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地域猫活動で失敗しないためには?理由や目的をしっかり把握しよう

更新日:2023年12月26日

地域で野良猫を減らしていく「地域猫活動」は、独自解釈の活動が増え、各地で失敗があいついだため、かなり悪い印象も持たれています。本来の地域猫活動とはどういうものか、どのように行えば失敗しないのか、また失敗の原因などを紹介します。

地域猫活動で失敗しないためには?理由や目的をしっかり把握しよう

地域猫とは?野良猫と何が違うの?

地域猫とは、地域の合意を得て管理されている、飼い主のいない猫です。1994年に横浜市磯子区で実施された、野良猫問題の対策から生まれた呼称です。

磯子区では、行政と地域住民が一丸となって避妊手術や餌やり、排泄のルール設定、トラブル防止に取り組んだ結果、数年で野良猫が減少し、改善効果が現れました。

磯子区の成功以来、地域猫活動は全国に広まりました。一方、地域猫の言葉が一人歩きし、失敗もあいついでいます。

地域猫活動で失敗しないためには?

地域猫活動で失敗しないためには、環境省が提示する住民・行政・ボランティアの「三者協働」が必須です。

地域猫活動は、野良猫撃退方法でも、野良猫をかわいがる活動でもありません。野良猫の害を減らし、すべての猫が屋内飼育されるための過渡期の一手段です。

野良猫問題は「かわいそう」「迷惑」と人が感情的に対立しやすい問題です。失敗をふせぐためにも、冷静に問題点を見すえて、人にも動物にも良い環境をめざしましょう。

地域猫を導入する理由とは?失敗しないために正しく理解しよう

地域猫は、「野良猫をなくしたい」「猫の命を大事にしたい」の観点から、猫を守りたい人と、猫を排除したい人の妥協点として導入された制度です。

野良猫問題は、突き詰めれば人間どうしの問題になります。また、野良猫が小動物、鳥や昆虫、は虫類など他の生物を襲う食害は、環境問題にもなります。

野良猫だけの問題ととらえたら失敗します。野良猫が地域にとってどういう存在かを理解し、活動内容と効果を正しく把握しましょう。

去勢をして野良猫の繁殖を防ぐ

活動の最初に全頭を捕獲し、去勢・避妊手術を行って、出産による野良猫の増加を止めます。捕獲・手術・元の場所に戻す一連の活動を、TNR(Trap-Neuter-Return)運動といいます。

手術済みの猫は、片耳の先に桜の花びらのような切れ込みの目印を入れます。耳カットした猫は「さくら猫」と呼ばれています。

去勢手術により発情期や縄張り意識が無くなり、鳴き声の騒音や猫どうしのトラブル、感染症も減少します。

野良猫によるフンやゴミを漁る被害を減らせる

猫への餌やりルールや排泄場所の管理により、地域の衛生環境を守ります。

餌やりの場所、時間と食べきれる量を厳守し、指定時間外の餌場の回収と置き餌の禁止で、食べ残しやゴミの散乱を無くします。餌が充足すると、ゴミ捨て場をあさられにくくなります。

設置した猫用トイレへの排泄をしむけ、後片付けや糞尿の清掃まで行うことで、臭害だけでなく、糞を介した人への感染症の危険も減らします。

野良猫の殺処分を減らす

野良猫を地域猫にして管理することで、殺処分される猫を減らしていけます。

猫は1年に数回出産します。避妊手術せず餌だけをやっていると、栄養状態が良いので子猫がたくさん生まれ、育ってまた出産します。数が増えた分被害も増え、行政に引き取られて殺処分される猫も多くなります。

野良猫を一代限りとし、増やさないことで、騒音、臭害、食害は徐々に減り、結果的に殺処分や、猫を嫌う人による猫の排除、虐待も減らせます。

これで失敗しない!地域猫活動のながれとは

地域猫活動の流れは、「去勢・避妊手術」→「管理」→「野良猫ゼロ」です。地域住民が主体となって、行政、ボランティアの支援のもとで行います。

生き物を相手とする活動であり、始めると数年がかりにおよびます。失敗しないためには、入念な準備と覚悟が必要です。

環境の違いから、1つの成功例が他地区では失敗にもなります。地域の問題点を把握し、行政の指導やボランティアのサポートを得ながら、計画を立てて進めましょう。
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初回公開日:2019年08月30日

記載されている内容は2019年08月30日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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