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孔雀は毒に耐性を持っている?特徴・生態や人とのかかわりも解説

更新日:2024年07月20日

孔雀という鳥がどのような生態で、どんな歴史がある鳥なのかご存じでしょうか。本記事では、孔雀の基本的な生態や、孔雀が毒に耐性があるのかや孔雀明王について詳しく紹介します。孔雀がどんな鳥なのか、知りたい方や気になる方は是非、チェックしてみて下さい。

孔雀は毒に耐性を持っている?特徴・生態や人とのかかわりも解説
孔雀ときいて、イメージする鳥はどのような鳥ですか?多くの方がイメージするのは色鮮やかな羽を扇状にひらく姿ではないでしょうか。

カラスは黒い鳥、白鳥は白い鳥など聞いただけでも姿を想像できる鳥の代表でもあります。しかし、わたしたちは孔雀のその姿しか知らないのかもしれません。

孔雀は毒に耐性を持っている鳥と言われることもあり、私たち人間とはどのような関係性があるのでしょうか。詳しく調べていくと、人間と孔雀には深い歴史があります。

本記事では、孔雀についての特徴や歴史、孔雀ならではの生態、孔雀明王について詳しく解説しています。この記事を読むことで、今まで知らなかった孔雀の一面を知ることができるでしょう。

孔雀がどんな鳥かを知りたい方は、ぜひこの記事をチェックしてみて下さい。

孔雀ってどんな鳥?

孔雀は、キジ科の鳥類です。

中国から東南アジア、南アジアに生息するクジャク属2種と、アフリカに生息するコンゴクジャク属1種の2種類が確認されています。

羽が青色であるインドクジャクは、インドの低木があるひらけた土地に生息しており、羽が鮮やかな緑色をしているマクジャクは中国からベトナム、マレー半島などに多く生息しています。

コンゴクジャクはアフリカのコンゴ盆地に生息しており、孔雀ならではの飾り毛がないのが特徴です。

私たちが見たことがある一般的な孔雀は、クジャク属2種のインドクジャク、マクジャクである場合が多いです。

大きな青い飾り毛を扇状にひらく姿が有名な鳥ですが、きれいな飾り毛を持っているのはオスのみでメスへの求愛行動に使用します。オスの鮮やかな飾り毛とは違い、メスには飾り毛はなく全体的に茶色く地味な印象をうけます。

鳴き声は独特で甲高い声で「イヤーン」または「キーオウ」「クエー」などと鳴き、バリエーションは豊富です。鳴き声は大きく、遠くに響く声をしており、トランペットやネコの鳴き声に近いと言われています。

孔雀は寿命がおよそ20年と非常に長寿な鳥類です。基本的には丈夫な生き物ですが、「ヒストモナス症」「ニューカッスル病」などの病気には注意が必要と言われています。

ここからは孔雀の詳しい形態と生態について解説します。

孔雀の形態

オスの体長は約180~250センチメートル、体重は約4~6キロ、メスは体長約60~90センチメートル、体重は約3~4キロで、飾り毛を含めると大きくておよそ3メートルにもなる大型な鳥類です。足には闘争や狩りに使う鋭い爪があります。

孔雀ならではのオスの飾り毛は約100~150本あり、繁殖期が終了すると飾り毛は抜け落ちます。抜け落ちた飾り毛はファッションやインテリアなどに使用されることが多いです。

夏季になると換毛がはじまるため、古い羽は抜け落ちますが夏季が終わるころにはほぼ生え変わります。完全に生え変わるのには7ヵ月ほどかかります。

羽毛の手入れには油脂腺から分泌される油で整え、きれいな羽をもったオスは健康でよい遺伝子をもっていることをアピールするために発達したと考えられています。

孔雀ならではの鮮やかな青色や翠色のきれいな飾り毛は色素ではなく、基本的な羽の色は茶色です。光を乱反射する表面形状をもつ角質とメラニン色素の粒により、美しいシャボン玉のような色合いをみせることができるのです。

飛ぶことは可能ですが、長期間の飛行をすることはなく、大きな飾り毛をもつオスはメスより飛ぶことができません。

孔雀の生態

クジャクは、木の実や果実などの植物やミミズやシロアリなどの昆虫、小型の爬虫類などの小動物も食べる雑食性です。このなかにはコブラやサソリなどの毒蛇や毒虫が含まれています。

川の近くの森林や、落葉樹林に好んで生息します。農地などで食物を摂取するため、サトウキビのような丈の高い作物が生えている場所を好みます。

社会性があり、一夫多妻制で基本的に群れを作って生活します。しかし、繁殖期にオスが求愛するときや、メスが子育てをする時期には単独行動を行います。メスは1回に3~8個の卵を産み、単独かメス同士で卵を孵化させます。

メスに対しての求愛行動が派手ではありますが、休憩や睡眠時の体勢が低く、無防備に見えることから求愛時とほかの行動のギャップが激しい鳥でもあります。

メスは保護色のため木や地面と同化することができ、オスは派手な色をしていても天敵から身を守ることができるため、体勢を低くするのではないかと言われています

野性の孔雀が多く生息するインドでは大切にされているため、村の中で見かけたり、建物に巣をつくる姿も珍しくありません。しかし、実際の野性の孔雀は臆病な鳥です。

現在では、世界中で観賞用として飼われていることが多くなっています。

孔雀は毒に耐性を持っている?

きれいな飾り毛が有名な孔雀ですが、毒に耐性をもつ鳥と呼ばれています。孔雀はなぜ毒に耐性を持つと言われているのでしょうか。

孔雀は昔からきれいな羽が工芸品に使用されるなど貴重な鳥として扱われ、孔雀が毒虫や毒蛇を攻撃することから益鳥とも呼ばれてきました。

孔雀が毒虫や毒蛇を攻撃するのは、卵や雛を守るためといった理由があります。サソリやコブラ等の毒虫や毒蛇は、孔雀を含むキジ目の鳥類にとって天敵なのです。毒虫や毒蛇を捕食することから神経毒に耐性をもつと言われていますが、孔雀に毒耐性があるかは確認されていません。

日本でも馴染みがある孔雀ですが、孔雀の歴史には孔雀が毒虫や毒蛇を捕食することが深く関わっているのです。

孔雀はきれいな飾り毛以外のさまざまな理由から世界でも大切にされていて、人間との関わりが深い鳥と言えます。

では、孔雀にはどのような歴史があるのでしょうか。孔雀の歴史と、明王の1つでもある孔雀明王について解説します。

孔雀の歴史

孔雀の歴史は長く、人間によるインドクジャクの飼育はおよそ4000年の歴史があると言われています。昔からさまざまな国で、貴重な鳥として扱われてきました。

日本には、飛鳥時代に献上品としてやってきたと最も古い歴史書である日本書紀に記述が残っています。

そこから日本では、孔雀を見ながらお茶を飲むことができる孔雀茶屋などがあったり、麻雀牌の大半に孔雀の絵が描かれていたりと、日本でも昔から馴染みのある鳥であることがわかります。

孔雀の毒虫や毒蛇を攻撃する習性から邪気を払う象徴として「孔雀明王」の名で仏教の信仰にも取り入れられていきました。明王の中でも最も早くインドでつくられたと言われています。

世界では、孔雀は神の乗り物でインドでは国鳥とされていたり、トルコやイラン、イラクなどにまたがった山岳地帯に居住しているクルド人の信仰する宗派には、孔雀の姿をした天使が登場したりしています。

また、ギリシャ神話では女神の飼い鳥とされていたなどさまざまな宗教で孔雀が信仰の対象になっています。

ただ、現在、日本では野性化した孔雀が農地を荒らすため駆除に追われている地域もあります。

孔雀明王って?

孔雀明王の起源は「偉大なる孔雀」といった意味をもつ、インドの女神です。

日本でも明王の中で唯一怒りの形相ではなく、孔雀の背中に乗り、慈悲をあらわした女性的な菩薩姿をしています。その姿から、仏母大孔雀明王菩薩などと呼ばれることもあります。菩薩の手に武器が握られていない点も他の明王との違いです。

孔雀の見た目の美しさだけではなく、害虫や毒蛇などを捕食することから、人々のわざわいや苦痛を取り除いてくれるといったご利益があるとされ、孔雀が神格化し信仰の対象になりました。

また孔雀は雨季の到来を告げ、恵みの雨をもたらす吉鳥として尊重されていたため、日本で仏教に取り入れられてからも、雨乞いの儀式に用いられることもありました。昔は雨が降ることは作物の成長や収穫に関わる重要なものだったため、生活に必要な明王であることがわかります。

また孔雀は繁殖能力が強いため、子孫繁栄の意味を持つ鳥でもあります。

日本では和歌山にある高野山金剛峰寺、奈良にある大本山正暦寺で孔雀明王が祀られています。高野山金剛峰寺にある孔雀明王は有名な明王像で、正暦寺は日本酒の発祥の地として有名なお寺です。

人間にとってのあらゆる毒が浄化されるように厄除け祈願ができます。

孔雀の生態や人とのかかわりについて知ろう

孔雀は羽を広げた姿が有名な鳥です。しかし、知られているのはその姿だけで、詳しい生態や人間との関係はあまり知られていませんでした。

羽の色は光を反射することできれいな色をしていることや、飾り毛は繁殖期が終わると抜け落ちてしまうことなど知らないことの方が多かったのではないでしょうか。

孔雀は昔から、毒虫や毒蛇を捕食することから人間にとっては益鳥として大切にされ、日本では明王の1つ「孔雀明王」として、仏教に取り入れられ身近な存在でもありました。

美しい姿だけではなく、孔雀の詳しい生態や人とのかかわりを知ることで孔雀に対しての見方が今までとは違うものになっているのではないでしょうか。
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初回公開日:2022年09月22日

記載されている内容は2022年09月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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