お迎えする前に、この先のライフプランも考慮し、最後まで愛情を持って世話ができるかしっかりと考える必要があります。
ハリネズミの飼育にかかる初期費用と月々の費用
ハリネズミの飼育を始めるには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
ハリネズミ飼育にかかる費用目安
- 初期費用(合計:約5万円~10万円)
- 生体価格:2万円~5万円
- 飼育用品一式:3万円~5万円(ケージ、回し車、隠れ家、給水器、食器、床材、パネルヒーター、暖房器具など。初心者向けの「飼育セット」も便利です。)
- 月々の費用(合計:約3,000円~5,000円+α)
- 消耗品:3,000円~5,000円(ハリネズミフード、床材、おやつなど。)
- その他:光熱費(特に冬場の暖房費)、動物病院のための積立金(万が一の病気や怪我に備えて)
健康管理は飼い主の重要な責任です。予期せぬ出費に備えておくことが大切です。
ハリネズミの飼育に必要なもの一覧【初心者向け】
ハリネズミが快適に暮らすためには、適切な飼育環境を整えることが不可欠です。ここでは、お迎え前に必ず準備しておきたい必要なものについて、選び方のポイントと共に詳しく解説します。
【最重要】ケージの選び方とおすすめレイアウト
ハリネズミにとってケージは生活のすべてとなる大切な空間です。
- サイズ:最低でも幅60cm×奥行45cm以上。理想は幅90cm程度あると運動スペースも確保できます。
- 種類:
- アクリル・ガラス製:保温性に優れ、観察しやすいため初心者におすすめ。
- 金網タイプ:通気性は良いですが、足を引っ掛けたり落下したりする怪我のリスクがあるため注意が必要です。
ケージレイアウトの基本は、ハリネズミが安心して過ごせる環境を作ること。「隠れ家」「回し車」「食器」「給水器」「砂浴び場」を必ず設置し、静かなスペースと運動スペースを分けてあげると良いでしょう。ハリネズミの快適さと安全性を最優先に考えてください。
快適な環境を作る床材の選び方
床材は、ハリネズミの足裏を保護し、ケージ内を清潔に保つ重要な役割を担います。アレルギーのリスクが少なく、吸湿性・消臭性に優れた素材を選びましょう。
おすすめ・避けるべき床材
- おすすめの床材:
- コーンリター: 誤飲しても比較的安全で、ホコリが立ちにくい。
- 広葉樹のチップ: アレルギー性が低い。
- 避けるべき床材:
- 針葉樹(スギ・マツ)チップ: アレルギーや呼吸器疾患の原因になる可能性。
- ペットシーツのみの使用: 中のポリマーを誤飲する危険性があるため、他の床材の下に敷くなど工夫が必要。
必須の飼育用品:回し車・隠れ家・食器・給水器
主要飼育用品の選び方
- 回し車: 運動不足解消に必須。足が引っかからないよう走行面に隙間がないタイプで、静音性の高いものがおすすめです。背骨を痛めないよう、直径30cm以上の大きいサイズを選びましょう。
- 隠れ家: 臆病なハリネズミが安心して眠れる場所。ストレス軽減に不可欠です。掃除しやすく、中が暗くなるものを選びます。
- 食器: ひっくり返しにくい、重さのある陶器製がおすすめです。
- 給水器: 衛生的なボトルタイプと飲みやすい置き型タイプがあります。お迎えする子の様子を見ながら最適なものを選びましょう。
ハリネズミの健康を守る最重要ポイント:温度管理
ハリネズミの飼育において、温度管理は最も重要であり、命に直結します。原産地がアフリカのため寒さに非常に弱く、適切な温度を維持できないと深刻な健康問題を引き起こします。
ハリネズミの適温は24〜29℃!
ハリネズミにとって快適な温度は、年間を通して24℃~29℃です。この適温を常に維持することが健康管理の基本です。
- 低温のリスク:気温が20℃を下回ると、低体温症から擬似冬眠に陥る危険があります。ペットのヨツユビハリネズミにとって冬眠は命を落とす原因となるため、冬眠対策は必須です。
- 高温のリスク:30℃を超える高温環境も熱中症や夏眠のリスクがあり危険です。
ケージ内には必ず温度計と湿度計を設置し、飼い主の体感ではなく数値で正確に管理しましょう。
冬の保温対策:パネルヒーターと暖突(だんとつ)
冬場の保温は、複数のアイテムを組み合わせて行います。
- 部屋全体の保温:エアコンで24時間、室温を24℃以上に保ちます。
- ケージ内の補助保温:
- パネルヒーター:ケージの底の半分程度に敷き、ハリネズミが自分で暖かい場所と涼しい場所を選べるようにします。
- 暖突(だんとつ):ケージの上部から遠赤外線で全体をじんわり暖める保温ヒーター。
ペットヒーターを使用する際は、コードをかじられないように保護する、火傷しないように設置場所に気をつけるなど、安全対策を徹底してください。
夏の暑さ対策:エアコンと冷却グッズ
夏場もエアコンによる24時間管理が基本です。室温が30℃を超えないようにしましょう。外出時もエアコンはつけたままにしてください。
エアコンの冷風が直接当たらないよう注意しつつ、補助的に大理石プレートやアルミプレートなどの冷却グッズを設置するのも効果的です。
ハリネズミの餌の与え方|種類・量・注意点を解説
毎日の食事は、ハリネズミの健康を維持するための基本です。栄養バランスの取れた食事を適切な量与えることが、長生きの秘訣です。
主食はハリネズミ専用フード(ペレット)
ハリネズミの主食は、総合栄養食であるハリネズミ専用フードです。彼らは食虫動物なので、高タンパク・低脂肪なフードが理想です。キャットフードでの代用は脂肪分が多すぎることがあるため、できるだけ専用フードを選びましょう。
与える量は1日に体重の5%程度が目安ですが、年齢や活動量に応じて調整が必要です。毎日体重を測り、体型を管理しましょう。餌は夜行性の活動時間に合わせて、夜に与えるのが基本です。
ふやかしは必要?餌の量の調整方法
お迎えしたばかりのベビーや食欲がない個体、高齢のハリネズミには、ペレットをぬるま湯でふやかして与えると食べやすくなります。
ただし、ふやかした餌は傷みやすいため、食べ残しはすぐに片付けましょう。健康な成体には、歯の健康のためにもドライのまま与えるのが一般的です。
おやつ(副食)の種類と与える際の注意点
おやつはコミュニケーションに役立ちますが、与えすぎは肥満や偏食の原因になります。主食の栄養を妨げないよう、ごく少量に留めましょう。
おやつについて
- おすすめのおやつ: ミルワーム、コオロギなどの昆虫、少量のリンゴやバナナ、茹でたササミなど。
- 与えてはいけない食べ物: タマネギ、ニラ、ニンニク、チョコレート、アボカドなど。これらは中毒を引き起こすため絶対に与えないでください。
ハリネズミとの暮らし:お迎え初日から慣らし方、日々のお手入れ
臆病なハリネズミにとって、新しい環境は大きなストレスです。焦らず、ゆっくりと信頼関係を築いていきましょう。
お迎え初日にやることと注意点
お迎え初日は、何よりも静かな環境でそっと見守ることが最優先です。ケージに餌と水を用意したら、布をかけるなどして暗く静かな状態にし、環境に慣れてもらいましょう。
可愛いからとすぐに触ったり、ケージから出したりするのは絶対にやめてください。 最初の数日間は、必要最低限のお世話に留め、ハリネズミが示すストレスサイン(体を丸めたまま動かない、威嚇音を出すなど)を見逃さないようにしましょう。
臆病なハリネズミの慣らし方【3ステップ】
ハリネズミと仲良くなるには、焦らず段階を踏むことが「なつく」ための秘訣です。
- 【ステップ1】匂いを覚えてもらう
- 飼い主が使ったフリースの切れ端などを隠れ家に入れ、安心して眠りながら匂いに慣れてもらいます。
- 【ステップ2】手からおやつを与える
- ピンセットなどを使い、手からおやつを与えます。「飼い主の手は安全」と認識してもらうのが目的です。
- 【ステップ3】優しく抱き上げる
- 下からそっと両手ですくい上げるように持ち上げます。最初は針を立てても、根気強く続けることでリラックスしてくれるようになります。その子のペースに合わせて、決して無理強いはしないでください。
日々のお手入れと健康管理
- 毎日行うこと:
- 餌と水の交換
- フンや尿で汚れた部分の床材の掃除
- 食欲やフンの状態などの健康チェック
- 週に1回程度:
- ケージ全体の掃除(床材の全交換、用品の洗浄)
- 定期的に行うこと:
- 砂浴び(体の汚れや皮脂を落とすため)
- 爪切り(伸びすぎると怪我の原因に。難しい場合は動物病院へ)
ハリネズミの病気と注意点|もしもの時のために
万が一の時に備えて、知識を身につけ、準備をしておくことが飼い主の責任です。
ハリネズミがかかりやすい病気
日々の健康チェックで少しでも異変を感じたら、すぐに専門医に相談しましょう。
- ダニ症:激しいかゆみ、フケ、針が抜けるなどの症状。早期発見・治療が重要です。
- 歯周病:硬いものを食べないと歯石がたまりやすい。
- 腫瘍:高齢の個体に多く見られます。
- WHS(ハリネズミふらつき症候群):原因不明の神経疾患。
- 低体温症:温度管理を怠ると命に関わる緊急事態になります。
信頼できる動物病院を見つけておく
ハリネズミのようなエキゾチックアニマルを診てくれる動物病院は数が限られます。お迎えする前に、必ず通える範囲の動物病院をリサーチしておきましょう。 いざという時に慌てないよう、連絡先や診療時間を控えておくと安心です。年に1回は健康診断に連れて行くことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1: ハリネズミは夜行性でうるさいですか?対策は? A1: ハリネズミ自身の鳴き声は小さいですが、夜中の回し車の音が気になる場合があります。静音性に優れた回し車を選ぶのが最も効果的です。ケージを寝室と別の部屋に置くなどの工夫も良いでしょう。
Q2: ハリネズミは臭いますか? A2: ハリネズミ自体に強い体臭はほとんどありません。臭いの主な原因は排泄物です。ケージの掃除をこまめに行うことで、臭いは大幅に抑えられます。消臭効果のある床材もおすすめです。
Q3: 多頭飼いはできますか? A3: ハリネズミは単独行動する生き物で縄張り意識も強いため、多頭飼いには向きません。喧嘩をしてお互いを傷つける可能性が非常に高いため、1つのケージに1匹で飼育してください。
まとめ
ハリネズミの飼育は、温度管理や食事、ストレスへの配慮など、注意すべき点が多く簡単ではありません。しかし、彼らの生態を正しく理解し、愛情を持って丁寧にお世話をすれば、かけがのないパートナーとなってくれる魅力的な動物です。
この記事で紹介した飼い方のポイントを参考に、お迎えの準備を万全に整えてください。臆病なハリネズミが少しずつ心を開いてくれる過程は、飼い主にとって大きな喜びとなるはずです。これから始まるハリネズミとの素敵な毎日を、ぜひ楽しんでください。
- ハリネズミ飼育は温度管理、食事、ストレス配慮が重要であり、正しい知識と愛情が不可欠です。
- 臆病な生態を理解し、お迎え準備を万全に整えることで、かけがえのないパートナーとなってくれます。
- 焦らずゆっくりと信頼関係を築く過程を楽しみ、長期的な視点での責任を果たすことが大切です。
- この記事で紹介したポイントを参考に、ハリネズミとの素敵な毎日をスタートさせましょう。
- 異常を感じた際はすぐに専門医に相談できるよう、事前に動物病院をリサーチしておくことが重要です。
初回公開日:2025年11月08日
記載されている内容は2025年11月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。