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チンアナゴは引っこ抜くことはできる?生態や種類についても紹介

更新日:2024年02月27日

イラストなどで一躍ブームとなったチンアナゴですが砂の中の姿やその生態について知らない方は多いでしょう。この記事ではユニークな見た目のチンアナゴの特殊で魅力的な生態の全貌を紹介いたします。ペットとしての飼育も考えている方は是非読んで参考にしてみてください。

チンアナゴは引っこ抜くことはできる?生態や種類についても紹介

チンアナゴの名前の由来

チンアナゴの和名の由来はなにかと聞かれると、少し考えてしまうか彼らの容姿や性質の特殊さを多少なり知っている人だと、もしかしたら変わった魚だから珍アナゴという意味でついているのではないかと、推察する人もいるかもしれません。

しかし、チンアナゴの和名の由来は、狆という種類の犬の名前からきています。狆という犬は顔が平たく目が大きい垂れ耳の小型犬ですが、目と目が離れていて大きくとぼけた顔をしているチンアナゴと犬である狆の顔が似ているということでその名が付けられたというのです。

和名でも驚くような面白い名前の付けられ方をしているチンアナゴは英名だとどうなのか是非チェックしてみてください。

チンアナゴの英語での名前

チンアナゴは英語でspotted garden eelと呼ばれています。これを改めて日本語に直訳するとまだら模様の庭ウナギとなりますが、まだら模様は容姿を表しているとして、庭ウナギの語源は一体どこからきたのでしょう。

チンアナゴは名の通りアナゴの仲間と先述しましたが細かい分類を見ていくと、ウナギ目アナゴ科チンアナゴ亜科チンアナゴ属とされています。海水魚であるチンアナゴが淡水魚であるウナギの仲間であることに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

英名にあるgardenという言葉ですが、海底から生えるように体を伸ばしているチンアナゴの群れが、手を伸ばせば引っこ抜くことのできそうな庭の芝生など草木のように見えるためとされています。実際に水族館で展示されていても10年程前のまだ知名度が低い頃には、飼育員の方が来場客に海藻の仲間かと聞かれるようなこともあったようで、的を射た名前なのかもしれません。

チンアナゴの仲間たち

チンアナゴのようにプランクトン食で昼行性のチンアナゴ亜科に分類されるものは、大きく分けて2種類いて、チンアナゴ属とシンジュアナゴ属で分けられています。水族館の水槽でよくチンアナゴと一緒に展示されることが多いのはシンジュアナゴ属のニシキアナゴとシンジュアナゴです。

ニシキアナゴはオレンジに近いような黄色と白のツートンカラーで縞模様の見た目の華やかさから錦穴子と呼ばれるようになりました。チンアナゴと比べると少し小型のものが多く警戒心も高いです。

シンジュアナゴはニシキアナゴとは逆に体長100センチ程で、チンアナゴの倍以上のサイズになる大型種です。模様の特徴は和名の通り体の側面に真珠のような白い斑点が並んでいるのが特徴で日本では野生のものは八丈島や八丈小島付近でのみ見られます。

シンジュアナゴ属にはニシキアナゴやシンジュアナゴ以外にも、体長が約74センチ位になるアキアナゴというのもいます。

アキアナゴは英名がSharp-nose garden eelといい、その名の通り他と比べて尖った鼻先をしているのが一番の特徴です。体の色柄は乳白色の体に濃いめのオレンジ色の細かい斑点模様が入っています。

チンアナゴ属のものも幾つかご紹介しましょう。一つ目は警戒心が強く、逃げ水のごとく近づくとすぐに隠れてしまうニゲミズアナゴです。

ニゲミズアナゴは近年日本で発見された新種のチンアナゴで鹿児島県大島海峡の一部でのみ複数の群れが確認されています。英名は恥ずかしがり屋を意味する言葉を用いてShy garden eelと命名されました。

もう一つは絶滅危惧種に指定されているゼブラアナゴです。名の通りシマウマのような白と黒の縞模様が特徴で以前は展示している水族館もあったようですが、現在では個体数が減少傾向にありお目にかかることはほとんどないでしょう。

チンアナゴを引っこ抜くことはできる?

チンアナゴは引っこ抜くことはできる?生態や種類についても紹介
可能かどうかということより、警戒心の強いチンアナゴを物理的に引っこ抜くこと自体を考えるのはやめておいたほうが良いでしょう。魚のストレスにもなりますし、何も良いことがありません。

しかし、挑戦したとしても、チンアナゴは警戒心も強く目も良い魚なので引っこ抜く前に逃げられてしまう可能性の方が高いでしょう。どうしてもチンアナゴを引っこ抜きたいという方は、アプリなどでチンアナゴをつついたり引っこ抜くことができるゲームもあるようなのでそちらで試すの方が良いでしょう。

チンアナゴは飼える?

チンアナゴは家庭で飼育することは可能ですし、熱帯魚としては強い魚ではあります。しかし、体の半分以上を砂の中に埋めて、餌もひたすら流れてくるのを待つスタイルの彼らの飼育は一般的な海水魚の飼育とは異なる部分が多く、安易に飼育できるタイプの魚とは言い難いため、飼うには様々な点で注意が必要です。

チンアナゴの飼育で必要となる水槽は高さが最低でも30センチは必要のようですが、全長30〜40センチまで成長するため、できるだけ高さのあるものを選ぶのが良いでしょう。

昼行性ではありますがチンアナゴは夜中の人が寝静まった頃に巣穴の引っ越しを行ったりすることもあるらしく、知らぬ間に水槽から飛び出して死んでしまうこともあるようで、ある程度の高さや広さはもちろん、飛び出し防止の蓋も必要のようです。

他の魚の飼育準備となにより違う点は用意しなけれなばならない底砂の量です。10センチ程で良いようですが、これも可能であれば自然環境と同じようにある程度の高さが作れるほうがより良いでしょう。チンアナゴは巣穴を掘りやすく固めの尾をしていますが、砂粒の大きいものではチンアナゴの体を傷つけてしまうので、パウダー状のサンゴ砂などを用意します。

餌はブラインシュリンプを面倒でなければ孵化させて与えるのがいいですが、難しければ冷凍のものを与えます。その際、チンアナゴの周りを漂うように水流を作ったり、スポイトなどを使ってチンアナゴの近くに撒く必要があります。

飼育下のチンアナゴの死亡原因としてもっとも多いのが餓死なので、餌を与える際は工夫が大切となります。また、一種類だけだと個体によっては選り好みをする可能性もあるので、他の動物性プランクトンなども場合によっては試したり併用したりすることが必要です。

これ以外に用意が必要な品は以下のようなものがあります。
・フィルター(水位を保ちやすいオーバーフロー式ろ過装置だと尚良い)
・水槽用ヒーター・クーラー
・水温計
・海水魚用の照明
・比重計

なお、チンアナゴの水槽の水温は23〜25℃程度に保つと良いそうです。もともと群れで暮らす魚なので単独飼いでなく数匹まとめて飼育するようにしましょう。しかし、多すぎても自分の縄張りが取れずストレスになってしまうので、60センチ水槽に5匹が目安です。

警戒心の強い魚なので人の姿に警戒してなかなか出てきてくれないことも多いです。マジックミラーフィルムを水槽に貼ると中から外が見えないようになり、チンアナゴが驚かなくなるようなので、そういったものを活用して観察しやすくするのも良いでしょう。

チンアナゴを展示している主な水族館

チンアナゴを展示している水族館は全国に沢山あります。中でもチンアナゴ以外のシンジュアナゴ属のニシキアナゴなどにも会うことのできる施設をご紹介いたします。

以下の通りです。
・くしろ水族館ぷくぷく
・サンピアザ水族館
・おたる水族館
・登別マリンパークニクス
・仙台うみの杜水族館
・アクアワールド茨城県大洗水族館
・すみだ水族館
・サンシャイン水族館
・アクアパーク品川
・しながわ水族館
・横浜・八景島シーパラダイス
・新江ノ島水族館
・伊豆・三津シーパラダイス
・東海大学海洋科学博物館
・碧南海浜水族館
・名古屋港水族館
・竹島水族館
・鳥羽水族館
・京都水族館
・海遊館
・神戸市立須磨海浜水族園
・城崎マリンワールド
・マリホ水族館
・島根県立しまね海洋館アクアス
・新屋島水族館
・マリンワールド海の中道
・須磨海浜水族園
・大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
・いおワールドかごしま水族館
・美ら海水族館

仙台うみの杜水族館とすみだ水族館ではチンアナゴ、ニシキアナゴの他にホワイトスポテッドガーデンイールという種類のチンアナゴの仲間も見ることができます。

チンアナゴを観察してみよう

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初回公開日:2022年07月28日

記載されている内容は2022年11月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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